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世界一物騒?なロシアのおみやげ 店内に並ぶ「小さな大量破壊兵器」

これでも、みやげものなんです
これでも、みやげものなんです

目次

 最近とても気になるお土産屋さんがモスクワ中心部の繁華街にオープンしました。自動小銃のAK47で知られるカラシニコフ社の公式ショップです。入るのにやや勇気がいるのですが、意を決して入ってみました。(朝日新聞モスクワ支局・石橋亮介)

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意を決して店内へ

 売りものは全てカラシニコフグッズ。本物はさすがに売っていませんが、本物そっくりのモデルガンや、金属の玉をガス圧で飛ばす空気銃、ライター、マグカップ、カバン、スマホケース、Tシャツなどが所狭しと並んでいます。

壁にキリル文字で「カラシニコフ」と書いてあります
壁にキリル文字で「カラシニコフ」と書いてあります

 店内は明るく、店員さんもさわやかでとても親切。ミリタリーショップのような物々しさはありません。

 2016年にモスクワのシェレメーチェボ国際空港に1軒目が開店し、昨年10月、モスクワ中心部のアルバート通りに姉妹店がオープンしました。土産物店の集まるビルの一角にあるので、チョコレートもマトリョーシカもモデルガンもいっぺんに買えてしまいます。

日本に持ち込めるのか?

リアルすぎるおみやげの空気銃
リアルすぎるおみやげの空気銃

 金属球をガス圧で飛ばす空気銃。9400ルーブル(約1万5000円)。サイレンサー付きです。

 誰でも買えますが、日本に持ち帰るなら事前に日本での所持が合法かどうかを調べた方が良さそうです。たびたび荷物検査を求められるモスクワの地下鉄にも持ち込まない方が無難でしょう。

こちらがAK47
こちらがAK47

 カラシニコフの名を一躍世界に広めたAK47の卓上ライターは、約1900ルーブル。長さ20センチほどで、ディスプレイ台もついています。

 引き金を引くと銃口から炎が吹き出します。

ライターとは思えない迫力
ライターとは思えない迫力

 AK47が世に出たのは第2次世界大戦直後の1947年。社名のカラシニコフは、AK47を開発したミハイル・カラシニコフ氏の名字です。

 AK47の最大の特徴は、極地、砂漠、ジャングルなどあらゆる環境での仕様に耐えるシンプルな構造にあります。製造もメンテナンスも容易な上に、故障知らずで特別な知識や訓練なしで誰でも使えるという、工業製品としての優れた性能を持っています。

 ですが、その優秀さはそのまま兵器としての優秀さでもありました。世界中でコピー品が乱造され、正規の軍だけでなく、世界中の「過激派」「テロリスト」「武装勢力」などと呼ばれる集団の手に渡り、「小さな大量破壊兵器」とも呼ばれています。

製造工場、倒産していた

 AK47は今も、質実剛健なロシアの製造業の象徴として高く評価されていますが、カラシニコフ社自体は近年、軍の装備品の近代化に乗り遅れ、2012年にはAKシリーズを製造する工場が倒産。国の支援で持ち株会社「カラシニコフ・コンツェルン」を設立し、経営再建を図っています。

 兵器の開発、製造も続けていますが、最近力を入れているのがスポーツシューティングや狩猟用の銃、アパレルなどの民生品分野です。ミリタリー色を薄めたお土産店の展開やグッズの販売は、経営再建に向けたイメージ戦略なのでしょう。

英文で「I'M YOUR FATHER」と書かれていますが…
英文で「I'M YOUR FATHER」と書かれていますが…

 こちらは子どもサイズのTシャツ。黒い線で古いAK47を、白い線で新型の(詳しい名前は私にはわかりかねますが)ライフル銃がデザインされています。

 質実剛健な設計思想が今も続いているということを伝えているのでしょうか。カラシニコフ氏の発明が大切にされていることがわかります。我が子に着せるのはためらいますが…。

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