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球児から注文殺到、その理由とは?
甲子園強豪に人気「タオル店」なぜ岐阜に? 鉛筆デッサンに人気爆発
繊維の街、岐阜市に甲子園球児が自身の名前や背番号をあしらったオリジナルタオルをつくる店があります。大阪桐蔭、智弁和歌山、明徳義塾…全国の強豪校からこの季節、記念タオルの申し込みが相次ぎます。3代目の丁寧な仕事ぶりが評判を呼び、親から親へと口コミで広がっています。
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球児から注文殺到、その理由とは?
繊維の街、岐阜市に甲子園球児が自身の名前や背番号をあしらったオリジナルタオルをつくる店があります。大阪桐蔭、智弁和歌山、明徳義塾…全国の強豪校からこの季節、記念タオルの申し込みが相次ぎます。3代目の丁寧な仕事ぶりが評判を呼び、親から親へと口コミで広がっています。
JR岐阜駅近くの繊維問屋が立ち並ぶ通りに、大阪桐蔭、明徳義塾、聖光学院など甲子園の常連校の名前が赤文字のポップで並ぶ店があります。店先にカラフルなタオルがゆらゆら。実は、このタオル店「糸秀」は、高校球児御用達の店として知られています。「美術の成績が5」だった地元店主の丁寧な仕事ぶりを取材しました。
繊維業の街、岐阜市にある「糸秀」でオリジナルタオルを作っているのは、3代目で代表取締役の岡本光治さん(49)です。
自分の名前や写真、好きな言葉をあしらった世界に一つのオリジナルタオルがつくれます。
甲子園出場の記念に保護者が注文し、友人や親戚、指導者らにお礼の品として配ります。この時期、全国の強豪校から問い合わせが相次ぐそうです。
記者も通勤途中、店の前を通り過ぎながら、いったいなんの店か気になっていました。
店先にカラフルなタオルがゆらゆらと揺れ、商品が山積みされています。赤文字のポップには、大阪桐蔭、日本航空石川、聖光学院など甲子園の常連校の名前がずらりと並びます。
――なんの店なのですか?
「高校野球の選手たちのオリジナルタオルをつくっています。この時期には、北海道から鹿児島まで全国から甲子園出場の記念に注文のメールや電話があります」
「タオルの大きさは縦約34センチ、横83センチで、大会名、選手の名前、背番号、学校名、校章、スローガンなどをあしらいます」
「選手のプレー写真を入れることもできます。影をつけたり、残像をつけたりするのが流行です」
――かっこいいですね。
「残像を重ねたり、離して配置したりと細かな要望に応えます。応援団長やスコアラーで注文される方もいます。120本からの注文で、500本ほど注文する保護者もいます」
最初は校名や選手の名前だけのシンプルなものをつくっていましたが、10年ほど前にイラストは入れられないかとの要望を受け、始めたところ、口コミで人気が出たそうです。
バットがボールをとらえる瞬間、ボールが指先を離れる瞬間などを収めた写真が送られてくるといいます。
「背番号がわかる写真が多いのが特徴です。たくさん送ってくる方もいて、こちらで選ぶこともあります」
色も10色ほどから選べ、ユニフォームの色に近い色にしたいと凝るお客さんもいるそうです。
――どれもこだわりのデザインですが、デザインはどうしているのですか?
「私が描いています」
――えっ岡本さんが!?
「多くのお客さんは初めてのお客さんです。どうしたら良いかがわからない方が多いので、私が鉛筆で描いたデッサンを4パターンほどつくって、イメージをつかんでもらいます。校章や背番号の位置をかえたり、残像の位置を変えたりして、イメージにある図案を選んでもらいます」
実際にデッサンを描いてもらいました。選手の写真を見ながら、さらさらとヘルメット、体の輪郭が形になっていきます。
「名前や学校名は右上がりで書きます。縁起物ですので」
――心憎いですね。
「文字は重ねて描くと、力強い印象になります。その文字の下にはラインを引きます。そうすると、締まって見えてきます」
――絵の勉強をしていたのですか?
「いえ、水泳部でした。でも中学の美術は3年間、5でした」
――絵が得意なんですね。
「中学生レベルのもので、たいしたことはありませんが、鉛筆で書いて送るせいか、口コミでお客さんが増えてきました。だれでも行けるわけではない甲子園の晴れの舞台。どこにも負けないものを作ってあげたいじゃないですか」
岡本さんは電話やメールでお客さんと何度もやりとりして、だいたい1カ月後に納品するそうです。
地方大会が始まると、各都道府県の勝ち上がりをチェックし、代表が決まり始まると、注文の電話やメールが殺到します。
夏の選手権大会では毎年約100人のタオルをつくり、最後の納品は大晦日になることも。
「8月のお盆はお店や委託先の工場は休みますが、注文とデッサンは私が一人で受け続けます。デッサンが50~60人待ちになるのは毎年のことで、100回記念の今年はこれまで以上の注文にならないか心配です(笑)」
――60人待ち!大変ですね。
「たしかに気力も体力も必要ですが、タオルを届けると、『すごいのを作ってくれた』『家宝にします』とおっしゃる方もいて、この仕事をして良かったなと思います」
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