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「あずきバー」専用かき氷器を発売へ 刃はダイヤ?開発担当者に聞く
固いことで知られる『あずきバー』を、ふわふわのかき氷にすることができる商品が発売されます。
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固いことで知られる『あずきバー』を、ふわふわのかき氷にすることができる商品が発売されます。
【ネットの話題、ファクトチェック】
その固さがたびたび話題となる『あずきバー』。そんな有名アイスをふわふわのかき氷にすることができる商品を発売すると、タカラトミーアーツが本日発表しました。ネット上で「ダイヤモンドの刃でも使われているのか」「アイデンティティーの消失」と話題になっていたこの商品について、担当者に開発の経緯を聞きました。
井村屋グループを代表する商品ともいえる『あずきバー』が生まれたのは1972年。
「あんの消費が落ち込む夏場に、あえてあんのお菓子を食べてもらう」というコンセプトで誕生し、2013年には「あずきバー」として商標登録も認められました。
2015年の夏には、刃物で知られる岐阜県関市のふるさと納税の返礼品に選定されました。あずきバーと日本刀に共通する「かたさ」が取り持った縁で、ツイッター上での交流がきっかけでした。
昨年6月には、「持っていたあずきバーで万引きの容疑者を撃退した」という内容の真偽不明なツイートが話題になるなど、「あずきバー=固い」といったイメージがすっかり定着しています。
そんな固いイメージのあるあずきバーを、あえてかき氷にする商品を企画したきっかけとは? タカラトミーアーツのライフ企画課専門課長・和田香織さんは、こう話します。
「ネットニュースなどで、しょっちゅう固い固いと言われているのを目にしていたので、素直に『かき氷にしたらどうなるんだろう』という思いで、井村屋さんに相談しました」
井村屋の担当者の反応はとても好意的でしたが、「本当に削れるのであれば、ぜひ」といった趣旨の言葉を聞いて、「よし、絶対作ってやる」と意を決したそうです。
実は、過去に和田さんのチームが手がけた商品に「おかしなカキ氷 ガリガリ君」というものがあります。人気アイス「ガリガリ君」をふわふわのかき氷にするという商品で、このノウハウを生かせば可能だという思いがありました。
「でも、やってみたらぜんぜんダメでした。ガリガリ君の時に採用した大根おろしのような刃と筒状の容器では、うまく削れなかったんです」
結局、まったく違う仕組みで設計することになりました。
あれこれ検討すべき点はありましたが、苦労したのは「どのようにあずきバーを刃に押し込んでいくか」という点でした。固定が甘いとあずきバーが外れるし、しっかり固定するとハンドルが重すぎて回りませんでした。
強力なバネで押しつけたり、ハンドルの位置を変えたり、刃を固定してあずきバーを回したり、逆に刃を回して試してみたり……。
井村屋の担当者へのプレゼンの場面でハンドルが折れるなど、何度もトラブルはありましたが、試作6号機でついに完成。ターニングポイントとなったのは「事前にあずきバーのスティックを抜いてしまう」という発想でした。
「あずきバーにささっているスティックが非常にやっかいで、削る際の抵抗になっていたんです。当初、スティックの周りは削らないような構造を考えていたんですが、先に抜いてしまう装置『ぬけるんバー』を付けることで解決しました」
さらに、力を入れすぎて本体が壊れることがないよう「クラッチ」と呼ばれるギミックを追加し、負荷がかかりすぎるとハンドルが空回りするようにしました。
ところで、「刃の素材はダイヤモンド?」との推測もありますが、特殊なものを使っているのでしょうか?
「ステンレスの1枚刃です。当初は3枚刃も検討しましたが、回す際の抵抗が大きくなるため1枚に。本体がしっかり作られているので、これで十分削ることができるんですよ。もちろん耐久性も問題ありません」
固いあずきバーをかき氷にすることについて「アイデンティティーの消失」との声が上がってることについては、こう話します。
「実用性がなければヒットしないと、私は考えています、今回の商品はけっしてウケを狙ったわけではなく、『あずきバーを食べたいけど固くて』『歯が弱いから』といった方のニーズに応えるべく作りました。食感が異なることで、まったく違う味わいになるので、ぜひお試しください」
◇ ◇ ◇
「おかしなかき氷 井村屋あずきバー」の発売日は6月29日。7月1日の「井村屋あずきバーの日」に間に合わせたそうです。希望小売価格は2800円(税抜き)。対応するあずきバーは売れ筋の65mlのみで、85mlには対応していないそうです。
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