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IT・科学

「大臣だけど、聞きたいことある?」台湾の異色閣僚の「超」情報公開

台湾の異色閣僚、唐鳳氏
台湾の異色閣僚、唐鳳氏 出典: 朝日新聞

目次

 台湾のデジタル担当の閣僚に就いた唐鳳(タンフォン)氏。35歳の若さ、トランスジェンダーという経歴、「超」のつく天才という異色の経歴で注目されています。そして、ウェブ上では「徹底的な透明性」をうたい、恋愛やお金の話など、突っ込んだ質問にも答えています。なぜ、そこまでするのか。取材しました。

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若くしてアップルの顧問

 唐鳳氏の本名は唐宗漢(タン・ツオンハン)です。しかし、「性別は流動的なもの」と中性的な名前に変えました。

 小学1年で連立方程式を解き、2年後にはコンピューターのプログラムを書くという天才でした。中学校を卒業する前にドイツへ留学しました。

 IT業界で活躍し、BenQ(ベンキュー)やアップルの顧問などを務め、プログラミング言語「パール6(Perl 6)」の開発で大きな役割を果たしました。

 政府の情報を透明化させる「g0v零時政府」のハッカーでもあった経歴を買われ、2016年10月に35歳の若さで台湾の行政院(日本の内閣相当)に入閣。無任所閣僚の政務委員(デジタル担当)として大臣級の政務委員を務め、主にデジタルを担当しています。



「徹底的な透明性」

 デジタル担当の唐鳳氏は、インターネットを使った実験的な民主主義を進めています。理念の一つは「Radical Transparency」(徹底的な透明性)です。

 公開できる、あらゆる情報がインターネット上にあることで、政府の官僚や大臣が何をやっているのか、何を考えているのかを全部知ることができ、人々が「国家の主人」になれるというビジョンを掲げています。

記者会見にのぞむ唐鳳氏
記者会見にのぞむ唐鳳氏 出典: 朝日新聞

意地悪な質問にも回答、全部を公開

 徹底的な透明性を実践している唐鳳氏は、個人のサイトで市民と交流しています。多くの質問が寄せられますが、一見、答えにくそうなものにも回答し、すべて公開しています。

Q:「怪胎」(変な人)と思われたことはありませんか?(2017年1月7日)

 

唐鳳氏

「先天性の心臓病の診断されたので、胎児の時から、他の人と異なる育ち方をしてきました。なので、変な人と思われても気にしません」

Q:パートナーがいますか。男性が好き?女性が好き?あるいは両方?(2016年9月24日)

 

唐鳳氏

「質問ありがとう。人を好きになるのは、相手の心の価値にひかれるかどうかが大事です。だから、特定の身分、役割、ラベルは関係ありません。パートナーがいるかどうか、という質問の答えは『有感情(パートナーがいる)』です。この質問はとてもプライベートなことなので…答えはここまでです」

Q:資産公開の情報によると1千万台湾ドル(約3000万円)の負債がありました。現在の経済状況について話していただけますか?(2017年1月24日 )

 

唐鳳氏

「マンションのローンでまだ残っているものがあります。閣僚になってからの収入は半分以下になりました。貯金を取り崩して生活しています」

IQ180は本当?その答えは…

 大臣という立場で、公開質問を受ける理由について唐鳳氏に聞いたところ、メールで次のような答えが返ってきました。

 

唐鳳氏

「事実に基づき、感想をシェアし、そしてコミュニケーションの中からアドバイスするようにしています」

 

唐鳳氏

 「ウェブ上の議論では『Focused Conversation Method(ORID)』の方法で、議論の焦点をより明確にするように努力しています。その結果、事実の部分については、避けることなくせず答えられる範囲でしっかり回答しています」


 また、現地の報道では「IQ180以上」という頭脳についても注目されています。あらためて確認してみると……。

 

唐鳳氏

「大人になってからのIQについて議論することに意味はありません。それに、IQ試験の時、携帯電話を持ち込めば、誰でも160くらいは簡単に取れてしまいます。デジタル機器をうまく使えれば、大人も子どもも関係なく、仕事を有意義にできると思います」

 

唐鳳氏

「ちなみに、私の身長は180センチです」

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