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50億回再生!親子ユーチューバー「かんあき」スポンサーなし貫く理由
おもちゃの紹介や家族のお出かけ動画を投稿するユーチューブの「Kan & Aki's CHANNEL」が関連チャンネルと合わせ視聴回数50億回を超えました。
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おもちゃの紹介や家族のお出かけ動画を投稿するユーチューブの「Kan & Aki's CHANNEL」が関連チャンネルと合わせ視聴回数50億回を超えました。
おもちゃの紹介や家族のお出かけ動画を投稿するユーチューブの「Kan & Aki's CHANNEL」が関連チャンネルと合わせ視聴回数50億回を超えました。親子ユーチューバーとして国内屈指の影響力を持つアカウントを運営する一家が初めてメディアの取材に応じました。スポンサーを受けない理由や、親子で動画作りをする意味について聞きました。
「Kan & Aki's CHANNEL」は、熊本市に住む父親の忠昭(ただあき)さん(42)と母親のめぐみさん(39)が2010年5月に開設しました。かんなさん(10)、あきらさん(8)が主に出演し、2人は「かんあき」などと呼ばれています。最近ではあさひさん(3)、ぎんた君(1)も登場しています。
このほかにライブ専門チャンネルなど一家で計4チャンネルを持ち、新しい動画が投稿されたときに通知を受け取ることができるチャンネル登録者は計約240万人に達しています。
父親の忠昭さんは「アルファブロガー」と呼ばれる人気ブロガーに憧れ、「レビュー系のGigazineさんや、ネタフルさんは雲の上のような存在だった」と語ります。家業の看板店の売り上げを伸ばそうと商品を紹介する動画を投稿している時、子どもたちが動画に興味を示したのが、娘を出演させるきっかけとなりました。
人気のブログを熱心に読んでいたときの経験が、現在の動画投稿のポリシーに反映されています。それは、企業から商品の提供を受けないことです。
忠昭さんが、一つ目のチャンネルを開設したころのことです。ファンだったブロガーが紹介したデジタルカメラの部品を買って「よかったですよ」とコメントしたところ、「僕も購入を考えます」との返答。自分で買って紹介していたと思っていた忠昭さんはショックを受けました。「子どもたちに同じ思いをさせたくない」と原則スポンサーを受けないことにしました。
あるメーカーのチョコレート味の即席焼きそばをライブ中継で紹介したとき、かんなさんは「焼きそばの味はしないし、スイーツとしても変な味がする」と辛口のコメントをしました。商品の提供を受けないことは、子どもたちの自由な発言を守ることでもあると忠昭さんは考えています。
子どもたちの驚きや自然な行動を生かすため、台本もリハーサルもありません。開設して4年半後に投稿した人気キャラクターの料理おもちゃの動画が視聴数1億回を超えました。動画には「なんでこんなに再生回数が多いんですか」などのコメントが投稿されました。
ちょうど歩き始めたころのあさひちゃんがお姉さんのまわりをうろうろしたり奇声を発したり。「そんな自然さやちょっとしたハプニングを楽しんでもらえたのではないか」とめぐみさんは分析しています。
動画の投稿は驚きと発見の連続だといいます。視聴者と電話で会話する様子をライブ中継する投稿では、通話を希望する人たちから忠昭さんが無作為に選びました。選ばれた2人はともに千葉に住む15歳と17歳の女性でした。「子どもやその親以外の世代にも見てもらえていることがわかり励みになった」と振り返ります。
このライブ中継では、複数のカメラを使いました。視聴者との会話が始まったとき自分しか映ってないことに気づいたかんなさんは「(あきらさんと2人が映る)メインカメラにかえて」と忠昭さんに要求しました。「娘は自分の作品だと認識してカメラに向かっている」と忠昭さん。
子どもの動画をめぐっては、意図しない形で公開されてトラブルになったケースも出ています。もし、かんなさんに将来、「恥ずかしいから動画を消して」と言われたら? 忠昭さんは「隠し撮りした動画を投稿しているわけではない。内容は子どもがやりたいことを聞いて家族で決めており、カメラを向けた瞬間に娘たちは自分の作品だと思って撮影に臨んでいる。だからそれはないと思う」と語ります。
撮影の場以外でも娘の成長を感じる瞬間があったといいます。動画の投稿が始まったころ、かんなさんがはじめて受けたバレエ教室のレッスンでの出来事です。他の子どもたちは保護者と一緒に教室の真ん中で恥ずかしそうにしていました。一方かんなさんは「それじゃ、行ってくる」と一人で元気に教室に向かっていったそうです。「動画制作で物おじしなくなった。胸がキュンとなりました」と忠昭さんは語ります。
昨年は、親子で動画投稿をしていてよかったと思う時も。「6歳の娘がいじめに遭ってご飯も睡眠もとれなくなり笑わなくなってしまった」という母親から「今日、かんなちゃんとあきらちゃんの動画をみて半年ぶりに笑ったのです。これからも娘に笑顔を届けてください。本当にありがとう」というコメントが届きました。この投稿には、家族全員が喜んだそうです。
投稿しようか悩んでいる人にぜひ伝えたいことがあると忠昭さんは言います。
「ユーチューブは子どもたちや私たちが撮影を通じて成長する場。スターになるためや収入を得るためだけじゃない」
「最初から全世界に発信せずに身近な人に限定公開するだけでもいい。動画発信の面白さ、表現する楽しさを味わってほしい」
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<ユーチューブと親子での投稿> ユーチューブを運営するグーグルによると、2016年時点で日本でユーチューブにアップロードされた動画の総時間は前年比105%増加。現在80カ国以上で数百万人が動画から収益を得ており、年間10万ドル以上を稼ぐチャンネル数は、昨年7月時点で前年比50%増えている。ユーチューブでは13歳未満に対し、投稿に必要なアカウントの取得を禁じており、子どもは家族での利用が前提となっている。
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