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2016年12月24日

学校の授業でダンスやるのダサくない? 有名振付師の答えが深かった

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「振付稼業air:man」の杉谷一隆さん(右)と菊口真由美さん。有名アーティストの曲やCMなど年間千件以上も依頼がくる有名な振付師集団。

「振付稼業air:man」の杉谷一隆さん(右)と菊口真由美さん。有名アーティストの曲やCMなど年間千件以上も依頼がくる有名な振付師集団。

出典: 朝日新聞

 中学校でダンスが必修になって、はや4年。やっぱりちょっと気になるので、聞いてみたい。「学校の授業でダンスをやるって、ダサくないですか?」。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)

学校とヒップホップは両立するのか?

 学校って、「ちゃんとしなさい」「ふざけてはいけません」と言われまくる空間です。
 そんな「ザ・真面目」な場所で、体でリズムを刻むヒップホップダンスって、両立しなさそうです。

 思い切って質問をぶつけた相手は、振り付けユニット「振付稼業air:man」の杉谷一隆さん。
 「振付稼業air:man」は、いきものががりの「じょいふる」など、それはもうたくさんのアーティストの楽曲やCM、ライブの振り付けを担当してきた、有名な振付師集団です。
 彼らは、2014年に学校の授業で使うことを想定した「振付稼業air:manの踊る教科書」(東京書籍)を出版しました。
 実際に、学校にも行っているそうです。

杉谷一隆さん。ユニークな帽子がトレードマーク

杉谷一隆さん。ユニークな帽子がトレードマーク

出典: 朝日新聞

必修化がダサい

――学校っていう真面目すぎる空間で、しかも授業でダンスをやるって、ダサくならないでしょうか?

 

杉谷

うーん。
学校で踊ることがダサいんじゃなくて、「必修化」っていうやり方がちょっとダサかったのかもしれませんね。

僕らとしても、ダンスの裾野が広がるのはうれしいんですが、必修化によってダンスを「やらされて」、嫌いになる子が出ないか、だとしたら諸刃の剣だなと危惧しています。
ダンスは楽しむものであって、悩むものではないのに。

学校でどう取り組んだら良いのかを提案したくて、本(踊る教科書)を出しました。

――シャイな子はダンスが苦手でしょうし、中学生って他人の目とかいろいろ気にするお年頃です。

 

杉谷

もし僕がいま中学生でも、「なんで先生に言われてダンスしなきゃなんないの?」って斜に構えたかもしれません。
でもね。
ダンスって本来は「教わるもの」じゃないんです

――と言いますと?

 

杉谷

いま子どもにとっての「ダンス」って、ダンススクールといった「習いごと」か、ひとつの「スタイル」を追求するためのダンスか、いずれにしても「教わるもの」「うまくなるもの」。でもそれは狭い価値観です。

ダンスって、リズムにのって、体を動かして、コミュニケーションをとる。それだけ。
本来、もっと日常にあるものです

――ありますかね?

 

杉谷

以前、テレビの企画で「人はなぜ踊るのか?」のこたえを探しに西アフリカのセネガルに行きました。
ヒップホップダンスの源流が西アフリカという説があるんです。

現地で、長老に「なんで踊るんですか?」って尋ねたら、
「逆におまえら、なんで踊らないの?」って聞き返されたんです。

もう、それが答えで。
リズムにのってみて、あわよくば動いてみてみんなが笑顔になって。それだけ。
例えば朝起きて、歯を磨いている時、音楽なんか聴くかもしれない。その時に歯ブラシの動きとリズムが合うかもしれない。それだけでいいんです。
楽しければ踊れば良いし、楽しくなきゃ、踊らなきゃいい。
ダンスってそういうものです。

――もっと自然な存在だと

 

杉谷

はい。日本各地に根付いている盆踊りだって、おじいちゃんおばあちゃんが孫に伝えて、みんなで踊って、っていうふうに日常にあるものでしょう? 

それが「学校!」「ダンス!」「ヒップホップ!」ってなるからぎゅっとかたくなってしまう。
先生が授業のために一生懸命にヒップホップダンスを覚えるとか、踊れる生徒が先生に教えてあげるとか、「教える」だと一方通行のコミュニケーションなんです

ダンス必修化を受け、ダンススクールでヒップホップダンスのレッスンを受ける教師たち

ダンス必修化を受け、ダンススクールでヒップホップダンスのレッスンを受ける教師たち

出典: 朝日新聞

下手でも、バラバラでもいい

――子どもにとっても、「教わる」だと「正しい動き」「うまい動き」をしなければ、というプレッシャーになりますね

 

 

杉谷

自意識が強すぎる人ほど、「人より下手かもしれない」「遅れているかもしれない」と思ってしまう。
「うまくならねば」という価値観だと、「自分はダンスは向いてない」「苦手だ」となって、ダンスが嫌いになってしまう。 そういう人を減らしたくて、学校のダンスの授業に関わっています。
下手でもいいし、動きがバラバラでもいいんですよ。楽しくコミュニケーションできれば

――具体的に学校では何をしているんですか?

 

杉谷

「校歌でダンス」です。
校歌をアレンジして、ダンスをつける。

校歌は、生徒にとっては歌いたくないもの、ダサいものかもしれないけど、よく知っているものでもある。
「校歌にダンスをつけてみよう」という取り組みは、いきなり「楽しい」とはならないかもしれないけど、先生と生徒が「一緒につくろうぜ」と言えるものなんです。
そうやって両方が歩み寄って、いっしょに作り上げていくことが、まさに、コミュニケーションです



――とはいえ、中学生くらいだと、「やっぱり『三代目』の曲がいい」とかいう希望があるんじゃないでしょうか

 

杉谷

僕らが提案する「校歌でダンス」には間奏があります。
そこでソロパートをたくさん設けていて、そこで子どもたちが好きなものを存分に詰め込めますよ

――「校歌でダンス」を実際に学校で実践されていますが、手応えはどうですか?

 

杉谷

いやあ、すごくありますよ。しめしめです。
見ていると、先生と生徒が、「一緒にやろうぜ」って自然とコミュニケーションをとって、作り上げていくんですよね。

僕はCMやミュージックビデオの振り付けで、タレントさんだけじゃなく一般の方にもたくさん振り付けしてきましたが、みなさん楽しんで踊ってらっしゃるように感じます。「踊るなんて恥ずかしいことだから、みんな戸惑っているのでは?」という前提で入るから、気になるだけだと思います

――おおお。自意識過剰なのは、私の方でしたか・・! そういえば、以前はやった「恋チュン」も、おじさんおばさんを含め、全然うまくない人たちが楽しそうに踊っていましたし、みんなそれを楽しく見ていました

 

杉谷

そうそう。
そういうものです。
むしろ、そうじゃないと、おまつりとか人間の文化に踊りが組み込まれているわけがないです。

必修になったことで、先生にとっても生徒にとっても、ダンスの授業がことさら悲しい思い出、つらい思い出をつくるためのものになってしまったら、悲しいです。
「ダンスはうまく踊らねば」という価値観に対して「それってどうなの?」と問いかけられたらと思っています

学校のダンスについて語る杉谷さん(左)と菊口真由美さん

学校のダンスについて語る杉谷さん(左)と菊口真由美さん

出典: 朝日新聞

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