コラム
映画かよ!イランの路上にゾンビ? 警察出動、ガス工事が招いた珍事
ゾンビが道路に現れた!? 中東イランでそんな騒ぎがありました。大雨の後の工事現場に4体の遺体が出現。警察が緊急出動する事態になりました。まるで映画のようなこの展開、一体、何が起きたのでしょう? 調べてみると、イスラムならではの埋葬が関係していました。
カスピ海に面したイラン北部の静かな町、ラムサール。水鳥などがすむ湿地の環境を守るための国際条約、「ラムサール条約」が1971年に採択されたことでも知られています。
イラン学生通信(その名の通りイラン全土の学生が運営する通信社)が9月7日に報じたところでは、路上に4体の遺体が転がっているのが見つかりました。警察が緊急出動して道路を封鎖、人口約3万3千人の町は騒然となったそうです。
道路は高台に接しており、道路脇は高さ約2・5メートルの斜面。上は墓地になっていました。
このエシュコンク墓地を管理するイブラヒム・アジズプールさんによると、現場付近ではガス管の工事をしており、地面を採掘中でした。
さらに、道路が冠水するような激しい雨が一昼夜にわたって降り続け、崖崩れが発生。地中に埋められていた遺体もろとも流れ出たというのが真相だそうです。
イランをはじめ、イスラム教を信じる国々では、遺体を土葬します。これはキリスト教の国々でも同じです。神による最後の審判で、死者は復活すると考えられているからです。
イランの場合、地面に埋められた遺体は故人の名前や遺影などを刻んだ墓石で覆われることが多く、多少の雨で崩れることはありません。
ただ、今回は崖崩れで墓の側面が削れたため、遺体が流出してしまったとのこと。また、イスラム教では一般に棺おけを使わず、白い布に包むだけで埋葬するので、そのままの形で出てきてしまったようです。なお、死後1年に満たない遺体もあったといいます。
なお、イランでは毎週木曜と金曜が墓参りの日となっており、死者をしのぶ人の姿が多く見られます。命日やイランの正月(日本の春分の日)には、特に多くの人がお墓を訪れます。
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