IT・科学
「ポケモンGO」が壊す“ラブホ街” 人を集めたくない側の主張
一大ブームを巻き起こしている「ポケモンGO」。マクドナルドではさっそくコラボ企画がスタートし、経済効果も期待されています。一方で、人が押しかけることが商売の妨げになる場所もあります。「ラブホの上野さん」として、ラブホテルにまつわる話題をブログやツイッターで発信する上野さんは、街の動線が書き換えられることへの違和感を投稿し、多くの反響を集めました。「ポケモンGO」の何が気がかりなのか? 上野さんの思いを聞きました。
ツイッターのフォロワーが18万を超える上野さん。丁寧な物言いながら、物事の真理を突くメッセージが評判を呼び、ブログやマンガも人気を集めています。5月には新著『ラブホの上野さんの恋愛相談』(KADOKAWA)を出しました。
そんな上野さん。「ポケモンGoとラブホテル」と題したブログ記事では、ゲームの爆発的なブームについて「かなり切実に考えております」と訴えました。
そして、ブログでは「ポケモンGO」の影響力について、次のように指摘しています。
一方で上野さんは「任天堂やGoogleが、位置情報ゲームでそういった悪しき行動をするとはそこまで思ってはおりません」と、あくまで、使い方次第であることを強調します。
それでも、ゲームが引き起こす変化に警鐘を鳴らします。
ブログは、大きな反響を呼びました。上野さんが自分のツイッターで紹介するツイートを投稿すると、5千を超えるリツイートが集まりました。コメント欄にも様々な意見が寄せられました。
取材に対し上野さんは、ブログ執筆の動機を次のように語りました。
「一企業による街の『動線管理』がどれだけ恐ろしいか、ということを皆様にお伝えしたかった」
また、「ポケモンGO」自体については「ツールに善悪はない」と説明。「例えばナイフを使っているときに『これは使い方を間違えると怪我をする』と考えないで使うことは悪だと思ったので書かせて頂きました」としています。
ブログで伝えたかったことについて上野さんは、「あくまでも重要なことは、企業が自身の都合で、街の動線を管理できるということにあります」と強調します。
「申請をすればジム等を消すことが出来るという意見もありましたが、申請で一々消していたら、このゲームからポータル(ポケストップやジム)はなくなります。それに何を基準に消すのかもわからない」
ブログには、任天堂のような社会的な立場のある大企業が作ったゲームである点を挙げ「他の企業じゃ作れないから大丈夫」という意見も寄せらました。
これに対して上野さんは「他の企業に作れないから問題なのです」と反論。「他社がいれば競争が生まれますが、他社がいなければ競争もうまれない。独占になってしまう」と訴えます。
「動線の管理というのは、広告という面では勿論ですが、渋滞、産業、工場、都市設計論、地価、犯罪の防止、犯罪の推進、など非常に様々なことに影響を与える問題です」
現在、「聖地」と呼ばれる場所には、多くの人がスマホを手に集まっています。
上野さんは「『ポケモンGoでこれまで知らなかった場所や道に出会えた!』ということは、これまで行っていた道に、場所に行く時間が減ったのです。しかも企業が想定した通りの順路で。これが10人20人の問題なら怖くもありませんが、今街を歩いていたら、こういう人間がどれだけいますでしょうか?」と問題提起をします。
そして、上野さんが一番、問題だと思っているのは、街の動線が変わってしまう可能性があることへの言及が少ないことです。
「それほど大きな影響を与えたというのに、この問題に誰も言及しなかったことがあまりにも恐ろしく、ブログを書いてよかったと思っております」
上野さんは、あくまで、可能性として「ポケモンGO」の様々な影響に考えを巡らせています。ブログでも言及しているように、「ポケモンGO」自体が「街の動線」というレベルで大きな変化を引き起こす可能性は少ないかもしれません。
一方で、ラブホテルのように、人が集まることを喜ばない商売があるのも事実です。
上野さんは「街の動線」の大切さとラブホテルの関係について、ポケモンの卵を生むシーンを例に挙げて、解説してくれました。
「ポケモンは育て屋さんに預けるとタマゴを生みますが、このタマゴを生む瞬間をゲーム内で見ることは出来ず、いつの間にかタマゴを持っていたと育て屋さんから言われます。つまりはそういうことで御座います。ポケモンとはいえ、見てはいけない場面も御座います」
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