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2015年02月11日

編集部8人で「年商10億円」へ 東洋経済オンラインの稼ぎ方・下

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東洋経済オンラインの山田俊浩編集長。若手との会話を大切にするという=東京・日本橋本石町の東洋経済新報社で、古田大輔撮影

東洋経済オンラインの山田俊浩編集長。若手との会話を大切にするという=東京・日本橋本石町の東洋経済新報社で、古田大輔撮影



 「東洋経済オンライン」は今後どう稼ぐのか。動画広告への期待、新たな課金手法、ページ分割によるPV増の是非――。山田俊浩編集長がざっくばらんに話してくれました。3回にわたるインタビュー詳報の最終回です。

広告で「未開拓な分野」はある

 ――東洋経済オンラインは会員登録が必要ない、無料で見られる広告モデルです。国内外の新聞社のニュースサイトではそうした「無料広告型」から、「有料課金型」への流れが強まっていますが、山田さんは「広告型でやれることはまだたくさんある」と発言されていますね。

 「広告部門と、そう話しています。これまでは『週刊東洋経済』を中心に、広告はBtoB(企業向け)が多かった。BtoC(消費者向け)は開拓し始めたばかりです。最近、ビジネスパーソン向けのファッション系アイテムなどの広告が入り始めました。1回成功すると、次々にBtoC案件が来ると楽観しています。やりきっていないところがたくさんあるから、PVが増えることを示していけば、広告はきます」

 ――広告枠を増やす?

 「個々の記事の中に入れることも挑戦します。記事の途中から広告が広がって、記事が途切れるような形もありえます。(ニュースアプリの)グノシーは広告が記事の間に入ってくるから不愉快だ、と言う人たちもいますよね。だけど、現実にあれだけ見られている。ということは、記事が分割されることが変だとは、そんなに思われないかもしれない」

 「それとここ(トップページ右上の広告枠)を動画にしていきたい。とりあえず2月10日から1週間は動画に。動画製作にはコストがかかっているから、良い場所に入れたい。だけど、これまではサイトの下の方にしかコンテナ(入れ物)がなかった。だから一番良いところにも、記事中にも入れてあげようという試みです」

東洋経済オンラインのトップページ。赤枠で囲ったのが広告枠

東洋経済オンラインのトップページ。赤枠で囲ったのが広告枠

出典:東洋経済オンライン

 「動画には期待しています。テレビなどのマスメディアは短期間に多くの人にリーチします。1週間で1千万人に見て欲しいとか、そういう狙いがあって初売りシーズンにばーっと告知したりするわけですよね。『ピアノ売るならタケモトピアノ』を年末にやることに意味がある。そういうときに、たとえば1%をタケモトからもらえたらいいな、と思っています」

 「テレビCMをやるときに『同じものをオンラインでも流そう』という動きは、これから始まると思います。動画を作る側にとっては、新たに作るのではなくて、もうすでにテレビなどで作っている広告を2次利用できる。ユーザーからみると『テレビでもウェブでも見た』とマインドシェアを高めることができます」

 ――ネイティブ広告を自ら作っていくことは。

 「広告部門で、すでにやっています。雑誌の時代から記事風の広告は掲載してきました。しかし、『広告』『企画広告』と明記することで、記事とは混同しないようになっています。広告部門に専門家がいて、そこで制作しています」

月間1億PVは目前、さらにその先へ

 ――PVの伸びは10~12月に少し緩やかになりました。伸び悩みでしょうか。

 「ここは言い訳を。10月には良い記事がたくさん出て極端に伸びすぎました。もう少し調整できればよかったのですが。その分、11月と12月が苦しくなりました」

東洋経済オンラインのPVとUU(昨年12月まで)

東洋経済オンラインのPVとUU(昨年12月まで)

出典: 東洋経済オンライン編集部

 「11月も12月もどんと伸びて年内で1億超えたら一山こえて楽だなとも思いました。だけど、11月は大型台風や御嶽山の噴火など自然災害が相次ぎました。こうした情報が、テレビや他の新聞系のサイトで時々刻々と報道されました。東洋経済オンラインはご存じの通り、そうした速報系記事は苦手です。その間の数字が非常に悪かった。それは仕方がないと思っています」

 「12月は、年末のお休みがありました。それに、あまり読まれないとしても、年末には2014年の総括、2015年の展望など、おさえておくべきテーマがあります。編集部員のプライベートもあります。冬休みは編集部全員、私も含めて取りました。1月はいいです。9千万はめざせます(最終的に1月は9304万PV)」

 ――年度内に月間1億PVを達成できそうですか。

 「2月は短いから困ります(笑)。3月に1億PV、年内には1億5千万PVにいきたいです」

 ――「PVが多いのはページ分割のおかげ」という批判もあります。1ページを二つに分割すれば2PVに倍増する。他のサイトでもよくありますし、山田さんが就任する以前からのものですが、この批判をどう考えますか。

 「そうした批判があることは、重々承知しています。とくにスマホ時代になって、煩わしさは倍増していると思います。しかし、テレビ番組に挟む込むCMと同じようなもので、分割する際には次のページを読みたくなるよう工夫しています。もし面白くない記事なら、読者は離脱してしまいます。そこは驚くほどシビアです。ですから、無意味な分割はしないように気を付けています」

 ――ページ分割で一覧性が落ち、ユーザーの煩わしさが増えるのは、ブランディングにマイナスなのでは。

 「マイナス面がないといえば嘘になります。他サイトとも比較しながら、どのような見せ方をすればいいのか、研究しているところです」

ECとマイクロ課金に挑戦

 ――広告以外のマネタイズはどうしょう。

 「さまざまなマネタイズの方法を、編集部だけでなくデジタル戦略部という部署でも研究しているところです。そのうち、有力候補になっているのがEC(電子商取引)とマイクロ課金です。ECについては、もっと東洋経済自体の商品を便利に売っていきたい、というのが1つ。さらには広告主が売りたい商品を東洋経済オンラインのサイト上で売っていく、ということも研究しています」

 「なぜECかといえば、ワンストップで買えるサイトは本当に便利だからです。記事を読んで、その記事で紹介されている商品を今ほしい、と思う。すぐにクリックして購入できる。アマゾンのアフィリエイト広告などが、それに相当します。こうしたECについて、東洋経済オンラインでは今のところ書籍や雑誌が中心ですが、もっと多くの商品について、興味を持ったら買う、という入り口を作れればいいな、と思っています」

 ――記事というのは記事風の広告でしょうか。

 「いや、記事です。そこをうまく切り分ける。記事も、広告のように商品を勧めるわけではないです。昔のイメージでは、記事から購入できてしまうと広告にみえたかもしれませんが、そういう見方は変化しつつあるように思っています。でも、これはあくまで仮説なので、もし問題があれば、記事の中に購入窓口を作るのではなく、サイトを切り分けるようにします」

 ――マイクロ課金とは、個々の記事のばら売りですか。

 「別の話です。東洋経済には、会社四季報オンラインや株式ウィークリーなどの有料メディアの課金システムがあります。このシステムが5月以降に改善されて、より柔軟な課金もできるようになります」

 「この課金システムを使って何ができるか、と。私はお金をもらうことができるのはデータだと思います。例えばランキングを作る場合に、100位までは無料で見られるけれど、101位以下は有料で、ということが考えられるかもしれません。これでいきなり大きく稼げるとは思っていませんが、こういうものを作る段階に来ています」

企業の様々なデータを紹介するランキング記事は人気コンテンツ

企業の様々なデータを紹介するランキング記事は人気コンテンツ

出典:東洋経済オンライン

少額を払って、深く知りたい人はいるはず

――ペイウォール(課金の壁)をどこに置くかは難しい判断です。ソーシャルメディアからの読者流入が増える中、シェアされにくいペイウォールは敬遠されがちです。 

 「全部無料でできるとうれしいけれど、そのためにはPVをもっと増やさないといけない。UU(サイトへの訪問者数)が1千万を超えてくれば、多少お金を払ってもいいという人たちに『ここから課金の壁です』としても、全体に悪影響を与えません。だけど、ある記事は無料で、ある記事は有料という形は絶対駄目だと思う。ヤフー個人でも、この人は有料でこの人は無料、としている。読者はちょっとストレスに感じますよね」

 「基本は全部無料だけど、プラスアルファが有料。たとえば帝国データバンクでは基本資料は1枚数百円だけど、全資料は何千円、としています。さらに深く知りたければお金を払ってねと。その深いものとは記事じゃない、データだと思います。そこは東洋経済の強みで、企業データは、データベースとして蓄積をもっています」

 「他社にはできないような付加価値のあるランキングを作れるのも、社内の蓄積があるからです。そういったものを、一部は無料、途中から有料にする。ほとんどの人は100位までで十分。だけど、100位までに自分の会社がなかったら、『うちの会社は何位だろう?100円なら払って何位か見たいな』というのはあると思います」 

 ――日経新聞の電子版は課金型で有料会員が40万人です。

 「あれができるのは日経だからこそです。ヤフーの引力から、初めから遠ざかろうとしてやってきている。本当に素晴らしいビジネスモデルなのですが、我々がヤフーの引力から離れて日経側に行こうとおもったら、中間地点でどっちつかずになっちゃう。やはり基本は無料です」

年内に月商1億円を目指す

 ――東洋経済オンラインの収益はどこまで伸びていますか。

 「(編集長を昨年7月に)引き継いだ時点で月に3千万円ほどでした。それが12月には6千万円。広告単価が、安いながらもちょっとずつ上がっています。ネットワーク広告が増えて、ネイティブ広告も開拓を始めていて、これが成約に結びついていけば、大台にあがっていく。早く月に1億円にしたいと思っています」

 ――8人の編集部員ですごい伸びですね。

 「ただ、月商1億円といっても、東洋経済オンラインには経営戦略、システム、広告など多くの社員が関わっています。8人だけでやっているものではないので、まだまだ十分に利益貢献できているというレベルではありません」

 ――紙媒体も含めて、新旧のメディアが成長していく将来像は描けていますか。

 「今はオンライン編集長という立場にいるので、ここを伸ばそうと頑張っていますが、もともとは紙の雑誌一筋でやっていたので複雑な思いがあります。米国では、いったん廃刊になってウェブに統合した紙の雑誌が復刊した例があります。東欧では、紙の新聞が紙面のデザインを変えて部数を大幅に伸ばした例もあります。難しいとは思いますが、オンラインと紙の両方が共存できる道を探し続けるしかないと考えています」 

机に置かれた東洋経済の報道腕章

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