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お金と仕事

たかの友梨、提訴の女性社員が告白「売上のため自分で3重ローン」

「たかの友梨ビューティクリニック」で“マタニティ・ハラスメント”があったとして、会社側を提訴した女性社員が『告白文』を公開しました。

「たかの友梨」で働く女性従業員が告白
「たかの友梨」で働く女性従業員が告白

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 エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」で“マタニティ・ハラスメント”があったとして、損害賠償を求めて会社側を提訴した女性社員が29日、弁護団などを通じて『告白文』を公開しました。「客に必要のないパックを勧めた」「忙しくておにぎり1つ食べられない職場だった」「売上達成のため、三重のローンを組んで自社製品やサービスを買わされた」など、切実な実体験が記録されています。(※2018年8月29日追記 記事で取り上げた裁判はすでに和解が成立しています)

「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する「不二ビューティ」の社長を務める高野友梨氏
「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する「不二ビューティ」の社長を務める高野友梨氏 出典:「たかの友梨ビューティクリニック」公式サイトから

「忙しくておにぎり1つ食べられない」

私は髪を触ったり、マッサージをしたりするのが好きで美容に興味を持ち、美容専門学校に入学しました。大手企業に入りたいと思ってましたし、有名なところだったのと、他の企業に比べて(施術の)コースの数が多いため、自分の経験も積めると思って、たかの友梨を選びました。

入社してみて驚いたことは、先輩たちがほとんど休憩を取らずに忙しそうだったことと、研修費と化粧代を最初に給料天引きで引かれていたことでした。(入社前と)入社後では大きなギャップがありました。相当な体力仕事だな、アスリート的な感じだなと思いました。座ることがほとんどなかったので、足がとにかくきつかったのを覚えています。

20歳で入社し、新人の頃から8時から22時くらいまで(朝・夜の練習を含む)長時間労働のうえ、休憩はほとんどありませんでした。母親が作ってくれたお弁当のフタを開けて食べる時間もないため、しかたなく、おにぎり1つにしてもらいましたが、それも結局は食べれず、家に持って帰って、母から心配されたりを繰り返していました。

片道1時間半かかる配属先に、定期代4万円のうち、交通費2万円を自己負担しながら通いました(※1)。新人で給与が少ない時はとても経済的に厳しいものでした。お客様にもコースにも慣れていない中、朝早くて夜遅かったので、それについても母親は心配していました。

エステティシャンは全身を使った「肉体労働」で、妊婦には負担が重い(※イメージ写真)
エステティシャンは全身を使った「肉体労働」で、妊婦には負担が重い(※イメージ写真) 出典:imasia

「自社商品を自分でローンで買った」

入社後3ヵ月でストレスと不規則な生活から胃腸炎になり1週間入院をしました。医者は、昼休みを取れないため朝と夜にたくさん食べて働くサイクルが、胃酸の分泌に影響を与えていると言っていました。

その後、小さいお店に配属されました。小さいお店だと従業員3人というお店もあります。そこでは売上への負担が大きく、(私も)MAX50万もするローンを何回も組み、最高で同時期に3重のローンを組みました。外へのチラシまきから帰ってきたら店長がローンの用紙を持って待っていました。売上を達成させる為に購入せざるをえない状況でした。自分自身が使わないものもたくさん買いました。自分が使わないコースや美顔器をたくさん買いました。実質的には手取り月10万程度で、給与(二十数万円)の約半分は会社のために使っていました。

「たかの友梨」の別の元社員女性が自腹で購入させられた、ジュエリーやマッサージ器具などの自社商品。会社側の代理人は「売り上げ目標は店舗にはあるが、個人には課していない。自腹購入はあるかもしれないが、会社として指示も推奨もしていない」としている
「たかの友梨」の別の元社員女性が自腹で購入させられた、ジュエリーやマッサージ器具などの自社商品。会社側の代理人は「売り上げ目標は店舗にはあるが、個人には課していない。自腹購入はあるかもしれないが、会社として指示も推奨もしていない」としている 出典:朝日新聞デジタル

「お客様に必要のないエステも勧めた」

働く中での異動も10回ほどと頻繁にあり、とても辛いことでした。新人の時はそのお店の先輩の名前、施術のやり方、お客様について覚えたところ、またすぐに異動、の連続で常に緊張が絶えませんでした。

その中でも長期で働いたお店では業務はもちろん、お客様についても(特徴などを)全部把握して仕事ができました。2年後でも(お客様に)会ったことがあるよねと声をかけてもらえました。時には洋服をいただいたり、昼食を作ってきてくれるお客様もいました。そのお店を異動する際にお客様もショックを受けていましたし、私自身も慣れているお客様と離れるのは辛い思いでした。いつも、会社から、異動は前日に言われました。

トレーナーになってからは大きいお店を転々と異動をし、2日前に大阪への異動を伝えられた際に断っても、「もう決まっていることだから」と強制でした。その時かかった引っ越し費用や交通費も自己負担しました。

お店の技術目標のために、やればやるだけ達成に近づくので長時間労働をし、遅番や早上がり、休みの日でも関係なく、サービス労動でタイムカードを押さずに働くことも多くありました。安いチケットをたくさん売っていたので、目標達成まですごく大変でした。

お客様に合っていないコースへ誘導したりもしました。ペースがゆっくりのコースを受けたい方に、痩身を勧めたりしました(※2)。必要のないパックを勧めたりもしました。効果も半減します。それでも、そうしないと仕事が回りませんでした(※3)。すごく嫌でやりたくない気持ちになりましたし、お客様にも申し訳なかったです。60分のコースで担当が3人変わったこともありました。お客様も落ち着かない状態でした。

(※イメージ写真)
(※イメージ写真) 出典:imasia

「妊娠したら、大半は退職」

これまで私は8年間働いていましたが、産休をとった人は3、4人しか見たことはありませんでした。基本的には妊娠をしたら、みんな退職をしていきました。(会社が)ちゃんとした情報もくれないので、産休を選びようがない中、退職を選ばされた人が多いと思います。

今回私も産休にいたるまで、フロント業務や時短勤務などの軽易業務への転換をもとめましたが拒否されたり、「妊娠5ヶ月で産休に入らないといけない。復職後はフルタイムの正社員で必ず戻ってこないといけない」などと正しい産前・産後休暇を教えて頂けませんでした。また、(高野友梨)院長先生への「お伺い書」(おうかがいしょ)や産休を取得するにあたっての「誓約書」ではそれに加えて、保育園の確保などの条件を約束させられました。最終的には切迫早産で絶対安静を余儀なくされました。

妊娠してから働いている時は、お腹の張りと腰痛がひどかったです。できれば休みたい、休憩も座ってゆっくり取りたいと思いながら、通常の9時から22時までの仕事を出産3か月前くらいまで続けていました。
 時短勤務やフロント業務ができていたら、切迫早産になることもなかったですし、(お腹の)命が失われるのではとの心配が、自宅安静後も頭を離れませんでした。

「ブラック企業では?」

8年間伝えられないほどの精神的苦痛がありました。 でも、お客様の信頼をいただいていたり、後輩スタッフからも離れられないと感じていて、続けていました。

今までこの会社を信じて身を削り頑張ってきましたが、いろいろと矛盾があったことに気付いてからは、『ブラック企業』ではないかと思いはじめました。これから働く人や、いま働いている人、産休をとる人のため、会社が変わってほしいです。若い女性が中心の会社で、従業員みんなが過重労働がなく、産休を取って安心して働き続けられる会社になってほしいです。「100年企業」をめざす会社のためにも現状を理解し改善していただきたく、今回の裁判を行うことに至りました。

■提訴、告白した女性社員を支援する労働組合「エステ・ユニオン」による注釈
※1 「たかの友梨」での交通費負担は最高で月2万円まで
※2 ペースがゆっくりのコースに比べて痩身はお客様の身体的負担が強いですが、単価が高いので、ノルマ達成のためにコースを変更したということ
※3 売上のために予約を詰め込みすぎて多忙になっているため、手が空くパックによって時間を稼いで、そのあいだに他のお客様の施術を行うということ

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(※2018年8月29日追記 記事で取り上げた裁判はすでに和解が成立しています)

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