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皮膚の病気の悩み、抱え込まないで【PR】

WEB市民公開講座シリーズレポート PR by 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 2021年11月7日(日)開催

目次

2021年11月7日、「みんなで考える市民公開講座ー皮膚の病気、患者さんの笑顔のために」がオンラインで開催されました。第2回のテーマは「皮膚の病気の悩み、抱え込まない~患者さんが向き合う、体と心の悩みを考える~」です。

皮膚の病気は、体だけではなく心の辛(つら)さを抱える患者さんが多くいます。ジロジロと見られたり、「触れたら感染するのでは」と誤解され、他者から心無い言葉を投げかけられたりすることもあります。「乾癬(かんせん)」や「アトピー性皮膚炎」、「蕁麻疹(じんましん)」といった皮膚疾患の患者さんの中には症状の悩みだけでなく、社会的な悩みを抱えるケースが後を絶ちません。

このような誤解をなくし、患者さんの笑顔を守るためには何が必要なのでしょうか?皮膚の病気を専門とする医師と当事者である患者さんが、それぞれの立場からの思いや体験を語り合った市民公開講座から考えます。

日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野助教で医師の葉山惟大(はやま・これまさ)先生(写真左)と、NPO法人「東京乾癬の会 P-PAT(ピーパット)」の壽幸志郎(ことぶき・こうしろう)さん(写真右)
日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野助教で医師の葉山惟大(はやま・これまさ)先生(写真左)と、NPO法人「東京乾癬の会 P-PAT(ピーパット)」の壽幸志郎(ことぶき・こうしろう)さん(写真右)

登壇したのは、日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野助教で皮膚科医の葉山惟大先生と、ご自身も乾癬患者でありNPO法人「東京乾癬の会 P-PAT(ピーパット)」の役員として活動されている壽幸志郎さんです。

皮膚の病気で辛かった「行動の制限」と「周囲の視線」そして「痒み」

壽さんは「私は元日生まれで、名前の通り日本一めでたい男です」と明るくユーモアを交えながら、ご自身の体験や乾癬という病気の辛さ、それを乗り越えられてきた道のりについてお話しされました。

自身の体験談を交えながら乾癬患者の現状を話す壽さん
自身の体験談を交えながら乾癬患者の現状を話す壽さん

「乾癬とは皮膚の病気の一つで、少し盛り上がった赤い発疹(ほっしん)の上に銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ・皮膚の粉)が付着し、剥(は)がれ落ちる症状が出ます。乾癬は『かんせん』と読みますが、人から人へうつる病気ではありません」

壽さんは0歳で発疹が見つかり、3歳で乾癬と診断されました。学生時代は心が最も辛かったといいます。

「小学生時代は全身に乾癬の症状が出ていました。1番辛かったのは親からの度重なる忠告です。半袖を着たいと言っても着させてくれなかったり、プールに参加させてくれなかったり。修学旅行でも同級生と一緒に入浴させないよう学校側に要望するなど、禁止されることの多い学校生活でした。今となっては親が私を守ろうとしてくれていたのだとわかるのですが、当時はさまざまな行動を制限されていたことで、引っ込み思案な性格になりました」
 
そして社会人になると、周囲の視線で辛い思いをすることがありました。
 
「鱗屑が落ちるので、他人の視線がとても気になりました。スーツを着ると肩のところが白く目立ちますし、私のデスクの下は鱗屑で真っ白になっていました」
 
接客の際には心無い言葉をかけられることもあったといいます。
 
「乾癬は、爪に症状が出ることもあります。携帯電話業界で働いていた頃、お客さまに操作の説明をすることがあったのですが、爪がボコボコと変形する症状が出ていて『その指どうしたの?』と驚かれたり『私の携帯に触らないで』と言われたりしたこともあります」
 
壽さんが身体的に非常に辛かったのは「痒(かゆ)み」だといいます。特に酷かったのは20歳の時。痒みで何日も眠れず入院することになりました。また小学校3年生の頃にも痒みで壮絶な体験をしたといいます。
 
「思い出すのも辛いのですが、夜に痒くてたまらなくなり掻(か)きむしったためシーツが血だらけになってしまいました。何とかしようとお風呂に入ったら湯船が血で真っ赤になりました。この時は『自分はこのまま死ぬんじゃないか』と朝まで泣き続けました」
 
そんな病気の辛さを乗り越える上で、壽さんが大切にしてきたのは「ポジティブシンキング」だといいます。

辛いコトを自ら増やさない、そのための「ポジティブシンキング」

「中学に入学した時、クラスの自己紹介で友人が『ポジティブシンキングを意識している』と話をしました。その時、自分の考え方次第で辛いことも前向きに捉えられるんだと、初めて認識したんです。それからは、私もなるべくものごとをポジティブに考えるようになりました」

さらに、今は1、2週間に1回、趣味のサウナに通っていると話す壽さん。

「肌を隠さずに入浴していますが、他のお客さんから文句を言われたことはありません。一度だけ、施設の人に入浴を拒否されたことがありました。理由を聞くと、以前常連客から皮膚の病気の患者さんを入浴させないでくれ、とクレームが入ったことがあると言うのです。私は『もし他のお客さんに文句を言われたら、自分で対処するので施設にご迷惑はかけません』と説明し、納得していただき、入浴することができました」

壽さんは「辛いことを、自分でも『辛い辛い』と言っていると、プライベートが楽しくなくなってしまうのでは?自身で辛いことを増やしていませんか?」 と疑問を投げかけます。

「私は『もう見られてもいいや』と吹っ切れてサウナに行くようになり、おかげで自分が思っている以上に他人は人のことを見ていないなと気付くことができました。今も腕やお腹に症状が出ていますが、夏は半袖を着て、開き直って生活しています。ジロジロ見られたとしても害はありません。まずはポジティブシンキング、ぜひ前向きに考えてプライベートを楽しく過ごしていただければと思います」

皮膚の病気における誤解とは

皮膚の病気の患者さんを傷つける冷たい視線や周囲の行動の原因に、「社会的スティグマ」があると考えられます。

元々は「烙印」といった意味で使われており、古代ギリシャで身分を示すためにつけられた焼印に由来する言葉です。社会において病気や性別など、その人の一部分だけを見て抱くネガティブな概念を「社会的スティグマ」といいます。

葉山先生はこの事象がおこる背景、またその解決方法についてこのように話します。

「社会的スティグマは個人ではなく、特定のカテゴリーや集団に抱かれる概念で、その一つに『公的スティグマ』があります。具体例としては、新型コロナウイルスの患者さんに対する差別があります。患者さんへの冷たい視線や、感染者を特定しようとする空気があり、『感染したら差別されるのでは』という恐怖がありました」

葉山先生は問題点を、「差別を避けるために患者さんが病院に行けなくなり、最終的に健康を害してしまうこと」だと指摘します。

「新型コロナウイルスの例では特にそうですが『感染すると差別される、職を失うかもしれない』と不安になることで、医療機関を受診しなくなってしまうことが大きな問題です。そのために治療の開始が遅れたり、周囲に感染させてしまったりすることで社会的なマイナスが大きくなってしまいます」
さまざまな皮膚疾患の患者さんと向き合ってきた葉山先生
さまざまな皮膚疾患の患者さんと向き合ってきた葉山先生
「そこから慢性的な孤立につながり、さらに寂しさを埋めるために飲酒や喫煙、人によっては薬物の摂取に及ぶこともあるかもしれません。次第に自分を責め、孤立し、そして自分自身に対して誤った認識をもってしまうことを『自己スティグマ』と言います」

患者さんが前向きに生きていける社会へ。大切なのは「正しい知識」「相互理解」

では皮膚疾患に対する誤解をなくし、患者さんが前向きに生きていける社会を実現するにはどうすればよいのでしょうか? 皮膚疾患におけるスティグマは、「見た目の変化」「感染症かもしれないという不安」「匂いや鱗屑の問題」「痒みや痛みの問題」から生じやすくなると葉山先生は語ります。

しかし症状が改善すれば不安や自分を責める気持ちが消滅するのかというと、必ずしも全部がそうなるとは言えません。例えばアトピー性皮膚炎の患者さんの中には、症状が良くなっても過去の悪い状態が頭から離れず『肌を出すのが怖い』という方がいらっしゃいます」

また、葉山先生の専門である化膿性汗腺炎や蕁麻疹の患者さんにも、同じように悩まされる方がいるのだそう。

「化膿性汗腺炎は脇の下やお尻に痛みを伴うおできができる病気です。悪化すると膿(うみ)が常に出るようになり、すごく痛いうえ、膿が服を汚してしまい匂いもするので『周囲に不快感を与えるのでは』と患者さんは辛い思いをしています。完治はなかなか難しい病気ですが、治療によって症状を抑え、周りを気にせず働くことは可能です」

葉山先生は前向きに日々の生活に向き合うために、皮膚患者さんに次のようなアドバイスをされました。

「例えば乾癬であれば、人にうつる病気ではないと伝える、周囲に正しい知識を持ってもらうことが大切です。不安や誤解の解消には相互理解が大切ですから、学校や職場に病気についてきちんと伝えましょう、場合によっては医師が診断書を発行したり、学校の保健の先生と直接お話したりするなどの手助けをすることもできると思います。

また、治せる病気は治療により症状が良くなることがありますから、しっかりと治療しましょう。今は治せない病気でも、医療の進歩によって治せる時代が来るかもしれません。例えば繰り返す発熱と痛みのない蕁麻疹などの症状がでるMuckle-Wells(マッカルウェルズ)症候群という病気。100万人に1人といわれる難病に、50代で確定診断に至る患者さんがいます。しかし近年、この病気の原因遺伝子が見つかったことで、完治は難しくても有効な治療ができるようになりました。現在の医学界は、半年で知識が倍になる程のスピードで発展しています。不治の病とされていた病気の治療法が急に見つかることもあるのです」
 
そして皮膚疾患に対する誤解をなくし、患者さんが前向きに生きていける社会を実現するためには、次の4つが大切だと話します。

「正しい知識を持つこと、お互いの話を聞くこと、医療の発展、社会の発展。この4つすべてが大切です。特に正しい知識を持つことはとても重要です。今は新型コロナウイルスのワクチンに関する情報がインターネット上で氾濫し、現代のインフォデミック(インターネット上で大量のデマが発生し、現実社会に影響を及ぼす現象)と言える状況にあります」

正しい知識を身につけるためには、情報の根拠を見極めることが重要だと話す葉山先生。

「大切なのは根拠を確認することです。例えば『これが病気にいいよ』と言われたら、何の根拠があるのかちゃんと聞きましょう。ブログで読んだとか、有名人や近所の人が言っていたという理由は根拠に乏しいです。

例えば学会のホームページや論文に書かれていたなどの、出典が明記されているものなら根拠が確かです。正しい情報を持ちつつお互いの話を聞くことを意識しましょう」

また社会の発展のためには、「我々医療者がこのような市民公開講座などで積極的に正しい知識を発信することも非常に大切だと思います」とも。最後に葉山先生は、皮膚の病気の患者さんに対して「I'mPOSSIBLE(アイムポッシブル)」というご自身の好きな言葉を贈りました。
 
「パラリンピックでこの言葉が用いられていました。障がい者の方が努力し、科学技術の発達と共に『やればできる』と世界で頑張っていらっしゃいました。皮膚の病気も同じで、正しい知識と社会の発達、医学の発達できっと乗り越えられる日が来ると思っています」
 

私達が「正しい知識」を持ち「相互理解」を実現するために

最後に、葉山先生と壽さんに対してオンライン受講者から寄せられた質問を紹介します。

相互理解が必要だと話す葉山先生
相互理解が必要だと話す葉山先生
Q1:調べると病気に関する情報がたくさん出てきます。正しい情報を収集するにはどのようにしたらいいでしょうか?
 
葉山先生:正しい知識かどうか判定することは、実は私たち専門家でも難しいことがあります。厚生労働省が「情報を見極めるための10か条」 を公開しているので見てください。私は、1番重要なのは根拠があるのかを調べることだと思います。皮膚科学会のホームページや論文など、出典が明記されていることが重要です。また、ガイドラインは専門家が作っているので根拠が確かなことが多いです。ただ医療は日進月歩ですので新しい情報がアップデートされているか確認しなければなりません。私たち医療従事者は日々情報の刷新に励んでいるので、ぜひ主治医の先生に直接聞いてみてください。

Q2:壽さんは、職場など周囲の方にはご自身の病気のことをどのように伝えていますか?
 
壽さん:基本的にはオープンにしています。普段から腕まくりをするので皮膚湿疹が見える状態です。相手の目線で「皮膚を見ているな」とわかる時は「皮膚の疾患が生まれつきあるんだよね、うつったりするものじゃないんだ」と言えば皆さん理解してくれます。乾癬という理由で何かを言われたことはありません。
 
Q3:壽さんはご自身の気持ちをどのようにコントロールされてきましたか?
 
壽さん:生まれてからずっと乾癬だったので、酷い状態が自分の中で当たり前になっています。治療して一度全部治って10年くらい過ごし、そこからまた悪化しました。しかし「治ったことがある」経験があったので「しっかり治療すれば治るだろう」とあまり焦りませんでした。さらに今は治療の選択肢も多くありますので、悲観的にならないようにしています。
Q4:私は皮膚の症状が良くても悪くても、他人の視線が気になり消極的になってしまいます。周囲の目を気にしなくてもよくなるようなアドバイスがあれば教えてください。
 
葉山先生:壽さんがお話しされた通り、ポジティブになってもらうのがいいのではないかと思います。とはいえしっかりと治療をしていただくのが前提条件です。

皮膚の病気は周りからの誤解も多くあります。例えば壽さんが罹患されている乾癬。感染するのでは?という誤解を持たれてしまった時は、勇気を持って「私の病気はうつりません」と話してみましょう。また、悪意からではなく、周りの人が「病気だから大変だろう」と判断するような、善意の誤解が生じることもあります。そんな時にも、「仕事は問題なくできます」と話してみてください。なかなか難しいことかもしれませんが、ポジティブな思考のもとて話し合っていただくのが重要だと思います。
壽さん:私も小学校の時は引っ込み思案だったので気持ちがすごく分かります。私は前向きに生きていくために夏は半袖で過ごしています。電車に乗っても人から見られることはほぼありません。ただ小さい子どもは「どうしたの?」と聞いてくることがあるので、その場合だけ場所を移動します(笑)。基本的には自分から肌を出して、それを当たり前の状態にすることを意識しています
 
周囲からのさまざまな反応に対しては、ポジティブに捉え方を変えること。「その場限りのこと」だと気にしないと、壽さん
周囲からのさまざまな反応に対しては、ポジティブに捉え方を変えること。「その場限りのこと」だと気にしないと、壽さん
  Q6:病気のことを正しく理解してもらうために、患者本人はどのように周囲と接していけばよいでしょうか?
 
葉山先生:病気によって対応が変わると思います。例えばアトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの見た目に分かる病気の患者さんには「肌を出してしまった方がいいですよ、うつる病気ではないので大丈夫です」と私はアドバイスします。 お互いに正しい知識を持って相互理解するために、少しでもオープンに話をしていただければと思います

今回の市民公開講座では、自身も皮膚病患者である壽さんが実践している日常での思考法や、多くの皮膚病患者が前向きになるような心強い言葉を聞くことができました。また医師の立場から、葉山先生が診てきた患者さんのさまざまな体験談の共有もあり、現場での経験をもとに専門家としてのアドバイスを交えながら、改めて正しい知識を持つこと、相互理解の重要性について語りました。今回の講座は、皮膚の病気の患者さんが笑顔で過ごせるために私達に何ができるのか、多くの気づきを得る機会となりました。
WEB市民公開講座シリーズ第1回

皮膚の病気の患者さんが受ける誤解

常深祐一郎・埼玉医科大学皮膚科学教授×丸山恵理・認定NPO法人「日本アレルギー友の会」副理事長
記事はこちら↓
https://withnews.jp/article/k0211026002qq000000000000000S00110101qq000023707A
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