昭和の少女マンガに出てきそうなキラキラヒロインが、あこがれの先輩をイチコロで仕留めちゃうマンガ「GOKI♥DOKI大作戦!」が世間をちょっぴりざわつかせています。先輩の正体はなんとG(ゴキブリ)! 「乙女チック殺虫ロマンス」と題された奇想天外なこの作品は殺虫剤メーカー、フマキラーの新聞広告でした。緻密な設定や作り込みが評判となり、WEB動画まで作ってしまった奇跡のコラボレーション?をフカボリします。
これってあり?禁断のラブコメ「GOKI♥DOKI大作戦!」
まずは、こちら↓ 最新作となるWEB動画「GOKI♥DOKI大作戦~生徒会長はGがお好き」をご覧ください。
物語の舞台はとある学園。生徒会長の御木(ごき)先輩は、日本有数の大財閥の御曹司、模試では不動の1位!スポーツ万能でプロ野球とアメフトからオファーが来ているという絵に描いたような人気者。一方、ヒロインの不磨キラリは、G退治にしか興味がないフツーの女の子ですが、ひょんなことから御木先輩の本当の姿を目撃し恋に落ちてしまいます。好きになったら一直線!スイッチが入ったキラリは通り道に待ち伏せし、先輩にワンプッシュ!その瞬間、御木先輩はメロメロでイチコロになってしまいました…というお話です。
よーく考えると、けっこう怖い設定なのですが、1970年代の王道ラブコメのテイストを忠実に再現した不可思議な世界は、G退治のノウハウと恋の駆け引きが絶妙にシンクロし、思わずに笑ってしまいます。往時のマンガを知る世代には懐かしくも恥ずかしく、若い世代にとっては「見たことのない」世界が展開されているのではないでしょうか?
この企画の発端は、2年前に朝日新聞に掲載された新聞広告にさかのぼります。2019年、フマキラーは同社史上最長となる18㎝ロングノズルを装着した新商品「ゴキファイタープロストロング」を発売します。苦手なGに近づかなくても遠距離から攻撃できるこの商品を売り出す広告プランを練る中で誕生しました。
Gといえば「見たくない虫」ダントツNO.1でしょう。苦手と感じる理由は多々ありますが、いきなり目の前に現れて、思わずドキッとさせられる……というのもそのひとつ。
「『近づくとドキッとする』という感情と、『恋愛のドキドキ』感を重ねると面白いかも、というアイデアが発端でした」と制作会社「アクロバット」のコピーライター、柴崎昭彦さんは振り返ります。
時代はちょうど平成が終わり、令和へと変わるころ。新時代が始まるタイミングに、あえてレトロな昭和の少女風マンガ風の絵柄で表現することで、時代とのギャップが際立ち目立つのでは、と考えたといいます。
まずは資料を求めて、東京・神田の古書店街に出撃。少女マンガ専門店で1970年代当時の月刊・週刊誌を20冊近く買い込んで、絵のタッチやコマ割りや構成、文字のデザイン、欄外のコメントまで徹底的に研究しました。デザイナーの伊藤祐也さんは「この時代の少女漫画には全く縁がなかった世代なので、表現からセリフ回しまで何から何まで新鮮で、刺激的でした」と語ります。
そうして生まれたのが、往年の少女マンガの扉絵を再現した「遠キョリGOKI♥DOKI大作戦!」。1枚の大きなイラストでインパクトを狙いました。
副題は「フマキラーがお贈りする乙女チック殺虫ロマンス!」。70年代に「乙女ちっくろまん」と呼ばれたマンガジャンルをリスペクトして命名されました。
「Gは出会いたくない、見たくないもの。広告で見るのも大変不快だという方が少なくありません。それゆえ目を背け、読み飛ばされてしまいがちです」
とフマキラーの宣伝担当者はいいます。
「しかしながら、実際にはあらゆる世代を悩ませる身近な問題です。まずはG問題に直面していない潜在層にコミュニケーションし関心をもっていただき、さらにSNS上にいる若い世代の人も面白がってくれそうな展開を目指して、この企画を実施しました」
新聞に掲載されると、殺虫剤×少女マンガというカオスなコラボレーションをおもしろがる声や、続きが読みたい!といったコメントでSNSがざわつきました。
そんな手応えも追い風に翌2020年には、書き下ろしの4ページマンガが生まれました。これが今回の動画の元にもなっています。熱血スポーツもの、悲劇のヒロインものといった70年代少女マンガの典型的な設定が候補に挙がる中、ラブコメと最も親和性の高い、あこがれの生徒会長を巡る学園ものに決定。商品の特徴である「遠距離攻撃」は「遠距離恋愛」に通じ、「待ち伏せ」や「イチコロ!」といった殺虫剤のキラーワードも恋愛ワードとなぜか相性がよく、次々とアイデアが膨らんでいったといいます。
そうして生まれたのがこちら↓「生徒会長はGがお好き」でした。
昔のマンガ誌で使われていた紙質や色み、各ページの欄外に書き込まれた「(作者の)フマキラー先生に励ましのお便りを出そう!」といったメッセージも忠実に再現しています。このこだわりぶりは「芸が細かい!」とSNSで評判になり、実際に手書きのイラストが描かれた『ファンレター』も届いたとか。
「ここまでやる?」懐かしいマンガ誌の読者コーナーを徹底再現
そして2021年。9月29日の朝日新聞朝刊に掲載された最新作では、少女マンガ誌の「読者コーナー」をリアルに再現。思い切りマニアックな方向へ舵をきった内容になっています。
「実際に読者の方からお手紙をもらったこともヒントになりましたし、当時のマンガ誌を読み込むうち、読者コーナーが持つ独特の熱量にも影響を受けました」と柴崎さん。自宅住所などの個人情報も掲載されている当時のおおらかさや、作品に対する愛情や仲間意識の強さが伝わる独特の言葉使いなど、「ネットやスマホもなく、娯楽が少ない中で、マンガに向きあうエネルギーの量が違うと感じました」。また、ポエムやお便りコーナー、悩み相談などいろんなコーナーを作れるので、より多くの情報を盛り込め、これまでにない取り組みになったのでは、と語ります。
中でも出色は、PF(ペンフレンド)募集ならぬGF(ゴキブリ・フレンド)募集のコーナー。実際にフマキラー社員が登場し、「Gがホントにホントに苦手です!」などとつぶやいています。思わずリアクションに戸惑うシュールな展開です。
さらにこだわりは商品広告の部分にも。70年代のアイドル風のイラストを配し、秋冬のG対策の重要性をアピールし、新聞広告ならではの統一された世界観やこだわりを楽しんでもらえる構成になっています。
一方、新聞以外の世代に届けるために企画されたのが今回のWEB動画でした。
この奇跡のコラボに、参加した声優の皆さんからコメントをいただきました。
不磨キラリ役/七瀬亜深さん
キラリちゃんがすごくキラキラした女の子で素敵だな〜って思ったんですけど、G退治のお話しなんですよね(笑)。ずっと御木先輩を憧れの目で見ておきながら、最後にワンプッシュしたときはどんな気持ちだったのか知りたくなりました。御木さんがイチコロになるシーンは必見です!
女友達役/清華さん
Gに恋心を抱く話だなんて!と思ってびっくりしました。なかなかない設定だったので、演じていてすごく楽しかったです。私がおすすめなのは、御木さんがGたちと戯れているシーン。商品のポイントはセリフでバッチリ説明していますので、ぜひ見てださいね!
御木先輩役/堀大希さん
最初はだいぶブッ飛んだ話が来たなぁと。日本有数の大財閥の御曹司がGって(笑)。G役は初めてだったので、楽しく演じさせてもらいました。クールを装いながら、仲間のゴキたちにやさしく語りかける御木の人柄(?)の良さを、存分に感じていただけたらと思います!
秋冬のG対策が大事な理由 実は一網打尽のチャンス!
動画の中でも解説している秋冬のG対策のポイントについて、フマキラーさんに伺いました。
寒くなると家の中でGを見かける事は少なくなりますが、決していなくなったわけではありません。Gは冬場でも20度以上の環境があれば1年中生育が可能で、主要な2種(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ)は通年で発生するそうです。
ではGはどこに隠れているのでしょう? 答えは冷蔵庫の裏やAVボードの裏側など、暖かい場所に集まる傾向があるそうです。実は行動範囲が狭くなる冬場は、一網打尽のチャンス。「ゴキブリワンプッシュプロプラス」なら、ひとふきで細かい粒子がすき間奥まで届き、効果も1カ月続くため、秋冬のG対策にぴったりの商品なのだそうです。
これからの季節にしっかり対策すれば、春にGに出会ってドッキリする回数を減らせそうですね。
それでは最後に、大きなコマで「GOKI♥DOKI大作戦!」をもう一度お楽しみください。