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エンタメ

相手の心の奥に、自分と似たものを 見つけてしまう怖さ

俳優 北川景子さん~映画『ファーストラヴ』公開記念インタビュー

PR by KADOKAWA

目次

直木賞を受賞した島本理生さんの小説『ファーストラヴ』が映画化された。
父親を刺殺した女子大生を取材する、「公認心理師」の役に挑んだのは
数々の役を自分のものにして、多彩な顔を見せ続けてくれる北川景子さん。
容疑者の笑顔の裏にある真実を探っていくこの役のために
北川さんは実際の心理師に会い、カウンセリングを受けたという。
北川さん自身が「観る人によって、またその時の状況によって、
全く別の感じ方ができる映画」と語る本作について聞いた。

かたくなな犯罪者に 心で向き合う心理師

 「動機なんて自分でもわからない」「反省すらしていません」。父親を殺したことは認めながら、理解し難い発言で周囲を翻弄する容疑者・聖山環菜(芳根京子さん)。北川さん演じる心理師・真壁由紀と拘置所のアクリル板を隔て、複雑に傷ついた心がぶつかり合うシーンは物語の核でもある。
 「私が実際の心理師の先生に会った時、心の中の悩みやこだわりを話すのは抵抗がありました。でも、この人なら話してもいいかなと思う瞬間があって、撮影ではそれを環菜さんに感じてもらえるにはどうしたらいいか考えました。話し方などのテクニックもあるのでしょうが、必要なのは、心から寄り添って、あなたの味方だと伝えることだったんです」
 その言葉通り、由紀が容疑者である環菜を「助けたい」と真剣に突き進む姿はりりしく、謎解きへの予感も迫る。そして、環菜の過去に踏み込んだ由紀が見せる、苦しさにゆがむ表情にも胸をつかれる。
 「由紀は環菜さんの心をほぐそうと取り組むうちに、自分に似たものを感じます。自分が押し込めてきたものと向き合わなければならない怖さ。それを乗り越えられるのか。それは原作を読んだ時に一番大事なところだと思いましたし、堤幸彦監督も、前向きなところを描きたいとおっしゃっていて、私の思いと一致したと思いました」

トラウマを抱えても 前へ進むことはできる

 〝ファーストラヴ〟とは、事件に関係する重要なキーワードでもあるが、最初に人が受ける愛と解釈するならば、それは家族からの慈しみだろう。登場人物たちはそれぞれ、親との関係に悩まされる。
 「この母親たちも悪い親になろうとしたわけではなく、きっと自らも消えないトラウマを抱えていたのだと思います。でも、手を差し伸べてくれる人がいて、トラウマも含めて認めてもらえれば、社会の中で生きていける。自分の子に悲しい連鎖をさせないで済むのではないか。この映画でそういう希望を持ちました」
 みんな辛いことや悩みを抱えているのだから、私も大丈夫。その気持ちは、撮影が終わって1年以上が経った今、また変化してきたという。
 「それだけじゃなくて、私は子どもや周りの人に何ができるのか、受け取るばかりではなくどんな愛を与えればいいのか、と考えるようになりました。この映画は、観るタイミングによって感じることが違い、色あせない作品に出会えたと感謝しています」
 コロナ禍で社会は大変な時期が続くが、堤監督が新たに引き出した北川さんの一面を堪能し、心をノックするようなストーリーに身を委ねる時間を、楽しみにしたい。
きたがわ・けいこ/1986年兵庫県生まれ。2003年にミスSEVENTEENでモデルデビュー後、俳優として活動を開始。06年『間宮兄弟』でスクリーンデビューを果たし、次々と映画、テレビの話題作に出演。クールな美ぼうと確かな演技力で人気トップ女優に。時代劇、コミカルなヒロイン、実在の人物など幅広い役柄に挑んでいる。
 
STORY
 アナウンサー志望の女子大生が父親を殺害するという、社会を震撼させる事件が起きる。公認心理師の真壁由紀は、容疑者の聖山環菜を題材にした本を書くため、彼女に面会する。協力し合わなければならない弁護士・庵野迦葉は、由紀の夫の弟でもあり、過去の秘密を知る存在でもあった。不安定に供述を変える環菜に、2人は惑わされるが──。
ファーストラヴ
 
北川景子  中村倫也  芳根京子 板尾創路  石田法嗣  清原 翔  高岡早紀  木村佳乃  窪塚洋介
監督:堤 幸彦  脚本:浅野妙子  原作:島本理生『ファーストラヴ』(文春文庫刊)
音楽:Antongiulio Frulio 主題歌・挿入歌:Uru「ファーストラヴ」「無機質」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:『ファーストラヴ』製作委員会 制作:角川大映スタジオ/オフィスクレッシェンド 配給:KADOKAWA Ⓒ2021「ファーストラヴ」製作委員会

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