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IT・科学

エネルギー&環境の課題をICTで解決、NTTグループの新しい挑戦

PR by NTT持株会社

目次

日本で発電される電力の約1%が、NTTグループで通信事業などに使われていることを知っていますか? ICT(情報通信技術)はエネルギーを消費しますが、エネルギーを効率良く使い、環境負荷を低減するために重要な役割を果たすのもICTです。サステナブルな社会の実現に向けて、エネルギーや環境に貢献しようと、NTTグループはさまざまな活動を推進しています。
 
10月にオンラインで開催された国際シンポジウム「朝日地球会議2020」で、NTT執行役員 技術企画部門長の岡敦子氏が、それらの取り組みや目指すビジョンについて講演しました。
 

多発する自然災害への対応力を強化するには?

「もしも温暖化対策を実施しなかった場合、(2100年までに)気温は平均4.4度上昇し、厳しい温暖化対策を今実施したとしても平均1.1度は上昇してしまうので、何らかの手を打たなくてはいけません」
 
講演の冒頭で岡氏が語ったのが、気候変動とその対応についてです。2020年は歴代の最高気温ランキング1位タイの41.1度を記録し、歴代20位の中に4カ所もランクイン。地球温暖化が進んでいるのは、私たち自身が体感するところでもあります。
 
気温の上昇による影響は、作物の収穫や水の利用可能性の減少、生物多様性の損失などのほか、熱波や極端な降水をもたらします。国内でも最近の10年間で降水量が大幅に増えており、ここ数年は大きな台風が続けて襲来して、各地で災害をもたらしました。
 
そこで、岡氏が課題として挙げたのが、再生可能エネルギーを活用して環境保全や循環社会を実現する「環境適合」と、増加する自然災害への「レジリエンス(対応力)」。2つの課題を解決するための力となるのが、NTTグループの「エネルギー×ICT」というわけです。
 
たとえば、全国7300カ所にあるNTTの電話局ビルには、蓄電池が延べ3万7500台(410万kWh)設置され、非常時にバックアップの拠点としての活用が想定されています。アナログの電話用設備で直流電源の技術の実績もあり、直流で動作する機器が多いデータセンターへの直流給電を実用化しています。
 
太陽光発電は1962年から事業を手掛けており、再生可能エネルギー電源の普及をグループで推進しています。「再生可能エネルギーや蓄電池、EV(電気自動車)などを、ICTを使ってつなげていくことを目指していきます」と岡氏は話しました。
NTTグループが主に取り組む領域
NTTグループが主に取り組む領域

エネルギーの安定供給や需給調整にも貢献

続いて岡氏は、2019年6月に設立されたNTTアノードエナジーの事業について紹介しました。同社はエネルギー流通を補完する新たな仕組みをつくることで、持続可能な社会の実現を目指すNTTグループの新会社です。
 
主要事業の一つである「バックアップ電源事業」は、太陽光発電による余剰電力を蓄電池に貯めておき、非常時などに近隣地区に給電することで、地域のレジリエンスを向上させます。「グリーン電力発電事業」では、太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの再生可能なエネルギーによる発電を、地域の電力の安定供給にも活用していきます。
 
「バーチャルパワープラント事業(VPP事業)」は、ICTを活用してエネルギーの需給を調整し、電力の効率化やコスト削減を行う事業です。さらに日本全国のエネルギー需給状況を踏まえて、AI等を用いて各地域への最適なエネルギー提供を目指しています。
 
同社は、千葉市や北九州市、山口市などで、パートナーの企業や自治体などと連携し、スマートエネルギー事業のプロジェクトを推進しています。岡氏は「電力を地域全体で使い、レジリエンスを強化するには、多くの方と連携して課題を解決していくことが必要です」と述べました。
NTTアノードエナジーの取り組む事業
NTTアノードエナジーの取り組む事業
また、NTTグループがESG経営(環境・社会・ガバナンス)を推進するために、英国のNPO団体THE CLIMATE GROUPの国際ビジネスイニシアティブ「EP100」「EV100」に加盟したことを報告。「EP100」は事業のエネルギー効率アップを目指すもので、NTTグループでは2025年に通信事業のエネルギー効率を約2倍に上げ、消費電力を10%削減することを目標としています。
 
「EV100」は電気自動車(EV)の使用や環境整備促進を目指すもので、2025年までに一般車両の50%をEV化することが目標。今年5月には「EVコンソーシアム」を株式会社日立製作所、株式会社リコー、東京電力ホールディングス株式会社と共に立ち上げ、40以上の企業とともに、車両仕様の共通化、脱炭素化の推進、関連情報の共有などを進めています。
 

光で電力効率100倍! 夢の雷充電や人工光合成も

エネルギー自立に向けたNTTグループの新しい指針として、岡氏が紹介したのが、今年5月に策定された「環境エネルギービジョン」です。(1)グリーン電力の推進、(2)ICT技術等による社会の環境負荷低減、(3)圧倒的な低消費電力の実現、(4)革新的なエネルギー技術の創出、を通じて顧客や社会の環境負荷低減に貢献するものです。
 
「グリーン電力の推進」では、2030年度にグループの消費電力量の3割をグリーン電力化。「ICT技術等による社会の環境負荷低減」では、テレワークが快適になるような技術(ウェブ会議など)の提供が、貢献の一例として挙げられます。
 
「圧倒的な低消費電力の実現」は、2019年に発表したIOWN(Innovative Optical & Wireless Network)構想で、光プロセッサ(光電融合)によって電力効率100倍を目指しています。ネットワーク機器や端末に光ファイバケーブルや光電融合素子などを使用することで、消費電力を下げることが可能となります。
 
「革新的なエネルギー技術の創出」では、今年7月に設立された「宇宙環境エネルギー研究所」が、次世代エネルギーやレジリエントな環境適応技術など、革新的な技術開発に取り組んでいます。たとえば雷充電は、雷雲の近くに飛行体を接近させて、雷を誘発させてエネルギーを蓄電池に貯めるとともに、地上への雷の被害を防ぐ技術です。ほかにも人工光合成、宇宙太陽光発電、気象制御技術などへのチャレンジが始まっています。
 
最後に岡氏が強調したのが、パートナーとの協業。「社会的課題というものは大きく、自分たちだけで解決できるものではありません。皆様とオープンな形で課題に取り組んで行きたいと思います」と締めくくりました。
 
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