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今回の作品は「仕事」が大きなテーマですが、図書室を舞台にしたきっかけは?
「仕事」の話を書こうと、最初はハローワーク的なことを考えていて、タイトルも「
ハロー・ハローワーク」にしようかなって(笑)。でもキーパーソンを設定するとき、悩んでいる人が誰も気軽に会えて、話をして心を打ち明けられるような人って誰かなって考えたときに、司書さんっていいなって思ったんです。
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大きな図書館ではなく、コミュニティハウスの小さな図書室で、社会との接点が多い気がします。
図書館だと、本が好きな人が探しに来るという話になってしまうなと思って。何か違う目的で訪れた人が成り行きで導かれて、たまたま本と出会えるのはいいなと思い、図書室という設定にしたんです。私も普段から近くのコミュニティハウスにはお世話になっていて、赤ちゃんだった息子を抱いたまま本を借りに行ったりとかもしました。便利で穴場な場所なので、もっと皆さんに知ってほしい反面、あまり混雑してほしくない気持ちもありますね。
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婦人服販売員の朋香(21)、家具メーカー経理部の諒(35)ら5人の主人公の日常や悩みは、とても身近で、彼らの気持ちに没入しやすいです。キャラクターづくりで心掛けておられることは?
作家さんには、着ている服を脱いで自分をさらけ出す方と、逆にどんどん着込んでいく方と、大きく分けて2パターンあると思うんです。もちろん両方が混ざった方もたくさんおられますが、私は明らかに後者。ちょっとしたコスプレなんですよ。普段の私は自分からなかなか発言できなくて、SNSの投稿もドキドキしてしまうくらいなんですけど。小説の中でコスプレをすれば言いたいことが言えるというか。