どのような状況下においても、商売を継続させるためには「自社の商品やサービスを多くの方に知ってもらいたい」という強い想いを持ち続けなければなりません。コロナ禍において、PCに向かう時間が長くなったことを鑑みて、あらためて注目されているのがDMの効果。とはいえ、「明らかに定型文だな」と思われるようなDMを送り続ければ、開封すらされずメール受信箱からゴミ箱へ。DMの内容によっては“顧客離れ”という逆効果につながる恐れも……。
インターネット上で顧客との良い関係性を築くためには何が必要なのか。Webマーケティングのプロとして多数の著作がある株式会社ウェブライダー代表取締役・松尾茂起さんに聞きました。
“Webマーケティングのプロ”が送るDMは「年数回」だけ

【プロフィール】
松尾 茂起(まつお・しげおき)さん
関西学院大学を卒業後、音楽系制作会社で大手舞台音楽などの制作を経験。2010年に株式会社ウェブライダーを設立し、検索集客を軸としたWebマーケティングのコンサルティングやコンテンツ制作を手がける。これまでにプロデュースした主なコンテンツは「沈黙のWebライティング」「沈黙のWebマーケティング」「美味しいワイン」「美味い居酒屋」など。その後も文章作成アドバイスツール「文賢(ブンケン)」、選択肢提案型メディア「Betters」、チェックリスト型メディア「CHECK-LIST」を展開し、2020年夏には話し手と聞き手をつなげる新たなプラットフォーム「クマレル」をプロデュース。
不快に感じてしまうのは、「その会社とのコミュニケーションにメリットを感じない」からではないでしょうか。
訪問や電話による営業と違って、メールは相手の好きなタイミングで開封してもらえるツールです。とはいえ、開封して読んでもらうことが、さらにいうと受信箱にメールが溜まっていくこと自体が、相手に負荷をかけている可能性もあるんですよね。貴重な時間を割いて読んでもらうなら、「読んでよかった」と相手に感じてもらえる内容にすることが重要です。
――ウェブライダーではどのようなDMを送っているのでしょうか。
メールを読んだ人にメリットを感じてもらう。そのための内容を徹底的に考えています。
ウェブライダーが特に意識しているのは、自社の宣伝をするメールであっても、必ずお土産として「ためになるコンテンツ」を載せることです。例えば「Webマーケティングのセミナーを開催します」という案内をする際には、そのセミナーで取り上げるノウハウを可能な範囲でDMの中に書きます。そうしたDMを、年に数回のペースで送っています。
――年に数回だけ、ですか?
はい。自社のサービスをしっかり知ってもらいたいとき、「ここぞ」というときにしか送らないので、結果的に年数回になるんです。
でも、開封率は高いんです。お付き合いの長いお客さまからは「今年はまだウェブライダーさんからのメールが来ていないけど、いつ送ってくれるの?」なんて聞かれることもあります。
――DMを心待ちにしている人もいるというのは驚きです。
実際に、お客さまの事業や仕事に役立つコンテンツを届けられているからだと思います。
Webマーケティングがうまくいかない企業のDMは、「自社がアピールしたい商品の話ばかりをしてしまう」という特徴があります。そうなると、どうしても一方的な文面になりがちで、DMを受け取った側は「定型文を送ってきているんじゃないか?」と感じてしまうんですよね。
「大きな花火」を打ち上げようとしすぎかも
DMのコンテンツを作る際、意識したいのは「興味」よりも「関心」と話す松尾さん。一過性の「興味」ではなく、お客様自身が主体的に情報を取りにいこうとする「関心を持つ」状態にするためのDMのコツをアドバイスしてくれました。