コラム
「こんなの読書じゃない」の呪いにかかったあなたへ10分読書のススメ
PR by 集英社
必要な資格を取るために対策本を読むこと。レシピ本を見て料理してみること。誰かのツイートを読んで大笑いすること。
これらは読書と言えるだろうか?
「そんなの読書じゃない!」というあなた。もしかして読書コンプレックスを抱えていないだろうか?
何かにつけては◯◯という名著を読んだことがあるかどうか聞かれ、教養があるかないかの判断材料とされ、「踏み絵」を踏まされる。そんな気まずい気持ちが、いつしか読書コンプレックスへと変わっていく。
読者が苦手な人ほど「『こんなの読書じゃない』という呪い」にかかっている、と書籍『明日の自分が確実に変わる 10分読書』の著者である吉田裕子さんは言う。
吉田さんは塾やカルチャースクールで教える国語の先生。自身が塾や予備校に通わずに東大に現役合格したその一つの要因が、幼少期からの読書習慣にあるという。今でも年間300冊ほどの本を読む。
こんなふうに紹介すると「あぁ、読書エリートの方なんですね」と一層コンプレックスを強めてしまいそう? いや、そう思のはまだ早い。
何しろ吉田さんが定義する読書のハードルは、限りなく低い。
「え、そんなのを読書って言ったら怒られない?」と思ってしまうような冒頭の体験すらも、吉田さんによればすべて立派な読書体験なのだ。
吉田さんの読書の定義は「言葉を読むことによって、自分の世界を広げること」。文学史上の名作や名著とされるものと向き合わなくても、言葉と出会って心や体が動けば、それはもう「読書」と言っていいのだ。自分が勝手に定めた「正しい読書」像にとらわれてきた人にしてみれば、目からウロコが落ちる思いだろう。
多くの人に読書の世界に足を踏み入れて欲しいとの思いから、『10分読書』ではとにかくハードルを下げて読書の楽しみ、効能、ハウツーを紹介してくれる。タイトルの「10分」もその象徴だ。
さらに吉田さんによれば、時間の確保よりも「環境」を整えることのほうが、日常的に読書習慣を取り入れるためには近道だという。例えば通勤用のカバンに必ず1冊本を入れておいたり、バスルームやキッチンに本を置いておいたり。さっと手に取れる場所に本があれば時間があいたときに自然と手が伸びる。新しい本を買っても、すぐ部屋の片隅の積ん読本コーナーに積み重ねてしまい、それっきり手に取らない自らの読書環境を振り返ると、思い当たる節がありすぎる。
細切れの読書でも意味がある理由については、ザイガニック効果というものが関係しているらしい。
吉田さんは、「一生付き合いたい本」=「座右の書」を5冊ぐらい持とう、と提案する。しかしこの「座右の書」の選び方についてはこう釘をさす。
みんながすごいと言っているから「論語」を座右の書にしよう、というのではダメ。流行りのベストセラーを読むのは構わないが、感想をみんなに合わせる必要もない。自分自身で本を選び、自分の心のままに感じること。他者ではなくあくまで自分を基準にして「自分が読みたい本を読む」ことが、子どもにとっても大人にとっても同様に大切だという。
新型ウイルスで社会は大変な状況だが、在宅の時間が増えて、久しぶりに読書でもしてみようかなと考えている人も多いことだろう。
まずはその前に、この本で思いっきり読書のハードルを下げ、「あの本は読んでおかないと恥ずかしい」などという呪いから解き放たれてみてほしい。