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キン肉マン作者が“アデランスの中野さん”に謝りたかったこと

29日が金曜日になると・・・。実は、人気漫画の「キン肉マンの日」なのです。そして、11月29日は“いい肉の日”。その両方の記念日が重なった2019年11月29日、「キン肉マン」40周年記念のトークショーが開催されました。

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「キン肉マン」連載40周年を迎えた「ゆでたまご」の中井義則さん(左)と嶋田隆司さん
「キン肉マン」連載40周年を迎えた「ゆでたまご」の中井義則さん(左)と嶋田隆司さん

目次

29日が金曜日になると・・・。実は、人気漫画の「キン肉マンの日」なのです。そして、11月29日は“いい肉の日”。その両方の記念日が重なった2019年11月29日、「キン肉マン」40周年記念のトークショーが開催されました。
 
アニメや“キン消し”で1980年代に大ブームとなった「キン肉マン」は、『週刊少年ジャンプ』での漫画連載が始まってから今年で40年目。現在もWEBサイト「週プレNEWS」(https://wpb.shueisha.co.jp/)でクオリティの高い連載が続いています。
トークショーの会場入り口に立つキン肉マン
トークショーの会場入り口に立つキン肉マン

トークショーでは、コンビで活動する作者「ゆでたまご」の嶋田隆司さん(原作担当)と中井義則さん(作画担当)、さらには“アデランスの中野さん”として知られる初代担当編集者の中野和雄さんの3人が、デビュー秘話などを披露しました。

恩人でもある“アデランスの中野さん”

プロ漫画家を目指していた嶋田さんと中井さんは、高校2年生だった1977年、集英社に「ゴングですよ!」という作品を応募しました。惜しくも入選できなかったものの、ジャンプの編集者だった中野さんが落選原稿の中から発掘。「なんでこんな面白いのが落選しているんだ」と、その日のうちに連絡を取ったそうです。
「ゆでたまご」原作担当の嶋田隆司さん
「ゆでたまご」原作担当の嶋田隆司さん

ゆでたまごの2人は翌年に「キン肉マン」で入賞し、高校を卒業してすぐに連載がスタートします。中野さんは、大阪から上京した際のアパートを紹介したり、毎日のように仕事場に顔を出して手土産を持参したり、若い2人の面倒を見てきました。
 
嶋田さんは「今まで何とかやって来られたのは、中野さんなしでは考えられない」、中井さんは「僕らにとって親のような存在」と、恩人への感謝の気持ちを述べました。
「ゆでたまご」作画担当の中井義則さん
「ゆでたまご」作画担当の中井義則さん

「イジってもOKなんだと思って・・・」

キン肉マンらの試合を見守る解説者などの役割で登場する“アデランスの中野さん”は、事あるごとにカツラがズレる人気キャラ。中井さんは「実際はカツラではないんですが、登場させるとギャグがいろいろ展開していく、面白いキャラクターでした」と話します。
おわびの印? 2人から中野さんにイラストをプレゼント
おわびの印? 2人から中野さんにイラストをプレゼント

中野さん本人は「編集者が漫画の中に出てくるのは、僕はあんまり好きじゃなかった」と意外な告白。ところが、皆から愛されるキャラクターだった中野さんは、キン肉マンの以前に連載していたコンタロウさんのギャグ漫画「1・2のアッホ!!」の作中に登場。
 
「他の編集者が担当していて、直接文句を言えなかったら、(キン肉マンで)中野さんが出てきて・・・。もう勝手にしてくれという感じで(笑)。やめてくれとか、出してくれとかもなく、お任せしていました」と当時を語りました。
「(40年間)本当によく続いた」と笑顔の中野和雄さん
「(40年間)本当によく続いた」と笑顔の中野和雄さん

嶋田さんが「『1・2のアッホ!!』に出ていて、この人はイジってもOKなんだと思って、勝手に描いていました。奥さんまで出してしまい、本当にすいませんでした」と謝ると、中野さんは笑って答えていました。

衝撃の表紙!キン肉マン初登場は顔が緑だった?

逆に、中野さんが2人に申し訳なく思うエピソードも披露されました。連載が始まった号のジャンプの表紙では、キン肉マンの顔は肌色ではなく緑になっているのです。
右の『週刊少年ジャンプ』1979年22号で、キン肉マンの連載が始まった
右の『週刊少年ジャンプ』1979年22号で、キン肉マンの連載が始まった

中野さんは「イラストレーターが緑色に描いてきたんです。びっくりしたんですけど、これは目を引くということで、そのまま表紙になりました。ご本人たちは不満だったらしいですけど」と振り返りました。
 
「僕らは新人で、4色(カラー)原稿は描けないだろうから、イラストレーターの人に描いてもらったという話でした」と、嶋田さんも当時のことを語っていました。

幻の「ジャイアント運古VSアントニオ強気」

この日は、キン肉マンの関連本が3冊同時に発売。それぞれについて、ゆでたまごの2人が思い入れを語りました。
 
コミックス最新巻『キン肉マン第69巻』では、主人公スグルの兄であり、読者から絶大な人気を誇るキン肉マン ソルジャーが、久々に作中に登場。表紙では迷彩色のマスクの下から鋭い眼光をのぞかせています。
11月29日にキン肉マンの関連本が3冊発売 (C)ゆでたまご/集英社
11月29日にキン肉マンの関連本が3冊発売 (C)ゆでたまご/集英社

『キン肉マンジャンプVol.3~「キン肉マン超人総選挙2019」を振り返る~』では、人気上位の超人たちのエピソードのほか、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトさんと嶋田さんの対談、お笑いコンビ・ナイツと中井さんのトークなどが収録されています。
 
そして、2人の運命を変えた幻の投稿作品「ゴングですよ!」も掲載。プロレスラーのジャイアント運古(うんこ)とアントニオ強気、2人のライバル関係を描いたギャグ漫画が初公開されます。
 
『キン肉マン 290クイズブック』は、「ゆで理論」と呼ばれて謎だらけの本作品から、290のクイズを収録。作者本人も忘れてしまっているような、マニアックな難問が集められています。
クイズブックは作品のさまざまな知識が問われる(写真はトークショーでの展示)(C)ゆでたまご/集英社
クイズブックは作品のさまざまな知識が問われる(写真はトークショーでの展示)(C)ゆでたまご/集英社

もう一度アニメ化まではやめられません」

今年はキン肉マン40周年を記念してさまざまな企画が行われており、ゆでたまごの2人もイギリスへの取材旅行を敢行しました。嶋田さんは、タワーブリッジの前で同名の技(人気超人ロビンマスクの必殺技)をしたことが、印象に残っていると話しました。

中井さんは、ビートルズのレコードジャケットで有名な「アビイ・ロード」で、相棒と一緒に撮影するという夢がかなったそうです。

トークショーの最後に、2人は今後の抱負を語りました。
 
「40年も漫画家を続けるとは思わなかった。読者はキン肉マンを描かないと許さないし、読者が望む限りやっていきたいです。夢はもう一度アニメ化、映画化。それができるまではやめられません」(嶋田さん)
 
「歳を取ると線が枯れてきますが、絶対にそう思われたくないので、これからも迫力ある絵を描いていきたいですね」(中井さん)
 
絵は枯れるどころか巻を重ねるごとに洗練され、ストーリーも過去の設定を回収しながら面白さを増していく「キン肉マン」。ゆでたまごの2人の“友情パワー”で、今後の展開も期待できそうです。
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