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2019年10月01日

映画『楽園』公開記念! 主演:綾野剛×原作:吉田修一 特別対談


  • PR by KADOKAWA

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映画化記念対談
「犯罪小説集」から映画『楽園』へ この秋公開のサスペンス大作
彼らが夢見た楽園の向こう

「悪人」「怒り」など映像化作品も数多いベストセラー作家・吉田修一の傑作として知られる「犯罪小説集」を、『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化。主演は、『怒り』に続いての出演となる綾野剛。少女失踪事件の容疑をかけられた孤独な男と周囲の人たちが、探し求めた「楽園」とは。2人が語り合った。

俳優
綾野 剛
2003年俳優デビュー。『夏の終り』(13)、『横道世之介』(13)で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞。『日本で一番悪い奴ら』(16)で第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。主な出演作に映画『新宿スワン』シリーズ、『怒り』、ドラマ「コウノドリ」など。
ヘアメイク 石邑麻由/スタイリスト 申谷弘美

作家
吉田修一
1997年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞しデビュー。02年「パレード」で山本周五郎賞、同年「パーク・ライフ」で芥川賞に輝く。07年「悪人」で毎日出版文化賞と大佛次郎賞。10年「横道世之介」で柴田錬三郎賞。他に「女たちは二度遊ぶ」「怒り」など。19年「国宝」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

大切な人の不在と 埋まらない喪失感

─小説は、実際の事件をヒントにした5編から成り、映画はそのうち2編を同じ地域で起こった出来事として描いています。「青田Y字路」はタイトルにもあるY字路で起こった少女失踪事件が、「万屋善次郎」は周囲から疎外された男が追い詰められて起こした事件が題材です。ふたつの事件の背景がつながっているという構想はもともとあったのですか。

吉田 それは全くないですね。別々の小説をひとつの世界につなげるというのは、完全に瀬々監督のアイデアです。この『楽園』という映画のスケールに合う場所を探すために、監督はずいぶんロケハンに時間をかけたと聞いています。

─吉田さんの小説でも、舞台となる「場所」は重要な要素ですね。

吉田 そうですね、場所が主役というぐらいの気持ちで書いています。良くも悪くも土地が人に影響して物語を動かすことはあると思うので、「それはどこで起こったか」ということはかなり重視しています。

─綾野さん演じる豪士は外国にルーツを持つおとなしい青年で、集落にうまく溶け込めずにいます。姿を消した少女の親友だった紡(杉咲花)、ささいな行き違いから村八分の状況に追い込まれる善次郎(佐藤浩市)、同じ地域の中でそれぞれが孤独を抱えて生きています。

綾野 紡と2人のシーンでは、彼女の目に映った自分を見て、豪士という青年がより深くわかる感覚がありました。善次郎と出会った時、豪士は失踪事件の犯人と疑われていて、善次郎は自分がいつか大きな事件を起こすことなど知るよしもない。そんな2人の視線が交わった一瞬の間に、豪士が自分の魂を渡してしまった、善次郎がそれを受け取ってしまったことが、2人のその後の運命を決定づけたように思うんです。人と人とのそうした繊細な関係は、修一さんの作品にいつも共通したものだと思います。

吉田 豪士と紡、いなくなった愛華ちゃんのおじいさんと紡など、この映画に出てくる人物同士の関係は、どこかいびつなんです。でも、もしそこに愛華ちゃんがいれば、きっとうまく収まる。彼らにとって「そこにいない存在」がいかに大きく、いかに忘れがたいものか。言葉を使わずとも感じさせる瀬々監督の描き方はさすがだと思いました。

もしも誰かが彼らを 抱きしめていたら

─たしかに愛華ちゃんや善次郎の亡くなった奥さんの不在が、この映画の基本トーンである気がします。

綾野 回想シーンに現れる彼女たちは、キラキラと光ってまぶしいぐらいです。だからこそ、大切な相手に決して手をふれることのできない人たちの寂しさが余計に伝わる。この映画を見てあらためて思ったのは、世の中には抱きしめられなければいけない人たちがたくさんいるということ。誰かが背中に手を置いてくれる。肌に伝わる体温を感じられる。それだけのことが、その人の世界を変えるんです。映画を見終わった時、自分も誰かにそんなふうに接することができるかもしれないと考えてもらえたらうれしいです。

吉田 そこは小説では描ききれなかった部分ですが、映画になり綾野さんや杉咲さん、佐藤さんなど体温のある俳優さんたちが演じてくれたことで、テーマとして明確になりました。原作者として感謝しています。

─人が罪を犯すか踏みとどまるか、その差はどこにあるのでしょうか。

吉田 僕もそれを知りたくて「犯罪小説集」を書きましたが、自分の中で明確な答えは出ませんでした。ただ綾野くんが言ったように、もしも作品の中で罪を犯した人たちを抱きしめてくれる誰かがいたら、彼らは犯罪者になっていなかったかもしれません。その後の物語は、きっと全然違ったものになっただろうと思います。

綾野 相手の体温を知ろうとすること、自分の体温を伝えようとすることを諦めてはいけないんですよね。豪士は紡に「どこに行っても同じ。どこにもない」と言います。ただ明日が来ることを願い、何かを探して、でも見つからずに歩いてきたのだろう彼のこれまでを考えると、誰かが彼を抱きしめていたらと思わずにいられません。

─善良な普通の人が罪を犯すまで追い込まれていく過程はサスペンスフルで、少女はどこに消えたのか、犯人は誰なのかという謎もある。さまざまな見方が可能で、見る人によって「真実」が異なる映画です。お二人は客観的にどう感じましたか。

吉田 僕が一番好きなのは、Y字路で3人の運命が知らず知らずつながっていく、あのシーンです。事件の真相について瀬々監督がどう考えていたかはわかりませんが、おそらく監督も、何よりあの一瞬を描きたいと思ったんじゃないでしょうか。そこから逆算するように積み上げていった結果がこの映画であり、これ以外の描き方はなかったんだと思います。

綾野 豪士に関していえば、おそらく彼は愛華ちゃんが目の前に現れたその時を永遠にしたかったんだと思います。永遠にするとはどういうことか説明するのは難しいし、抽象的な話に聞こえるかもしれませんが、豪士という役を生きた間、僕はリアルにそう感じていました。そしてその感覚は、どこかでまだ体に残っています。

STORY
孤独な青年・豪士(綾野剛)は、12年前にY字路で姿を消した少女・愛華の親友だった紡(杉咲花)と知り合う。しかし同様の事件が再び起こり、地域の人々は豪士に疑いの目を向ける。その頃、近くの集落では妻を亡くした善次郎(佐藤浩市)が愛犬と日々を穏やかに過ごしていた。だが村起こしをめぐる行き違いから、善次郎は次第に孤立を深めていく……。
 
SHUICHI  YOSHIDA
「人はなぜ犯罪に手を染めるか
 映画を見てわかったことがある」
 
GO AYANO
「互いの体温を知ろうとする
  そのことを諦めてはいけない」

10.18(金)全国ロードショー
綾野 剛 杉咲 花 佐藤浩市
柄本 明 村上虹郎 片岡礼子 黒沢あすか 石橋静河 根岸季衣
主題歌:上白石萌音「一縷」(ユニバーサルJ)
作詞・作曲・プロデュース:野田洋次郎
原作:吉田修一「犯罪小説集」(角川文庫刊)
監督・脚本:瀬々敬久 配給:KADOKAWA ©2019「楽園」製作委員会
rakuen-movie.jp
 
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¥1,400(税込)※特典は数量限定。一部劇場を除く。

(書籍情報)
吉田修一最高傑作 犯罪小説集
人の深奥に潜む、弱く歪んだ心をあぶり出す珠玉の5篇!
角川文庫刊 著:吉田修一
田園から続くY字路で起きた少女失踪事件が周囲の人たちの運命を狂わせていく「青田Y字路」。周囲とのささいな行き違いが孤独な男を狂気へと駆り立てる「万屋善次郎」。映画『楽園』原作2編を含む、人が犯罪に手を染める心理の裏側を描いた傑作短編集。
「犯罪小説集」に続く第2弾、傑作小説集 「逃亡小説集」 (角川文庫刊)が発売。https://www.kadokawa.co.jp/product/321806000260/  


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