最近、街でよく見かけるようになった「エニタイムフィットネス」の看板。アメリカ発祥のジムで、24時間年中無休、リーズナブルな価格で利用できることから人気を集めているようです。
ところでこのジム、親権者が会員だと高校生の子どもも無料になることをご存じでしょうか? そんな太っ腹なキャンペーンが、昨年3月から実施されている「HIGH SCHOOL PASS」です。
こんな思いをもった人たちに向けて行われているこのキャンペーン、とても良い取り組みではありますが……。
最近の高校ならトレーニング場くらいありそうじゃないですか?
でもよく考えてみると、最近の高校ならトレーニング場くらいありそうな気もします。実際のところどうなのでしょう? とりあえず、「トレーニング場 高校 割合」で検索をしてみたところ……。
さすがにそんなに都合よく、高校におけるトレーニング場の設置割合なんて分かりません。
そこで色々と調べてみたところ、「体育・スポーツ施設現況調査の概要」という文科省とスポーツ庁が実施した調査の資料を発見しました。
この調査によると、「高等学校等」にある「トレーニング場」の数は、2002年度が1,623、2008年度が1,654、2015年度が1,659と、10年以上ほとんど変わっていません。
ただしこの期間、高校の数自体は5,472から4,939へと減っていることに注意しなくてはなりません。体育館や野球場が高校の減少に合わせて減っていることを考えると、トレーニング場が微増しているのは、ニーズがあるからなのかもしれません。
この調査をもとに、とりあえず高校におけるトレーニング場の設置割合を計算してみると……。高校(国公立・私立全て含む)が約5,000校、トレーニング場が約1,600施設として、約3分の1になります。
試しに別方向からも調査しようということで、東京23区内の都立高校63校のHPを一つひとつ地道に閲覧してみることにしました。
※高校のページで「トレーニング場」や「トレーニングルーム」などの設置が明記されている場合、もしくは「部活動ページ」などで「トレーング場」を活用している模様が確認できた場合「設置あり」と判定
※本企画のための独自調べ
その結果、HP上でトレーニング場の設置の記載が確認できたのは21校!
先ほどの計算と同じく3分の1となりました。
ここでようやく結論!
トレーニング場がある高校は約3分の1(本企画独自調べ)ということで、“あるのが普通”ではなさそう
ジムは家族とのコミュニケーションやストレス解消の場
「フィットネス文化が根づいている欧米では、中学生や高校生が日常的にマシンを使ってトレーニングをすることは、ごく当たり前です。でもそのための設備が整っていない日本の高校生には、そのような機会がほとんどありません」
ファストフィットネスジャパンでブランド戦略を担当している、クリエイティブディレクター・面木剛さん。
そう語るのは、エニタイムフィットネスを日本で運営するファストフィットネスジャパンの面木剛さんです。
「仮にトレーニング場があっても、器具は5年も経てば古くなり、活用されなくなるケースが多いんです。施設はあっても部活以外では使えなかったりもします。また部活のコーチから、もっとマシンを使った近代的なトレーニングをしたい、との声もいただいていました」(面木さん)
「HIGH SCHOOL PASS」は、そんな日本の高校生たちに、「ジムで気軽にトレーニングをする場をつくってあげたい」との思いから始まりました。昨年から始めたこの取り組みにより、すでに5,000人近い高校生がフィットネスを体験しているそうです。
「このパスは親権者が会員であることを条件に、スタッフがいる時間のみ利用できます。親子でともにマシンを利用することで、親子の会話やコミュニケーションが増えた、との喜びの声もいただいています。勉強で煮詰まったときにここでリフレッシュすると頑張れる、という受験生もいます」(面木さん)
「HIGH SCHOOL PASS」を始めるにあたっては、不登校やひきこもりの高校生に、外出のきっかけやストレス発散の場をつくってあげたい、との思いもあったといいます。
エニタイムフィットネスの日本1号店は、2010年に東京・調布にオープンしました。24時間年中無休、マシンジムに特化したリーズナブルな価格設定という、今までのフィットネスクラブにはないコンセプトが、20〜40代の現役層に強く支持されました。2019年3月には全国で500店舗に増え、会員が40万人を超えるほど急成長しています。
またエニタイムフィットネスでは「OPENフィットネス宣言」を掲げ、社会とのつながり、社会への貢献を重視しています。「HIGH SCHOOL PASS」もその一貫で、これらの活動を通して日本のフィットネス人口を現在の3%から、10%にまで拡大することを目指しています。
誰もがいつでもどこでもスポーツを楽しめる社会に向けて
そんなエニタイムフィットネスの上半期の事業戦略発表会が、3月20日に都内で開かれたので、顔を出してみました。
「Healthier Placeをすべての人々へ!」を理念に、誰もがいつでも、どこでも運動を楽しめる社会を目指しているエニタイムフィットネス。
この日の発表会では、そのための新たな取り組みとして、土屋敦之代表取締役社長から「車いすでも利用しやすいユニバーサルデザイン店舗の開始と拡大」「スペシャルオリンピックス日本への協賛 ※スペシャルオリンピックス国際本部とエニタイムフィットネス本部がグローバルパートナー締結」「がんの子どもを守る会への協賛」の三つが紹介されました。
元プロレスラーでエニタイムフィットネスのFCオーナーでもある小橋建太さん
元プロレスラーで「がんの子どもを守る会」特別アンバサダーの小橋建太さんも登壇。小児がんの子供を守る活動を始めるようになった経緯を語り、エニタイムフィットネスからの支援に感謝の言葉を述べました。
その後、土屋敦之代表取締役社長は「HIGH SCHOOL PASS」や、中古マシンを全国の離島に寄贈する活動「Healthier Islands Project」の現状について報告しました。
2019年夏 完成予定の座間味村新施設内に、エニタイムフィットネスより寄贈するマシン(リニューアル時に発生する入替マシンと新規マシン)を用いたトレーニングジムを開設予定。
「おかげさまで私どものクラブは500店舗、会員40万人となりましたが、さらにメンバーだけでなく、色々な方と、あらゆる角度でつながり、OPENフィットネス宣言を実行していきます」と今後の抱負を語りました。
実は国も、いつでも、どこでも国民がスポーツに親しめる〝生涯スポーツ社会の実現〟を掲げています。しかしこれまで日本では、「体育・スポーツ施設」の大半を学校が占めており、学校の減少や地方自治体の施設予算の減少とともに、スポーツ施設の数が減ってきています。
そのようななか、エニタイムフィットネスのOPENフィットネス宣言や「HIGH SCHOOL PASS」は、実に頼もしい取り組みといえますね。
「HIGH SCHOOL PASS」の詳細はこちら
https://www.anytimefitness.co.jp/highschoolpass/
エニタイムフィットネス公式HP
https://www.anytimefitness.co.jp/