話題
テクノロジーをあやつるサムライの動画がシュールすぎると話題に
提供:三井住友アセットマネジメント
私は今、いったい何を見せられているのだ・・・。とまどいながらも画面から目が離せない。終わったらまた最初から見てしまう。そう、今月「三井住友アセットマネジメント」のサイトにアップされて以降、「シュールすぎるw」「ハイテクサムライかっこいい」と、にわかに話題になっている動画のことだ。失礼ながら少々“お堅い”イメージのあった金融会社が、ここまでぶっ飛んだ動画を製作した理由はなんなのか。勝手に考えてみた。
話題の動画は、きらびやかな都市の夜景のなか、着物姿のサムライが佇むところからはじまる。そしてそこに「江戸からタイムスリップしてきた男」とのタイトルがバーンッと筆文字で入る。
ここでまず一回目の「ええ!?むちゃくちゃそのままのタイトル!?」の驚きが入る。しかしここからがすごい。というかおかしい。
二回目の驚きはタイトルから数秒後。なんとサムライの猪兵衛(いのべえ)さんが上半身裸で竹刀を振りながら、AIスピーカーと会話をしているのだ。しかもその顔にはVRゴーグルが・・・。なるほど猪兵衛さん、仮想空間で敵を倒しながら刀の練習していたのね。その方が上達早いよね・・・・。じゃねーよ!!!と思わずノリツッコミ。
なんでタイムスリップしてきたのにまったく動じることがなく、現代のテクノロジーを使いこなしているの?
普通はほら、テレビを見て「なにやつ!」って斬りつけようとしたり、スイッチひとつでライトがつくのを見て「お主奇術師か?」とか言うじゃん。これまでのタイムスリップ系のサムライはみんなそうだったよ?
ナレーションによると猪兵衛さん、タイムスリップして5年が経っているようですっかり現代に馴染んでいる様子。
(じゃあなんでまだ着物にちょんまげなの?という疑問は置いておく)。
そんな猪兵衛さんが密着取材を受けている、という設定で物語は進んでいくのだが、猪兵衛さん、移動はセグウェイだし、まぐろの赤身と間違えてUSBを箸でつまんじゃうし、趣味はスマホでネットショッピングだし、スマートウォッチ使いこなしてるし、とにかくテクノロジー大好きっ子。
なんでも猪兵衛さんが江戸時代から現代にタイムスリップしてきて一番感動しているのは最新のテクノロジーだそう。
テクノロジーに大興奮の猪兵衛さんを見ていると、ふと気づかされる。目の前のパソコン。手元のスマホ。部屋の隅のロボット掃除機。いまではすっかり当たり前になってしまったこれらって、ほんの少し前までは「未来のアイテム」として人々が憧れていたものじゃなかったっけ。
私たちはタイムスリップしたわけではないから、テクノロジーは突然目の前に現れたのではなく、生活にじわじわと浸透し、やがて当たり前のものになっていった。だからどこかテクノロジーの“凄さ”に鈍感なのかもしれない。
でも便利で豊かな社会を実現し、私たちの生活をアップデートしていったのは他でもないテクノロジーの数々。きっと今この瞬間も、次の「当たり前に」向けていろいろなところでイノベーションが起きようとしているのだろう。
密着取材では猪兵衛さんが時代劇舞台のリハーサルでさすがの殺陣を見せつける。「え、役者だったの?」とまた驚かされるが、何度目の驚きか分からないのでもう数えるのはやめる。
そんなリハーサル中の猪兵衛さんのもとに、一本の電話がかかってくる。その相手は女性。女性は猪兵衛さんを本名で呼ぶが、その名前はここでは伏せておこう。(伏線がはられているので細かく見ている人は気づくかも)。
動画は「今後人間のアップデートを支えるのは、テクノロジーによるイノベーションしかないのでござる。未来はそこにある。気づいた人が先に行けるのじゃ」という猪兵衛さんの意味深な言葉で終わる。
おそらくこの先、猪兵衛さんは過去に帰るのだろう。で、何をするのか。はっきりとは描かれていないが彼はきっと「未来に投資」するのだと思う。
私も時々考えるのだ。過去に行くことができたら、絶対に今盛り上がっているテクノロジー関連株に投資するのに!と。もったいないことをした!と。
でも「現代」だって「未来」から見たらまぎれもない「過去」なのだ。じゃあ未来のテクノロジーに対して猪兵衛さんがやろうとしていることは?そして現代で暮らす私たちにできることは?
この動画は猪兵衛さんを通じて問うているのだ。
さて、現代人。未来はどうなる?未来をどうする?