文芸書のベストセラーで今年を象徴する出来事は、恩田陸『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)の直木賞・本屋大賞のダブル受賞でしょう。直木賞の選考委員と書店員が名作だとたたえ、売りたいと推した「今年読むべき一冊」と言えます。村上春樹の新作長編『騎士団長殺し』(新潮社)、東野圭吾の『マスカレード・ナイト』(集英社)、芥川賞受賞から2作目が注目を集めた又吉直樹の『劇場』(新潮社)など、人気作家も大いにワクワクさせてくれました。
その一方で、SNSから発信されるなどして、狭く、深い世界から売れた本も目立ちました。宿野かほる『ルビンの壺が割れた』(新潮社)、燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮社)などは、作家名にも作品名にもなじみのないところからじわじわ広がっていきました。単行本・文芸書の年間ベストセラー3位の川口俊和『コーヒーが冷めないうちに』(サンマーク出版)も、無名の作家ながら電車の窓横の広告をうまく使い「4回泣ける」という効能をうたって、読者をひきつけました。初版は2015年ですが、まさに“冷めなかった”作品です。
電車内を見渡せば多くの人がスマホを見ている昨今ですが、ツイッターやラインを使いこなす若い人たちこそ、言葉に触れ、言葉を楽しんでいるのではないかと思っています。だから、もっと研ぎ澄まされた言葉が必要とされているのではないかとも。せわしない会話のやり取りも発信も、忙しい現代に必要なツールですが、書かれた本物の言葉をインプットして、自分の語彙を磨いてもらえたらうれしいです。文庫本は持ち歩きやすい「スマート本」ですから。
本の楽しみをより多くの人に、いろいろな場面で味わってもらえるよう、書店も出版社も本を届ける工夫と努力を重ねていきたいと考えています。紙の本だけではなく、電子書籍やオンデマンドとどう向き合うか、著者と読者をどうつなげるか。課題も、そして楽しみも尽きません。ただ一つ、これだけは言えること。それは「書店はあなたに必要なものが絶対にあるパワースポットだということ」。どんな時にもあなたを後押しするヒントがあります。ぜひ今日から、待ち合わせは本屋で。(談)
吾輩に似合うかっこいい「スマート本」を買いに行くニャ
自らの犯した深い罪ゆえに、自分を責め、他者を拒み、頑なに孤独でいようとする男。「奇跡」と「罪」が事件を、憎しみを、欲望を呼び寄せ、人々と男を結び、縛りつける。「本の雑誌が選ぶ2017年度ベストテン」第1位を獲得! バンドネオンの息苦しく哀しげな旋律……。ラストの哀切と強い感動が、心を揺さぶる!
特集「ピンチをチャンスに変える生き方」では、人生の試練を乗り越えるために大切なことを有馬稲子さん、佐伯チズさん、武田双雲さん、加藤諦三さんにお聞きしました。ほかにもゲッターズ飯田の「幸せをひき寄せる開運指南」、人気スタイリスト石田純子さんによる「お出かけ服」の誌上コンサルなど読み応えあるコンテンツが満載。
ゆうゆう 公式サイト - 主婦の友社の女性誌「ゆうゆう」の公式サイト。