単行本・実用書部門では、料理やダイエットなど例年はテレビ発信の本がヒットすることが多いですが、今年はそれがありませんでした。さらに「食べること」よりも「健康になること」に多くの人の関心が集まったようです。実用書の1位と2位は『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』でともにサンマーク出版の書籍でした。この「開脚本」は、電車の中で広告を見かけて気になったという人も多いのではないでしょうか。2016年春に発売されてから、コツコツと積み上げてきた出版社の努力が実った大ヒットと言えます。
実用書のように何かを知りたい時に手に取る辞書。2018年1月12日には、『広辞苑第七版』(岩波書店)が10年ぶりの大改訂を経て発売されます。三浦しをん『舟を編む』(光文社)の映画化や宮木あや子『校閲ガール』(KADOKAWA)のドラマ化で「本を作る」ことの面白さや地味で膨大な作業が多くの人に知られるようになりました。「辞書引き」のイベントを開催すると、たくさんの人が書店に集まります。本・言葉への関心が高まる2018年になることを期待しています。辞書を手に取って、改めて言葉の奥深さに触れてみませんか。
クリスマスやお正月、人が集まる年末年始には「本を贈る」機会も多いかもしれません。選び方がわからないときはもちろん、書店員がおすすめの一冊を提案しますが、ぜひ、贈る本を選ぶ楽しみも大切にしてください。「この本を読んで、あの子は、あの人はどんな顔をするかな。何を思うかな」など想像しながら本を選ぶ時間はとてもすてきなひとときです。
今年の本で、年末年始にみんなで囲むならヨシタケシンスケ『あるかしら書店』(ポプラ社)はいかがでしょう。「あったらいいな」という本が次から次へと飛び出すこの絵本は、私たち書店員の理想の本屋です。一冊の本から広がる新たな世界を多くの人に楽しんでいただければと思っています。(談)
新しい年に吾輩もすてきな趣味を始めるための実用書を探してみるニャ
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはこころと似た境遇の7人が集められていた――すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。