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11月14日は「世界糖尿病デー」予防と早期治療を訴えてライトアップも
提供:世界糖尿病デー実行委員会
11月14日、全国で一斉にブルーライトアップが実施されます。姫路城や東寺(教王護国寺)五重塔、彦根城や松本城、札幌市時計台や東京都庁など、ユネスコ世界文化遺産や国宝を含む著名な建造物が、鮮やかな青に照らし出される予定です。
この日は、国連が2006年に認定した「世界糖尿病デー」。ブルーは「どこまでも続く空」と、国連のカラーに由来しているそうです。
世界的な脅威になっている糖尿病患者の増加。国際糖尿病連合(IDF)によると、世界の糖尿病人口(20-79歳)は、2015年の時点で全体の8.8%となる約4億1500万人。2040年には約6億4200万人に達すると予想されています。
日本ではどのような状況でしょうか? 全国で糖尿病が疑われる成人が推計で1千万人を超えたことが、9月に厚生労働省が公表した2016年の「国民健康・栄養調査」で判明しています。1997年の調査開始から増加の一途をたどり、ついに大台を突破してしまいました。
糖尿病の「予備群」とされる人口も約1千万人。2008年に始まった特定健康診査(メタボ健診)の受診率は、2015年にようやく50%を突破(厚労省調べ)。これだけの数の糖尿病患者や「予備群」がいるとされていながら、自分自身の健康状況を把握できていない人も多いのが現状です。
生活習慣病である糖尿病が恐ろしいのは、痛みなどの自覚症状がないのにかかわらず、合併症を引き起こすと命を奪う危険があるという点。重症になる前に、早期発見・早期治療を行うが大切です。一方で「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われるのに治療を受けていない人の割合は、40代男性が48.5%と突出して高く、働き盛り世代が大きなリスクを抱えていることを示しています。
一人ひとりの健康を損なうだけでなく、糖尿病は経済にも影響を与えています。IDFによると、世界の糖尿病治療と合併症管理に要する医療費は、2015年で6730億米ドル。2040年には8080億米ドルと、現在の日本の一般会計予算に迫るレベルにまで増えます。糖尿病に関連した医療費の支出が、世界経済や日本の財政を圧迫する原因となるのです。
ここで、糖尿病のメカニズムについておさらいしてみましょう。
ごはんなどの炭水化物が分解されてできたブドウ糖は、血液の中を流れて全身に運ばれ、私たちの体のエネルギーとして働きます。血中のブドウ糖の量は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンによって、一定の量に保たれています。インスリンを分泌する能力が低下すると、血糖が高くなります。その状態が慢性的に続くと、臓器などにさまざまな合併症を引き起こします。
糖尿病には、遺伝子の異常が原因で起こるものもありますが、その多くは食べすぎや運動不足といった生活習慣が関係していると考えられています。したがって、生活習慣を改善することが、糖尿病を予防するための第一歩と言えるでしょう。
日本糖尿病協会のサイトによると、「こうすれば絶対に一次予防(発症自体を防ぐ)できる」という必勝法はないようですが、バランスの取れた生活を送ることが大切ですね。「糖尿病にならない7カ条」をご紹介します。
健康のために当たり前のことを続けていれば良い、とはわかっていても、なかなか続けられないのも確か。人によってやり方はさまざまあると思いますが、普段の意識から改善していく必要がありそうです。
「世界糖尿病デー」の趣旨も、糖尿病について考え、予防や治療の重要性を意識していこうというもの。「団結して糖尿病と戦おう」を意味するブルーの輪が、シンボルマークになっています。
なぜ11月14日かというと、インスリンの発見で1923年にノーベル賞を受賞したカナダの医師、フレデリック・バンティング博士の誕生日だから。抽出に成功したインスリンが大量生産されるようになり、多くの糖尿病患者を救ってきました。
キャンペーンには、世界160カ国から10億人以上が参加するそうです。日本では、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会による「世界糖尿病デー実行委員会」が中心となって、全国で啓発活動やイベントが開催されます。
ライトアップは、14日の当日だけ点灯する場所を含めて、10月末から11月末にかけて約180カ所で実施(実施日は場所により異なります)。世界遺産では、岩手・平泉の観自在王院跡、京都の東寺五重塔と二条城、姫路城がブルーの輝きで演出されます。
国宝の松本城と彦根城のほか、名古屋城、大垣城、大阪城、岡山城、高知城など全国の天守閣の競演も見もの。さっぽろテレビ塔、横浜マリンタワー、明石海峡大橋といったランドマークや高崎白衣観音、大宰府天満宮などの神社仏閣だけでなく、東京の渋谷ヒカリエや二子玉川ライズ、民間の医療施設などもライトアップが予定されています。
年末のイルミネーションのような派手さはありませんが、荘厳なブルーのライトアップは、秋の夜長を楽しむのに打ってつけ。運動不足の解消のために出かけるのもいいかもしれませんね。
今年の国内でブルーライトアップされた建造物は、過去最多の205カ所。世界文化遺産では、岩手県・平泉の観自在王院跡、静岡県の韮山反射炉、京都市の東寺(教王護国寺)五重塔などが青く輝きました。
東京都庁や大阪市の通天閣などの高層建築物も、いつもと違うブルーの照明に。群馬県では草津温泉の湯畑、島根県の出雲大社御本殿、福岡県の太宰府天満宮本殿、長崎市の眼鏡橋といった由緒ある建造物や観光スポットでもライトアップされ、観光客や地元の人たちを楽しませていました。
都内では、丸の内エリアのオフィスワーカーら約100人が、糖尿病予防の運動も兼ねた「スロージョギング」を実施。青く光るブレスレットを付けて、皇居の周りを走りました。