「捨てる親あらば拾う子供あり」「一便去ってまた一便」「肉を切らせて全部残す」――。どこかで聞いたことのあるような“格言”ですが、これらはみんな、人気漫画家らが作品にした「育児ことわざ」です。
何だかんだと苦労や悩みがあるけれど、子育てはやっぱり幸せに包まれたもの。ことわざでコミカルに描くことで、若い人たちも育児に共感すれば、少子化の対策に一役買うかもしれません。
子育てをしていると、毎日が新しい発見の連続です。大変だったり心配だったりすることもあれば、感動する出来事があったり、愛おしい気持ちが芽生えたり。そうやって経験した育児エピソードは、現在育児中の人や育児を卒業した人はもちろん、子育ての経験がない人でも「子どもってイイな」って共感できるはずです。
人気の漫画家だって、人の親。育児の苦労や悩みは、普通の家庭と変わりません。西原理恵子さん、瀧波ユカリさんなど、自身も子育て経験を持つ漫画家31人が“育児あるある”を描き、『マンガ育児ことわざ』(実業之日本社)として一冊の本になりました。
「育児ことわざ」のルールは一つ。自身の子育て体験をもとに、ことわざにすること。あとは自由な形式で、オール描き下ろしの漫画が集まりました。
育児の大変さを笑いに変えた作品。可愛らしいしぐさを描いたキュンとくる作品。それぞれの視点や作風を生かして、さまざまな「育児ことわざ」で表現されています。
『臨死!! 江古田ちゃん』がドラマやアニメ化された瀧波ユカリさん、ベストセラーになった『ツレがうつになりまして。』シリーズの細川貂々さんら有名漫画家の作品も。母親ならではの愛情や冷静さを垣間見ることができます。
父親だって子育てに参加しています。夏目義徳さんは、リビングで子守りをしながら仕事をしていた当時のエピソードをコミック化。 代表作『トガリ』『クロザクロ』などの硬派な作品とはまた違った、可愛らしい画風で描いています。
子どもと過ごす毎日は、慌ただしくても喜怒哀楽があふれ、人生の中でも密度が濃い時間。うれしいことに喜び、困ったことに悩み、親と子は一緒に成長していきます。その中で得られた教訓のようなものが、「育児ことわざ」だともいえるでしょう。
『マンガ育児ことわざ』には、ツイッターの「育児ことわざ」ハッシュタッグで集まった、一般の方の作品も掲載。「好きなおもちゃも七十五日」「ボウズ寝なけりゃ今朝まで眠い」「売り場の泣き力」などの力作がイラスト化されています。
多くの人の共感を集めることができる「育児ことわざ」は、誰にでも挑戦できるのが魅力です。ママ友の集まりにはもちろん、会社やプライベートなどでも、ほっこりした笑いを提供できるでしょう。過去の経験を振り返ったり、未来予想図を思い描いたりして、自分自身の「育児ことわざ」を創作してみるのはいかがでしょうか?