のんさんが、オープニングの歌でファンになってしまったという映画『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方』。「素直な人」しか出てこないというこの作品、まさに「ウルトラ・ハッピー・ムービー」です。フライヤーまで惚れ込んでしまったのんさんに、映画の魅力を語ってもらいました。
私は「大人の世界」と「子供の世界」は、相反するように描かれるもののような気がしていました。でも、この映画は子どものために描かれた映画のように見えて、大人も楽しめる映画でした。
幼稚園を脱走した6人のやんちゃな子どもたちによって、老人ホームから救い出されたおじいちゃんおばあちゃんたちが、子どもたちと一緒になって無邪気に発明をしたり、お父さんお母さんたちは自分たちの村が「世界一平均的な理想の街」と指定された時には、子どもみたいに喜んだり。
世界一の称号がうれしくて、その気持ちに素直に従って生活し始める大人。褒めてほしくて一生懸命に平凡を演じる大人。ラストシーンにある子どもたちのとっておきのむちゃくちゃなかわいい発明にも、すごいと思えればその気持ちを尊重して一緒に喜ぶ。「気持ちに素直な人」しか出てこない映画なんです。大人も子どもも、自分の心に素直であれば人生楽しめるのだというメッセージを感じました。
私が特に好きだったのはオープニングの歌です。日本語吹き替え版で観せていただいたのですが、おならから始まるのが最高でした!大人には負けるもんかと歌っているのですが、冒頭の歌詞はおなら!おならで戦おうとしている子どものパワーをひしひとと感じました。
歌は子どもたちの合唱なんですが、歌声が不ぞろいなところが一人ひとりの個性と奔放さを表現しているようでとても楽しかったです。
そして、ポップでかわいらしい映画タイトルにそぐわない、こちらをにらみつける子どもたちのフライヤー(チラシ)の写真が大好きです。子どもの怒っている顔ってなんでこんなに心を惹きつけるのか……。無駄なものが一切ついていない怒りというのはジメッと辛気臭くないからでしょうか……不思議。
イチゴミルクが飲みたくなる、ではなく、自分なりのイチゴミルクを作りたくなる映画だなあと思いました。私はイチゴに砂糖を混ぜた牛乳をかけて食べるのが好きです。皆さんの「世界でいちばんのイチゴミルク」はどうですか?
のん/女優、創作あーちすと。1993年兵庫県生まれ。映画『この世界の片隅に』で声優デビュー。「戦時中の広島を舞台にしたステキなアニメ映画です!」