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書の魅力にうっとり、高校生の書道愛。今、伝統文化が凄い!
提供:アーツカウンシル東京
書の魅力にうっとりする高校生たち…ジャージ姿の彼女たちは何を求めて筆を握るのか?伝統芸能のクールさに気付いてしまった若者たちがいます。茶道や日本舞踊に加え、影絵に見せられた男子学生まで。日本の文化はアニメとアイドルだけか?そうじゃないだろ?そんな、とがったメンツが集うフェスティバルが、東京で開かれます。アーツカウンシル東京が企画したフェスの正体とは?
お邪魔した大東文化大学第一高等学校書道部は、都内屈指の強豪校。墨の香りが立ち込める部室では、生徒たちが熱心に筆を走らせています。さぞかしピリピリした中で練習しているのでは・・・?と思いきや、むしろ笑い声が聞こえて楽しげ。顧問の佐藤敦子先生に思わず聞いてしまいました。
「正直ちょっと意外です・・・!強豪校とお伺いしていたのでてっきりストイックな雰囲気なのかと・・・。」
「活動中は集中して書くように言っています。ただ作品のレベルを上げるには周りと良い関係を築くことも大切です。」
「なるほど・・・。和気あいあいとした雰囲気が作品には必要なのですね。」
全国高等学校総合文化祭に東京都代表として12年連続出品、全国青少年書き初め大会団体2位など、数々の実績を残していますが、部の目標は大会で賞を取ることではないそうです。
「『作品と向き合うことで自己の成長を促し、自身が納得できる最高の一枚を完成させる』をテーマに、高いレベルで自分を表現することを目指しています。そのために生徒たちは仲間と鍛錬しながら技術を磨き、練習や作品制作を通して、古くから芸術として受け継がれてきた書道の楽しさや精神を学んでおり、そうした努力の結果が大会での成績にもつながっています。」
「最近の高校生って立派ですね・・・。頼もしい限りです。」
部員はここ数年で急激に増え、今年は何と30人近くになりました。書道部に入るために入学してきた生徒もいるそうです。一方で高校から書道に本格的に取り組み始めたという生徒も・・・。2年生の森有希さんもそんな一人。中学ではバドミントン部でしたが高校から書道部に入り、今ではその奥深さに魅了されているようです。
「最初は不安でしたが、先輩も優しくて、すぐに楽しくなりました。書けば書くほど新しい発見があって面白いですね。それに、作品によって書体や形式も様々なので、見るだけでも楽しめます。」
7年前からは書道パフォーマンスにも取り組んでいるそうで、文化祭やイベントなどで披露して高い評価を得ています。
「パフォーマンスの魅力ってズバリ何でしょうか?」
「パフォーマンスは観客に楽しんでいただくために動きや作品の構成を考えているので、多くの人に書道を身近に感じていただけると思います。」
現在、生徒たちは10月に行われる「日本橋 熈代祭 江戸あそび〜伝統文化フェスティバル〜」の熈代ステージへの出演に向けて特訓中。練習が始まると、「墨は多めにつけた方がいいよ」「手の向きはこう」「書き始めと歩幅を合わせて」など、あちこちでアドバイスが飛び交い、部室はさらに活気づきます。パフォーマンスが好きな生徒は多く、みんな笑顔で練習用の新聞紙に向かっているのが印象的でした。生徒たちはパフォーマンスの練習を通して、一人で行う作品制作とは違った書道の魅力を感じているようです。
楽しみながら伝統文化に取り組む生徒たち。その若く豊かな感性を発揮し、今までにないステージを見せてくれるに違いありません!
お次は東京造形大学の大学院生による「Hachioji影絵プロジェクト」にお邪魔しました。メンバーの皆さんは、11月に八王子市内で開かれる多摩地域の伝統芸能を集めた「伝承のたまてばこ~多摩伝統文化フェスティバル2016~」での実施に向けて練習を重ねています。
照明を落としたスタジオのスクリーンに、緑豊かな小道を描いたイラストが浮かび上がり、やがて赤い天狗がパッと現れてゆらゆらと空を飛びます。「天狗は少しずつ大きくしようか。もう少しくっきり出せる?」という声に、学生が手元の幻灯機のピントを調整します。
こうした見世物は200年ほど前にオランダから持ち込まれました。日本では携帯型の幻灯機が発明され、興行がスタート。関西では錦影絵、関東では写し絵として発展しました。かつては町の家々で公演され、芝居小屋での興行もありましたが、明治以降は下火になりました。
東京造形大学がある八王子市は写し絵師・玉川文蝶が拠点としていた地域で、多くの人が「影絵」と呼んで親しみ、昭和初期まで人気の娯楽だったそうです。
このプロジェクトは日本のアニメーションの原点ともいえる文化の復興、地域とのアートコミュニケーションを目指して9年前に始動。初期のメンバーが郷土資料館に保管されていた幻灯機を実測して再現し、現在では国内各地から依頼を受けて公演やワークショップを開くまでになりました。公演する地には前もって必ず足を運んで、その地域ならではの要素を取り入れる手の込みよう。今年は10人の学生が専門領域を生かして作品づくりに取り組んでいます。
この4月からプロジェクトに参加している八谷聡大さんは、ようやく幻灯機の扱いに慣れてきたところだといいます。
「日本画を研究していて、最初は自分の作品がスクリーン上で収縮することに面白みを感じたのですが、キャラクターになりきったり、文化的な背景を考えたりと色々なことに目を向けるようになりました。本番が楽しみですね。」
「伝承のたまてばこ~多摩伝統文化フェスティバル2016~」で披露するストーリーは地元・高尾山の風景と、有名な天狗伝説をかけ合わせ、7月末に完成しました。先輩たちが残してくれた幻灯機を手に、観客の心をつかむ公演を目指しているそうです。こちらも必見ですね!
アーツカウンシル東京では、今回ご紹介した演目以外にも茶道や能楽、日本舞踊など多彩なラインアップを揃えています。外国人や子供、青少年が本格的な日本の文化に触れることで芸術文化の創造活動を拡充していく「伝統文化・芸能体験プログラム」もあわせて実施していますので是非お立ち寄りください。
10月7日(金)~9日(日)
10月9日(日) 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、日本橋文化交流フェスティバル実行委員会
11月26日(土)、27日(日)主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、八王子市、公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団
9月24日(土)、25日(日)、10月15日(土)、16日(日) 主催:東京都、東京都アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
前夜祭11月12日(土)、本祭13日(日) 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NPO法人粋なまちづくり倶楽部
9月19日(月・祝) 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 助成・協力:東京都
12月4日(日) 主催:多摩川流域郷土芸能フェスティバル実行委員会、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
1月2日(月・振休)、3日(火) 主催:株式会社東京国際フォーラム 共催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
平成29年2月16日(木) 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 助成・協力:東京都
平成29年3月4日(土) 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 助成・協力:東京都
平成29年3月24日(金)、3月25日(土) 主催:アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団) 助成・協力:東京都
平成29年3月20日(月・祝)能楽、3月30日(木)長唄・三曲・日本舞踊 主催:東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、公益社団法人日本芸能実演家団体協議会
お問い合わせ
アーツカウンシル東京 伝統文化事業事務局
TEL03-5369-4541(10:00~18:00)
アーツカウンシル東京公式サイト
〈主催〉アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
〈協力〉朝日新聞社
※公演は未就学児入場不可。(「みんなで楽しむ日本舞踊の世界~THE 日本~」を除く)
※料金はすべて税込み。
※内容は変更になる場合があります。
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