ネットの話題
ららさんからの取材リクエスト
パートナーがデニムを全然洗いません。洗わないデニムはどれくらい汚いのか調べて欲しいです。
デニムは洗う?洗わない? 洗濯のプロに聞いてみた
ネットの話題
パートナーがデニムを全然洗いません。洗わないデニムはどれくらい汚いのか調べて欲しいです。
パートナーが某アイドルに憧れて、デニムを全然洗いません。気持ちはわかりますが、私はとても汚いと思うのです。洗わないデニムはどれくらい汚いのでしょうか?調べて欲しいです。 らら
デニムを洗わないと皮脂や汗などの汚れなどで雑菌が繁殖し、悪臭などの原因になるそうです。
また、繊維が傷みやすくなるため、デニムを守るためにも定期的な洗濯が必要だそうです。
ジーンズをはじめ、デニム生地の衣類には熱心な愛好家が少なくないようです。
「デニムを育てる」という言い回しを聞いたことがある人もいるかもしれません。
SNSなどを見渡すと、デニムを「洗う派」と「洗わない派」がいるようです。
「店員にデニムは洗ったらダメと言われた」「半年は洗わない」といった声もあれば、「履くたびに毎回洗う」「洗いざらして硬くなったデニムに足を通すのが好き」といった投稿もありました。
実際のところ、デニムは洗った方がよいのでしょうか。
東京都品川区にある1927年創業の老舗クリーニング店「三共クリーニング」を訪ねました。
取材の趣旨を説明すると、社長の田村嘉浩さんは「デニムを洗うか洗わないかという話題、あるあるですね」と笑いました。
田村さんによると、「洗わない派」がデニムを洗濯しないのは、生地が摩耗したり、色落ちしたりすることを嫌うことが主な理由だそうです。
「ヴィンテージやダメージジーンズなどの場合、今のちょうどいい『ユーズド感』が変わってしまうのを避けたいという人もいるようです」
田村さんは「それでも、デニムを長く履きたいなら、洗った方が良いです。特に高温多湿な気候の日本で洗わないのはデメリットが大きいです」と話します。
その理由について「まず一番は不衛生だということ。皮脂や汗などの汚れがついたままだと、雑菌が繁殖し、悪臭の原因にもなります。また、汚れがついた繊維は硬くなり、傷みやすくなるので、洗わないとむしろ劣化が早まる可能性があります」と説明してくれました。
洗濯の頻度については「夏場などは、汗をかいたらその都度洗うのがベストです。冬場でも毎日履くなら1週間に1回程度は洗濯するのが望ましい」そうです。
「とはいえ、洗濯でデニムの状態が変わってしまうのを心配する人の気持ちも分かります」と田村さん。
三共クリーニングでは、ヴィンテージや高級ブランドのデニム類などで、顧客が希望する場合は、劣化を抑えるために手洗いでクリーニングを行っているそうです。
「以前、180万円のヴィンテージ品を洗ったこともありましたが、あのときはかなり神経を使いました」と振り返ります。
実際に、デニムを手洗いするところを見せてもらいました。
洗濯するのは、アルマーニ製の高級ジーンズ。見たところ、汚れているようには見えません。
「綺麗に見えても、汚れは溜まっているんですよ」と田村さん。
プラスチック製の容器に入れた36℃から40℃ほどのぬるま湯に、中性洗剤や色落ち防止剤などの薬品を加えます。
そこにジーンズを入れ、10分ほど漬け置いた後、型を崩さないようにそっと上から手で押すようにして洗います。
「繊維の間に水を通してあげるようなイメージです。洗濯機を使わずに手洗いすれば、色落ちや繊維の摩耗を最小限に抑えられます」
家庭で洗濯機を使って洗う場合でも、生地を裏返すか、ネットに入れるなどしてから洗えば色落ちや摩耗をある程度抑えられるそうです。
先ほどのジーンズをお湯につけてからまだ3分ほどしか経っていないのに、すでにお湯の色が茶色く濁り始めていました。
「意外と汚れているでしょう?長期間洗っていないジーンズはこんなもんじゃありません。コーヒーみたいな色になりますよ」
汚れの正体は皮脂や汗、こぼれた食べ物や飲み物などのほか、特に男性の場合は飛び散った尿などの汚れもあるそうです。
三共クリーニングでは洗った後のデニムを、特殊な乾燥機を使って型崩れしないように乾かすそうです。
「家庭で乾かす場合は、直射日光を避ける、濡れているうちに、しわになっている部分をよく伸ばすなどすると、型崩れや生地が縮むのをある程度抑えることができます」
SNS上では、デニムをめぐって「洗う派」と「洗わない派」の論争が続いているようです。
田村さんは「デニムは元々、作業着ですから、本来はジャブジャブ洗いながら使うものでした」と指摘します。
「体になじんだ生地が、洗濯すると少し縮んでリセットされる。それをまた着て、再び体になじませる。デニムは、この繰り返しで少しずつ『経年劣化』していく過程を楽しむものでもあります」
しかし、近年は高級ブランド製のデニムや、ユーズド加工されたジーンズといったファッション性の高いものが人気を博しています。
田村さんは「本来デニムが持っている特性と、完成された状態のファッションアイテムとしての使われ方との間にギャップが生じている」と指摘します。
三共クリーニングでは、同じデニムでも、機械油などで汚れた作業着類などは、洗濯機と洗浄力の高い洗剤の組み合わせで「ガッツリ洗う」一方で、高級ブランド製のものは劣化を抑えるために手洗いするなど、顧客のニーズに応じて洗濯の仕方を変えているそうです。
「目的に応じて洗い方の工夫が必要ですが、デニムを長く使うためには、いずれにしても洗濯はして欲しいと思います」
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