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ジュノンボーイ「イケメン工場」30年の系譜 アイドル総選挙の元祖
メンズコンテストの先駆けともいわれるジュノン・スーパーボーイ・コンテストが来年、30回を迎える。その間に、有名俳優が多数輩出。ジュノンボーイは爽やかイケメンの代名詞となった。時代はどんなイケメンを求めているのか。これまで、計16回の審査にかかわり、審査員長も務めた岡本朋之副編集長(47)に聞いた。
――ジュノン・スーパーボーイ・コンテストの始まりはなんだったのでしょう。
雑誌「ジュノン」の15周年イベントです。読者を絡めた企画が何かしたいね、という話でコンテストをすることになりました。男性を取り上げている雑誌のコンテストは初めてだったんじゃないかなあ。
そのときの募集要項は「あなたの隣のステキな男の子を教えてください」でした。ジュノンは女の子が読む雑誌なので、そういう意味で女の子が選ぶ、男の子を求めていました。
ただ、こんなに長く続くとは思っていませんでした。まあ3、4回くらいかな。
第2回コンテストで武田真治さんがグランプリを取るのですが、世の中の「中性的な男の子」人気と相まって、ブレークしました。そのくらいから、イケメン俳優の登竜門という位置づけになりました。
――それは、狙い通りという感じなのでしょうか。
いやいや、思いもかけず、という感じです。イケメンのトレンドを作っているとは全く思っていません。というのも、このコンテストは、こちら側の手はほとんど入っていないのが特徴だからです。
私たち編集部が積極的にかかわるのは1万3千~1万5千通ある応募の書類選考と、地方予選だけ。ベスト100からファイナリストの約10人を選ぶまでは全てファンによるものです。雑誌についているハガキや、携帯サイトでの人気投票で決まります。
ファンにとっては「私はこの子が素人の時から応援していた」と言えることが、一種のステイタスのようです。
フレッシュでありながら、デビューした時には一定のファンがついている。なので、デビュー後すぐに仮面ライダーなどの大きな役もやらせていただけるんだと思います。
――ファンが選ぶ、という意味ではAKBの総選挙みたいですね。ファイナリストに残る子の特徴はありますか。
半分以上が他薦です。ジュノンコンテストの良さは、素人が受けやすいということ。
親が、姉妹が、お友達が、ノリで応募できるということで、スカウトマンが救いきれないところに裾野を広げているようです。言うなれば、国民全員がスカウトマンということですから。
――イケメンのトレンドは誰が作っているのでしょう?
テレビドラマの影響などもあるのでしょうか。
2002~07年ごろは、ごくせんやイケメンパラダイスなど、いわゆる「イケメンドラマ」がたくさん放送されたこともあり、それ以降の応募者の質が上がったように思います。
第19回コンテスト(06年)は特に質が高かったと記憶しています。グランプリの溝端淳平さんには過去最多の40社の事務所からオファーがありました。
――溝端淳平さん以降のジュノンボーイが、ぱっと出てこないのですが…
最近ですと、菅田将暉さんが演技派俳優として人気ですよね。地方予選の時にケガをしていたので、そういう意味で印象に残っていますが、ここまで人気がでるとは思っていませんでした(笑)。
最終選考は、1000人の観客を前にしたフリーパフォーマンスと、女の子をキュンとさせる告白ができるか…の2つ。なので、正直、演技力とかはわからないんですよ。
原石を見つける、というのがテーマなので、可能性を絞り込んでしまわないために、あえて審査項目に演技はいれていません。
ただ、この仕事を長くしていることもあり、10年後の顔は大体想像できます。
あまりに素人感がですぎてる子には、予選の段階で注意することもあります。私が審査員長をした時の25回(12年)グランプリの犬飼貴丈さんには「眉毛いじりすぎ」と注意しました(笑)
――時代や世相を反映している、ということはないですか。
後付けですね。
エグザイルのようなワイルド系がはやるのは、引っ張って欲しい願望のあらわれですとか、かわいい男の子が求められるのは癒やしが欲しいから、とか…後付けはできますが、基本的には色んなジャンルの男の子が求められていると思います。
――色んなジャンルの男の子とは。
アイドルグループには5種類の男の子がいると良いと言われています。
(1)王子様
(2)いたずらっこ
(3)優等生
(4)弟
(5)不良
これらをバランス良くいれると、グループとしてのまとまりや人間関係の見せ方が面白くなると言われています。
――コンテスト28年の歴史上初めて、ジュノンからアイドルグループが誕生。どんな意図が?
ベスト100からファイナリストに残れなかった子たちを集めて「ジュノン・スーパーボーイ・アナザーズ」というアイドルグループをつくりました。
いいな、と思う子が本選に残れないのがもったいなくて。ジュノンボーイはファンが選ぶものですが、アナザーズは僕たち大人が選んだ子たちで結成されています。
――ジュノンボーイは、イケメン俳優のイメージです。なぜアイドルグループを?
言い方は悪いですが、1人では弱い子たちも、グループになると輝くというか。グループになることで人間関係のドラマが生まれてより深いものになる。
アナザーズは全部で24人メンバーがいるのですが、12人ずつ2チームに分けて、メンバーのパフォーマンス人気や楽曲などを競い合って、勝った方がCDデビューをする、という仕掛けにしています。戦うコンテンツですね。
――人気は出そうですか。
アナザーズを手がけてから、もうすぐ1年が立ちます。AKB48でも言われるように、未完成感、必死感を見て、応援したいなと思っていただければうれしいです。
この中からスターが誕生して、それに引っ張られるようにグループにも人気が出るのか、あるいは、また別の売れ方をするのか。正直わからないですが、精いっぱい頑張っている彼らの飛躍が楽しみです。
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