ネットの話題
もののけ姫の山犬モロ? 「守護神になって」と激賞も…元は〝ゴミ〟
アニメ「もののけ姫」に登場するサンの育ての親で、美輪明宏さんが声優を務めた〝山犬モロ〟――。そんな雰囲気の作品が、「神々しく美しい」「私の守護神になってほしい」と、ツイッターで反響を呼んでいます。実はこの作品、材料は〝ゴミ〟になる運命だった廃材です。作者に話を聞きました。
投稿主は、加治聖哉さん(26) @scrapanimal 。「廃材再生師」を名乗り、新潟県長岡市で創作活動を続けています。
人気を集めた作品は「神籬」です。読み方は「ひもろぎ」。神のよりしろとされるものなどをさします。
作品は、アニメ「もののけ姫」に登場するサンの育ての親、山犬のモロを彷彿とさせます。
9月23日には部分的なカットを投稿。全体像の画像をアップした24日の投稿は、14万件を超える「いいね」を集めました。
「神々しく美しい」「私の守護神になってほしい」「生命が吹き込まれてるよ」といったコメントのほか、「廃材がこんな美しいものに生まれ変わるなんてすごい...」と廃材を活用したことに対する驚きの声も寄せられました。
— 廃材再生師:加治聖哉 (@scrapanimal) September 24, 2022
加治さんは新潟県内の出身。大学で美術や工芸を学ぶ中で、廃材アートに目覚めたそうです。
「椅子のデザインの授業では、みんな作品を作っていくわけですけど、その過程でたくさん廃材が出てしまいます。『めちゃくちゃポイポイ捨てていくなぁ、これだけあれば何か作れるよな…』っと思ったのが始まりです」
そう話して、加治さんは笑います。「ただ『もったいない!』と思ってしまうだけです。モノが捨てられない性格なんですよ」
そうして廃材アートを作り続けてきた加治さん。「神籬」の着想を得たのは、昨年末ごろ。今年の春先から制作を始めました。
「『もののけ姫のサンみたいに、山犬に乗ってみたい』。そんな単純な発想がスタートでした」
廃材アートの魅力と難点は、「材料に制約があること」だそうです。
木目や色合いなどに限りがあることは「制約」となりますが、どう生かすかが腕の見せどころであり、魅力でもあります。「パズルやブロックのような感覚で、『ここはこの廃材が合うな』などと考えながら制作していきます」
材料が巡り合わせなので、綿密な「設計図」は書けません。「作りたい動物の骨格をインターネットで調べ、A3の用紙に写します。そこからパーツごとの比率を割り出すことで、作品の骨格を作っていきます」
材料となる廃材は、知り合いの工務店や木工作家から譲り受けます。必ずしも、すべての廃材が作品になじむわけではありません。春先から制作を始めた「神籬」は、3週間程度でいったん「完成」しましたが、この夏に「仕上げ」をしています。
「どうしても毛並みがうまく表現できずにいましたが、新たに手に入った廃材がなじむと考えて仕上げを施しました」
全長は約4メートル、重さは100キロ程度という大作です。
加治さんは「作品を通じて、廃材の可能性を感じてもらいたいです」と話します。
「捨てるもので何かできるんじゃないか、と思うきっかけにしていただければ幸いです」
ちなみになんですが、「神籬」の運搬と組み立て方法です🐺 pic.twitter.com/CKn8Fi5wa9
— 廃材再生師:加治聖哉 (@scrapanimal) September 26, 2022
1/8枚