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お金と仕事

フィンランド人が日本でCEOやってみたら…下請けにイライラ!あれ?

日本でCEOとして働くフィンランド人のアンティ・ソンニネンさん
日本でCEOとして働くフィンランド人のアンティ・ソンニネンさん

目次

 フィンランド人が残業してみたら――。長時間労働や過労自殺など、日本の働き方が問題になっています。一方で対照的に語られるのが欧米のワークスタイルです。なかでも北欧のフィンランドは基本的に残業がなく、男性も当然のように育児に関わるといいます。そんなフィンランド人が日本で仕事をするとどうなるのでしょうか。東京で働く33歳のCEOが自らの「残業体験」を滑らかな日本語で語ってくれました。

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仕事のスタンスに変化が…

 アンティ・ソンニネンさん(33)は来日当時、日本の長時間労働に対して驚きを隠せませんでした。それから4年。日本で働くうちに、仕事へのスタンスが変化していることに気がつきました。

 ソンニネンさんはいま、フィンランド発の起業家支援イベントの東京版「SLUSH TOKYO」の主催団体のCEOを務めています。2015年に日本で初めて開かれ、いまは17年3月の開催に向けて準備を進めています。

2015年4月に開かれたスラッシュアジア。ロックコンサートのようなステージ演出の中で、起業家が体験談を語り、自らの事業を投資家に説明した=東京都江東区
2015年4月に開かれたスラッシュアジア。ロックコンサートのようなステージ演出の中で、起業家が体験談を語り、自らの事業を投資家に説明した=東京都江東区 出典: 朝日新聞

「こっちはお客、あり得ない!」

 その中で、下請けのフィンランドの会社とやりとりする機会がありました。日本のオフィスで先方の社長に会うため、本人に電話をかけたり、メールを送ったりしましたがなしのつぶて。ようやく連絡があったと思ったら「会う必要ある?」とにべもない返信でした。

 「こっちはお客、あり得ない!」。イライラが募る一方で、そう思った自分自身にどこか違和感を覚えました。
 
 「同じフィンランド人のはずなのに…。お客様は神様というけれど、特別視しすぎていないか」

イライラが募る一方で、違和感を感じたというアンティ・ソンニネンさん
イライラが募る一方で、違和感を感じたというアンティ・ソンニネンさん

限られたリソース、一番大事なことは?

 米国や欧州、アジアなどをさまざまな国を旅したり暮らしたりしてきたソンニネンさんは「日本ほどお客が尊敬される国を見たことがない」と話します。

 ソンニネンさん自身も、たとえ深夜に顧客からメールが来ても、翌朝のミーティングまでに確認・理解しておく「習慣」がついたほか、客からの突然の問い合わせに対応するため、なかなか休みを取ろうとしない日本人の気持ちが分かるようになったといいます。

 「日本では完璧さが求められている。その責任感がビジネスで信頼を得ているのは分かるけど、頑張ってもちょっとしか効果が出ない業務もある。それより限られた時間、リソースの中で優先順位をつけてやるのが一番大事」

アンティ・ソンニネンさんのパソコン
アンティ・ソンニネンさんのパソコン

「週40時間労働が普通だと思っていた」

 フィンランドでは1日8時間、週40時間労働が基本。労働政策研究・研修機構の2014年の調査では、週49時間以上働く長時間労働者の割合は、日本の21.3%に対して、フィンランドでは7.9%でした。

 ただ、日本で働くソンニネンさんにとっては遠い国の話のようです。現在は週50時間ほど働いていますが、イベントの2カ月前になるとぐっと増え、週60~70時間(週休2日で1日12~14時間労働)になります。

 「週40時間労働が普通だと思っていましたが、ちょっと分からなくなってきています。日本の企業がお客さんである以上、自分も日本人のような働き方になってしまう」と話します。

日本での働き方について語るアンティ・ソンニネンさん
日本での働き方について語るアンティ・ソンニネンさん

「この日常に家族もいたら大変そう」

 長時間労働となるため、職場の雰囲気作りには気を使っています。現在、メンバーは10人。男女比は半々で外国人が3人と、性別も国籍も異なるチームのコミュニケーションを円滑にするため週1回、業務的な会議とは別に雑談をするためのミーティングの場を設けています。

 「無理していない?」「仕事、楽しんでいる?」。そんな話題が飛び交います。上下関係を意識せず、何でも率直に話ができるよう、「敬語禁止」のルールを設けました。

 いまは独身のソンニネンさん。仕事にも専念できますが、「この日常に家族もいたらちょっと大変そう」と育児に積極的なフィンランド男性らしからぬ発言も…。

 「ビジネスが安定するまでたくさん働かないといけないのはどこの国も一緒。早く実績を作り、ワーク・ライフ・バランスを実現しながら利益がだせる企業のロールモデルを示したい」と意気込んでいました。

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