2016年が『君の名は。』や『この世界の片隅に』『シン・ゴジラ』など、邦画で日本の歴史や日本のよさ、そして自分自身などを見つめ直すような作品が多かったのに対し、今年は明るめの洋画のヒットが目立ったように思います。年明け早々にあったアカデミー賞®でのノミネート数から話題だった『ラ・ラ・ランド』は、その発表と授賞式でのハプニングも大きなインパクトを残しました。肝心の作品は、「何が始まるんだろう」とワクワクさせるオープニング、抜けのある明るさなどがすばらしく、フィルマークスでも映画公開から3日でレビュー数1万件を超えるなど、映画ファンの間でも注目を集めました。
1991年に製作され、今年実写のリメイクがかなった『美女と野獣』も、楽曲に浸れる作品ですし、多くのミュージシャンの出演で話題となった『SING/シング』は、「子どもに付き合って観に行ったが、夢中になってしまった」という声も多くありました。2017年は音楽がストーリーを引き立てる作品が多かったと言えそうです。
邦画では、コミック原作の作品が豊富な1年でした。前後編で公開された『3月のライオン』も話題になりました。コミックではありませんが、同じ将棋の世界を描いた『聖の青春』の公開で、昨今の将棋ブームを映し出しました。『マイティ・ソーバトルロイヤル』や『ジャスティス・リーグ』などのアメコミも元気でした。ヒーローの数や続編の多いアメコミ映画を初心者でも楽しめるように、フィルマークスでも「赤のMARVEL」「青のDC」と系統分けをしたまとめ記事をウェブマガジンで配信しました。
多様なコンテンツ、配信のあり方など、映画を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。動画配信サービスが以前にも増して普及し、映画はいつでもどこでも気軽に鑑賞できるようになりました。しかし、一方で劇場や野外映画祭など、スマートフォンや自宅で観るのとはまた違った体験を共有することも、新たな映画の楽しみ方として価値が高まっているようにも思います。(談)