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2017年12月12日

「逆上がりのコツ」って説明できる? AIが解明するスポーツ上達法

  • 提供:NTT

 IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が広がり、世の中のあらゆるモノがネットにつながるのも、そう遠い未来ではありません。AI(人工知能)がモノを動かしたり、モノ自体にAIが搭載されるなど、生活のいたるところでAIと関わることになるでしょう。

 身の回りのモノだけでなく、サービスやシステム、社会のさまざまな仕組みまでもが、AIを導入することによって、今までになかった便利さや価値を生み出すかもしれません。既に研究が進んでいる領域はもちろん、未開拓の分野にも可能性は秘められています。

 現在、AI技術の研究開発や実用化は、どこまで進んでいるのでしょうか?

 第1回「AIはヒトに取って代わる?」に引き続き、NTTグループのAI技術ブランド「corevo(コレボ)」の研究開発に携わっているNTTメディアインテリジェンス研究所の八木貴史さんにお話を伺いました。

パートナーとの連携で革新を目指す「corevo」

 「AI×○○。すなわちAIとさまざなモノを掛け合わせてコラボすることで、新しい何かが生まれるのでしょうか?」

 今回の疑問は、「corevo」が取り組んでいる、具体的な研究内容や可能性についてです。

 その前にまず説明しておかねばならないのが、ブランド名の由来です。「corevo」には、コラボレーションを通じて革新を起こす(co-revolution)という意味が込められているそうです。

 NTTグループが、外部企業や研究機関、自治体などのコラボレーションによって、新たな価値の創造を目指す「corevo」。さまざまな分野のパートナーとの連携が、基本的な方針となっています。八木さんによると、そのメリットとして、サービスをうまく最適化し、エンドユーザーに効率良く届けることなどが挙げられるそうです。

 「パートナーのお客様が現在困っていることや実現できていないことを、我々の技術で一緒に解決できれば、と思います。そして、我々の技術自体も高まれば、それを他の領域に水平展開していくこともできます」

八木貴史さん

八木貴史さん

 以前からNTTグループが得意としていた分野には、「AI×音声」が挙げられます。電話事業者として40年以上の研究の蓄積を持ち、音響の処理や音声認識に関する研究開発で世界をリード。2015年に開催されたCHiME-3という技術評価国際イベントで、世界1位(参加25機関中トップ)の精度を達成しています。

 自然言語処理や知識処理においても高い技術を誇り、国立情報学研究所の人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」(東ロボ)にも参画。推論が必要とされてコンピュータが最も苦手とする英語の科目で、NTTの技術が活用され、「AI×受験」でも好成績を残しました。

スポーツの「コツ」をAIで解明

 ここからは、「corevo」を構成するAIの方向性に基づいて、各分野での取り組みを八木さんに紹介していだきました。方向性は以下の4種類となります。
【1】エージェントAI(Agent-AI)
 …人間の発する情報を捉えて、意図・感情を理解
【2】ハートタッチングAI(Heart-Touching-AI)
 …心と体を読み解き、深層心理・知性・本能を理解
【3】アンビエントAI(Ambient-AI)
 …人間・モノ・環境を読み解き、瞬時に予測・制御
【4】ネットワークAI(Network-AI)
 …複数のAIがつながり社会システム全体を最適化

corevoを構成する、4つの方向性のAI

corevoを構成する、4つの方向性のAI

 エージェントAIは、「ヒトの発する言葉や表情を理解して、対話をするようなAI」と八木さんが説明してくれました。コールセンターなどで自動応答やオペレーター支援を行う「AI×顧客対応」や、高齢者施設などでロボットがコミュニケーションを行う「AI×福祉」「AI×介護」の現場で、活躍が期待されています。

 明確な目的を持った会話だけでなく、「AI×雑談」の研究も進んでいます。「人間の会話のかなりの部分は雑談が占めると言われているので、AIが雑談をできるようになると、ヒトとのコミュニケーションは豊かなものになるでは」とのことです。

 「エージェントAIがヒトの表面に現れる感情や意図を理解するのに対して、表に現れない深層心理や本音に迫っていくAI」が、ハートタッチングAIです。ウエアラブルデバイスを使って心拍数などの生体情報を計測したりして、その人がどういう状態にあるかということを判別する「AI×ヘルスケア」の分野では、実用化された商品も販売されています。

 興味深い取り組みとして八木さんが紹介してくれたのが、「AI×スポーツ」の分野です。「スポーツ脳科学プロジェクト」が立ち上がり、スポーツにおける「コツ」を人間にどう伝えるかを研究しています。

 「逆上がりだったり、自転車に乗ることだったり、その『コツ』って言葉ではなかなか説明できないですよね。運動の『コツ』の要素を解明することによって、それを人間にフィードバックして、スポーツの上達を支援しようという研究です」

「AI×タクシー」「AI×路面調査」も

 アンビエントAIは、モノや環境など、ヒトを取り巻く情報をセンシングして集めたデータを活用することによって、近未来を予測して制御するものです。「最近ではIoTで大量のデータが集められますので、その情報を分析するという意味では“IoTの頭脳”という捉え方もできますね」と八木さんは語ります。

 リアルタイムな交通情報や人の流れを検知することで、クルマの渋滞を回避することも可能に。大型イベントなどで適切に人を誘導する「AI×交通整理」の研究や、タクシーの乗車需要を予測してドライバーを支援する「AI×タクシー」は実証実験も進んでいます。

 また、クルマに搭載したカメラの映像を集めて、道路の不具合の箇所を検出する「AI×路面調査」も、社会インフラの維持に貢献することが可能です。

 最後のネットワークAIは、2つの種類があるそうです。一つは「AI×ネットワーク」そのもので、AIがトラフィックを分析することなどにより、安定したネットワークの提供を目指すものです。

 もう一つは、複数のAIをネットワーク化して、それを最適化させようというものです。
 「例えば、車がネットにつながるコネクテッドカーの時代になれば、1台1台の車にAIが搭載された場合に、行きたい方向などがAI同士で矛盾してしまうかもしれません。個別最適だと矛盾する可能性があるので、ネットワーク化することで全体最適を目指す、という発想になります」

 全体最適だけでなく、個々に最適な回答を導くことも大切です。ローカルの「AI×気象情報」と全国の「AI×気象情報」を組みわせた「AI×AI×気象情報」で、精度の高い気象情報を導き出そうという試みも始まっています。

AIに個性が求められる時代が来る?

 詳しく紹介できませんでしたが、「corevo」が関わっているフィールドは、「AI×クルマ」「AI×3D映像」「AI×農業」「AI×窓口業務」「AI×天体観測」「AI×画像フィルタリング」「AI×防犯」など、多岐にわたります。

 ユニークな例として八木さんが教えてくれたのは、あるアニメのキャラクターにユーザーがなりきって、対話を最適化しようというプロジェクト。「AI×キャラ」「AI×有名人」「AI×歴史上の偉人」など、将来はAIにも明確な個性が求められるのかもしれません。

 アイデア次第では、社会に大きく貢献したり、暮らしに利便性をもたらすことができる「AI×○○」。まだまだ多くのビジネスチャンスがありそうです。


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