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【のんさん映画コラムまとめ】 “のん”のノンストップ!女優業!!
提供:東京テアトル/ショウゲート/エデン/ポニーキャニオン/ビターズ・エンド/松竹/ロングライド
朝日新聞本紙とwithnewsで〝のん〞さんが映画について語りつくす連載がスタートしました!〝のん〞さん!連載にかける意気込みは・・・?
初めまして、〝のん〞です。この度、連載を始めさせていただくこととなりました。私が観させていただいた映画の感想を書かせていただく、というなんとも(私が)楽しい連載!本当にうれしいです。
20代そこそこの小娘が書かせていただきます。どうぞお手柔らかに、よろしくお願いいたします。
『ポリーナ、私を踊る』。素敵(すてき)なタイトルで観(み)る前からワクワクしていました。
貧しい家に生れながらも、ボリショイ・バレエ団のバレリーナになるためクラシックバレエ教室に通うロシア人の少女ポリーナ。最初は父の夢だったが、ポリーナ自身もバレエへの思いは強くなっていく。成長したポリーナはボリショイのバレエ学校へ進学した後、ボリショイ・バレエ団のオーディションに合格。しかしその日、ポリーナはコンテンポラリーダンスの公演を見て、そのダンスに魅了されてしまう。
コンテンポラリーを踊りたいという気持ちを抑えられなくなったポリーナは、両親の反対を押し切り、ボリショイ・バレエ団への入団もふいにしてまでフランスへと渡ってしまう。フランスでコンテンポラリーを踊っていくと決めたポリーナは……。
最初から最後まで、最高のあしたをはじめるためのポジティブなストーリー。そして物語は、ラストに向けてより切なくなる。とても素敵(すてき)な映画でした。
南仏の海辺の町で観光客を乗せるヨットの仕事をしているが、仕事の時間を守らずに遊び呆(ほう)けている男サミュエル。ある朝、会ったことも覚えていない一人の女性が現れ、「あなたの子よ」と言って赤ちゃんを置いていく。慌ててロンドンまで追っていくが、母親は何処(どこ)かへ消えてしまった。言葉の通じない異国の地で助けてくれた男性ベルニーと、赤ちゃんを育てることになる。
身長! 今回の映画は身長差が大きくある恋の物語でした。
敏腕女性弁護士のディアーヌは、仕事のパートナーである元夫といつも喧嘩(けんか)ばかりしている。喧嘩してむしゃくしゃした気持ちで帰宅した彼女のもとに、アレクサンドルという名の人から電話が入る。ディアーヌがレストランに忘れた携帯を届けたいという電話だった。ユーモラスで余裕のある物腰の彼からの電話が楽しく、会う約束をするディアーヌ。実際に会ってみた彼は自分よりも身長の低い男性だった。
時代は1979年夏、カリフォルニア州サンタバーバラ。シングルマザーのドロシアは、15歳の一人息子ジェイミーについてどう接していけばいいか悩み、ドロシアの家で部屋を借りている写真家のアビーと、ジェイミーと幼馴染のジュリーの2人の女性に相談をする。
登場人物のナレーションが代わる代わる紡がれていく中で物語が進んでいくのが、一人ひとりそこにいる全員が悩んで上手くいかなくて歯痒い気持ちなんだというのを伝え、それがリアルに響いてきてジーンと心にきました。親子での時代の違いで価値観の違いがあったり、70年代の音楽を通して時代感を想像できたりするのも楽しかったです。
昨年、山田洋次監督作『家族はつらいよ』のタイトルを見ただけでハッと二度見、ドキッとしました。昨年公開されて、今年5月27日(土)には『家族はつらいよ2』が公開されるということで、ちょっと興奮気味に皆様よりお先に、『家族はつらいよ2』を観させていただきました。
離婚騒動から数年後、橋爪功さん演じる平田周造さんは、車に乗って外出する度に車のあちこちに傷を作って帰ってくるようになる。そろそろ運転するのはよしてもらおうと家族会議をするために長女夫婦や次男夫婦が集まった日、次男の庄太が父の部屋で……。
童話のような邦画タイトルだなと思ったら、作品自体は全く違うハードなストーリーでした。
若い女医のジェニーは知人の医師の診療所に代理で勤めている。診療時間が1時間過ぎてからベルが鳴った。研修医が出ようとするがジェニーは時間が過ぎているため出なくてもいいと止める。
次の日、病院に警察が「昨日の夜、少女を見なかったか」と聞き込みに来る。そして昨日ジェニーが出なくていいと言った訪問者が遺体で発見されたと知り、ショックを受ける。自分のせいでという思いがジェニーを突き動かし、ジェニーは名前も分からない少女のことを調べていく。
私は「大人の世界」と「子供の世界」は、相反するように描かれるもののような気がしていました。でも、この映画は子どものために描かれた映画のように見えて、大人も楽しめる映画でした。
幼稚園を脱走した6人のやんちゃな子どもたちによって、老人ホームから救い出されたおじいちゃんおばあちゃんたちが、子どもたちと一緒になって無邪気に発明をしたり、お父さんお母さんたちは自分たちの村が「世界一平均的な理想の街」と指定された時には、子どもみたいに喜んだり。
映画『この世界の片隅に』。私のんが、主人公すずさんの声を務めさせていただきました。舞台は1944~45年の広島・呉。すずさんの子供時代から始まり、18歳になる年に呉市の家へ嫁ぎ北条家で周作さん(声・細谷佳正さん)の奥さんとして暮らしていく。この映画を観て強く心に残るのは、生きる日々の暮らしの中に、面白い事や幸せがたくさんあるという、少し切なくあたたかい気持ちだと思うのです。ごく普通の生活、ご飯を作ったりタンスの中の整理をしたり出かけたり話をしたり喧嘩をしたり。一緒に暮らす、通りすがりの人に親切にしてもらう、皆で助け合う…〝普通〟の事が楽しくて胸に響く。
第1回、連載最初に拝見した映画は『マイ・ベスト・フレンド』です。幼い頃出会ったミリー(ト二・コレット)とジェス(ドリュー・バリモア)は大親友。ミリーは結婚して子供を二人産み、ジェスはパートナーと幸せに暮らしているものの、なかなか子供が出来ない。不妊治療を続けてやっとお腹に子供が出来た、同じタイミングで親友ミリーの乳がんが見つかる。
二人の信頼しきった友情が気持ち良くてミリーとジェスが大好きになりました。相手を支えたいという気持ちが何の無理もなく自然に存在する友情があって、胸がいっぱいになりました。
のん/女優、劇作あーちすと。1993年兵庫県生まれ。全国にて大ヒット上映中の映画『この世界の片隅に』で声優デビュー。「戦時中の広島を舞台にした素敵なアニメ映画です!」