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ドンキでバイト芸人…苦手も克服 夢は「事務所のビルを建てたい」

ロングアイランドの松原ゆいさん

ドン・キホーテでバイトをしている、お笑いコンビ「ロングアイランド」の松原ゆいさん=本人提供
ドン・キホーテでバイトをしている、お笑いコンビ「ロングアイランド」の松原ゆいさん=本人提供

多くのインバウンド観光客でにぎわう「ドン・キホーテ」。実は、バイトをする芸人さんが多いお店でもあります。バイト歴7年目になる、お笑いコンビ「ロングアイランド」の松原ゆいさんは、「バイトがコンプレックス克服にも一役買っている」といいます。(ライター・安倍季実子)

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松原ゆい:大阪府出身。大学卒業後に上京して、2014年に太田プロエンタテイメント学院(東京6期)に入学。2016年に高校時代の同級生の松尾侑治さんと「ロングアイランド」を結成し、現在はライブを中心に活動している。特技は、小学校から大学まで続けていた野球。弟は埼玉西武ライオンズの松原聖弥選手

インバウンドで激務だけど…

結成9年目のコンビ「ロングアイランド」の松原ゆいさんは、ドン・キホーテでバイトを始めて今年で7年目。バイト先の店舗は新宿駅の近くにあるため、店内は昼夜問わずにぎわっています。

「駅チカなので、常にお客さんで混みあっています。そんな中で商品整理をしたり、ご案内をしたり、レジをしたり……。やることは色々あって、息つく暇もありません」

インバウンド観光客も増え、英語で接客することもありますが、言葉が分からない場合は外国語が得意なスタッフにバトンタッチするそう。

なかには急に通路に座りこむなど予想外の行動をとるお客さんもいて、当初は戸惑っていましたが、「文化が違うからだと知ってからは『仕方ないなぁ』という感じになって、いつの間にか注意するのも慣れました」と苦笑します。

ロングアイランドの松尾侑治(左)、松原ゆい(右)=太田プロダクション提供
ロングアイランドの松尾侑治(左)、松原ゆい(右)=太田プロダクション提供

深夜バイトの松原さんの勤務時間は、夜22時から翌朝6時まで。主な仕事は品出しとレジの補助です。

終電間際になると店内が一気に慌ただしくなりますが、インカムでやり取りしながら、それぞれが臨機応変に仕事をするのだそう。終電時間が過ぎて店内が落ちつく深夜1~2時ごろになると、発注していた商品が届きます。

納品された段ボール箱を店内へ運ぶ松原さん=本人提供
納品された段ボール箱を店内へ運ぶ松原さん=本人提供

「商品が納品されたら、仕分け、陳列作業のスタートです。これがけっこう大変で、多い日には段ボール箱が800個くらい届くんですよ(苦笑)」

納品される商品の約6割は食品関連、2~3割は消耗品。松原さんは消耗品を担当しています。

「段ボール箱を運ぶ人、商品を出す人、仕分ける人に分かれて作業します。仕分けが終わったら、ひとつひとつの商品に盗難防止シールを貼って、自分の受け持つ商品を陳列していきます。それが終わったら、まだ並べ終わっていない棚の手伝いにまわります」

その日に出勤している消耗品担当(日によって3~5人)でグループになり、段ボール箱の解体や仕分けを進めていく=本人提供
その日に出勤している消耗品担当(日によって3~5人)でグループになり、段ボール箱の解体や仕分けを進めていく=本人提供

ドン・キホーテではジャンルごとに責任者が決まっていて、そのスタッフを中心に商品選び、発注、棚づくりなどを行います。

特徴的な手描きポップのデザインを決める際には、「どっちがいい?」と意見を聞かれることもあるそう。

「みんなで協力して売り上げを伸ばそうと働いている感じがしますし、バイトが終わる頃には達成感もあります。面白い商品を積極的に取り入れているので、毎週、何かしらの新しい商品に出会います。そういったことも含めて、バイトに行くのが楽しいです」

バイト中に「コンプレックス」克服?

大学まで野球一色の生活を過ごしてきた松原さんは、「今のバイト先はチームワークが重要なんで、野球とどこか似ている気がする」と話します。

20代から70代まで働いているというスタッフ同士の仲も良く、バイト終わりに数人でご飯を食べに行くこともあり、違う世代との交流に刺激も受けているそうです。

商品を陳列する松原さん。高齢のスタッフから「腰が痛くて…」とお手伝いを頼まれることも=本人提供
商品を陳列する松原さん。高齢のスタッフから「腰が痛くて…」とお手伝いを頼まれることも=本人提供

スタッフの中には芸人も数人いて、バイトを通じて自然と仲が良くなり「同じライブに出た時に絡みやすくなる」といいます。

そして松原さん、実はこのバイトを始めるまで、女性と話すのが苦手だったそう。

「男3人兄弟で育って、大学時代まで野球をやっていましたし、芸人の世界もほぼ男性ばかり……。女性との接し方が分からなかったんです(苦笑)。芸人としても、性別や年齢に関係なくコミュニケーションがとれた方がいいのに、とコンプレックスでした」

女性のお客さんに何がウケるのかが分からず、ネタ作りの悩みにもつながっていました。

すべての品出しを終えて、店内の清掃をする松原さん=本人提供
すべての品出しを終えて、店内の清掃をする松原さん=本人提供

しかし、ドン・キホーテでバイトを始めると、女性スタッフはフレンドリーで話しやすく、苦手意識が少しずつ薄れてきたそうです。

「狙ったワケではないのですが、せっかくなので、バイトをしながら女性とのコミュニケーションの取り方の練習もしています(苦笑)」

「事務所ビル」を建てられるぐらいの芸人に…

現在は月15本ほどのライブを中心に活動するロングアイランド。

直近の目標は、賞レースのファイナリストになることです。

「相方は歌が得意なので、2018年の『歌ネタ王決定戦』で準決勝まで残ったんですが、やっぱり漫才かコント、どちらかでもっと上のステージに行きたいです」

「インターネット配信のバラエティ番組『ニコジョッキー』にも力を入れています。コンビで自由にトークができる貴重な1時間の生配信番組です」=筆者撮影
「インターネット配信のバラエティ番組『ニコジョッキー』にも力を入れています。コンビで自由にトークができる貴重な1時間の生配信番組です」=筆者撮影

賞レースにこだわる理由は、知名度の高い「共通のものさしだから」だといいます。

「『M-1グランプリ』や『キングオブコント』の決勝に残ったら、一気に知名度も上がりますし、『なかなか面白いコンビ』というイメージがつきます。賞レース以上に面白さの評価として分かりやすいものはないでしょう」と推測しています。

そして、「ゆくゆくは太田プロダクションの名前を背負うような看板芸人になりたい」と松原さん。

「太田プロ専用の劇場もあった方がいいと思いますし、いつかは事務所の自社ビルもほしいですよね。そんな夢が叶えられるくらいに売れることが、一番の目標です」

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