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「ライブにこだわる」HKT48 梁瀬鈴雅さんに伝わった先輩の決意
11月26日で劇場設立から14年目に入った福岡が拠点のアイドルグループHKT48。メンバーの世代交代が進むなか、グループの現在地とこれからをメンバーはどう見ているのか。6期生の梁瀬鈴雅(やなせ・れいあ)さん(18)と、チームHキャプテンの豊永阿紀さん(25)に聞きました。
「加入前から、私はHKT48から生きるエネルギーをすごくもらっていました」。梁瀬さんはこう語ります。
梁瀬さんは中学1年生の冬から、突然、立つこともままならなくなりました。
起立性調節障害。自律神経の乱れが原因とされ、立ちくらみや気分が悪くなる、朝起きられない、頭痛といった症状があります。
発症がちょうど新型コロナの世界的流行が始まった時期と重なり、梁瀬さんは神奈川県内の自宅でずっと過ごしていました。その時、励ましてくれたのがHTK48のライブ映像だったといいます。
「動画を1日中見ていた感じでしたが、ほかのアイドルグループは、かわいい、きれいといった印象だったのに対し、HKT48は本当にエネルギーが画面からあふれていて、ファンの方のコールとともに汗でぐしゃぐしゃ、髪を振り乱してパフォーマンスしているのが、全然違って見えました」
とくに、松岡はなさん(卒業)がセンターを務めた「最高かよ」のライブ動画は繰り返し見たそうです。
それがきっかけで、HKT48の6期生オーディションに応募、2022年5月に一員となりました。アイドルのオーディションに応募したのはこの時だけでした。
当時、梁瀬さんは小中高一貫の私立中学校に通っていました。
「親はこの学校に行き続けてほしいと願っていたし、神奈川から遠く離れた福岡に行くことも驚いていました。ただ、治療を続けるなかで、ずっとHKT48から元気をもらっていたことを親もよく知っていたし、体調が上向くことにつながればと考えて、了承してくれました」
加入直後はまだ症状に苦しみますが、次第に回復。とくに今年に入り8月に東京・お台場であったTOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)や、10月に横浜市内であったHKT48と NGT48の合同ライブでもセンターを務める楽曲があるなど、活躍の場が増えています。
「加入直後は6期生の中でも最後列が多かったのですが、こうしてチャンスをいただけるようになって、信じられない一方、すごくうれしいです」
そんな梁瀬さんにグループの魅力をより発信していくにはどうすればよいか尋ねると、自身のファン時代を振り返りながら、こう語ってくれました。
「私はパフォーマンスでファンの心を動かしたい、という気持ちを強く持っています。『HKT48のコンサートに行くか』ではなく『心から行きたい』と思ってもらえるようにしたい。そのために必要なことは面白さを常に追求すること。面白い存在であり続けることが必要だと考えています」
「その魅力をSNSで発信できれば、多くの人に知ってもらうことができるのではないかなと思います」
このインタビューに同席していたキャプテンの豊永さんは、「やっぱりHKT48は『ライブが強くてなんぼ』、と常々思っているので、それが鈴雅(梁瀬さん)たち後輩にも伝わっているのがとてもうれしい」と語りました。
最近、豊永さんは、メンバーから見たあこがれの女性アイドル像が、世代間で違ってきていると感じるそうです。
2016年に4期生で加入した豊永さんたちの世代は、ライブ映像を、DVDやグループの公式サイトで見て、魅力を感じているメンバーが多い。
これに対し、コロナ渦をへて加入してきている若いメンバーは、歌番組でカメラに1人ずつ抜かれた(クローズアップされた)映像や、SNSにアップされた短い動画で、アイドルの魅力を知ったケースが目立つそうです。
そうした状況を踏まえたうえで、豊永さんはこう強調します。
「SNSでメロディーやダンスが『バズる』ことが、多くの人に知ってもらって人気になる早道なんですが、それだけではなくて『画面サイズ』にならないことが大切なんじゃないかと常々思っています。だからライブにこだわりたい」
HKT48は新型コロナが終息してきた2021年以降、人気メンバーが次々と卒業し、今年9月にはその1人松岡はなさんも卒業しました。
代わって、最近2作のシングル曲では5期生の石橋颯さん(19)、竹本くるみさん(20)がWセンターを務め、梁瀬さんら6期生、さらに5月加入の7期生も活躍の場が増えつつあります。
「人気の高い以前の曲を今のメンバーが披露しても自然に感じられる。それは(オリジナルメンバーにこだわらず)今のメンバーにとって、自分たちの楽曲にちゃんとなっていることの証だと思っています」
豊永さんに14年目に向けて、抱負を尋ねました。
「時代の流れに合わせてアップデートしつつ、自分たちがやって面白いこと、自分たちがやるから面白がれることを追求することから逃げない。そして、私たちのことを知ってもらうにはライブが一番なので、いろいろな場所でパフォーマンスが披露できるように頑張りたい。ステージでもう一段階ギアを上げて、パフォーマンスを披露できたら最高だと思います」
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