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ネットの話題

懐かしい紙の「図書券」これってまだ使える? 発行元に聞いてみたら

和服の女性が描かれたこの図書券、今でも現役で使えるそうです
和服の女性が描かれたこの図書券、今でも現役で使えるそうです 出典: 日本図書普及提供

目次

昔の図書券を「まだ使えますか?」と書店に持っていったら使えた――。図書券に関する投稿がSNSで話題になりました。たびたび盛り上がる、図書券や図書カードに関する話題。発行している会社に、図書券・図書カードの歴史や現在の状況について聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)

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懐かしい図書券、まだ使えます

SNSでたびたび話題になる、和服の女性が中央に描かれ、全体が桜色の500円分の図書券。

SNS上では「書店に持っていったら問題なく使えた」といった投稿のほか、「まだ使えるので店員に聞いてみて」といった書店関係者からの呼びかけも散見されます。

図書券・図書カードの発行元である「日本図書普及」の担当者によると「SNSで話題になっていた紙の図書券は2005年に発行を終えていますが、今でも使用は可能です」と話します。

話題になっていた紙の図書券。懐かしさを感じる人も多かったようです
話題になっていた紙の図書券。懐かしさを感じる人も多かったようです 出典: 日本図書普及提供

SNSでは「懐かしい」「普通のお金とは違った特別感があって嬉しかった」といった声のほか「見たことない」という反応や「いつごろのものまで使えるんだろう」といった疑問も。

担当者は「サイトに掲載している全国共通図書券であれば、古い図書券でも使うことができます」と話します。

日本図書普及のサイト(下記のリンクから)では、過去の図書券のデザインを確認することができます
日本図書普及のサイト(下記のリンクから)では、過去の図書券のデザインを確認することができます 出典:日本図書普及の公式サイトから引用

1970年代に発行されていた5枚つづりの100円券や、1960年代の50枚つづりの40円券など、歴代の図書券を画像で確認することができます。

意外と知らない図書券の歴史

日本図書普及によると、図書券が生まれたのは1960年のこと。

「図書券は、出版物の市場拡大と読書習慣の普及を目指し、出版業界が共同で創設した仕組みです。それまで、本を贈り物にしたいという人は多くても、個人の好みの違いが強いので難しいという問題がありました。そこで、贈られた側が好きな本を選べる仕組みとして図書券が生まれました」

100円券や50円券など、世代によっては見たことがないという人も多いかもしれません
100円券や50円券など、世代によっては見たことがないという人も多いかもしれません 出典: 日本図書普及提供

その後、1990年には「図書カード」が登場します。

「当時は、1982年にテレフォンカードが登場するなど、磁気式のプリペイドカードが急速に普及しつつありました。書店で使われたものを回収する必要があった紙の図書券と比べて、物流コストを下げるなどの効果が期待されました」

ところが、紙の図書券の認知度が高すぎたため、図書カードへの置き換えには時間がかかり、2005年ごろまで紙の図書券と図書カードは並行して発行されていたそうです。

その後、2016年からはQRコードを使った「図書カードNEXT」の発行が始まり、オンライン書店などでも使えるようになっているそうです。

QRコード方式になった「図書カードNEXT」。磁気式のカードと比べ、デザインの自由度も上がったそうです
QRコード方式になった「図書カードNEXT」。磁気式のカードと比べ、デザインの自由度も上がったそうです 出典: 日本図書普及

「旧式の磁気式の図書カードは、強い磁気の影響を受けるとカードが壊れてしまい、エラーが発生することがありました。QRコードを読み取るタイプの図書カードNEXTは、ほとんどエラーが起こらなくなりました」

紙の図書券も磁気式の古い図書カードも、発行が終わっているだけで、使用自体は問題なくできるそうです。

和服の女性、実は「紫式部」ではないかも

話題になった和服の女性が描かれた図書券は、SNSでは「紫式部の図書券」などと呼ばれ、広く認知されています。

ところが、あのイラストの人物は、実は「紫式部ではないかもしれない」そうです。

「それまで洋風だった図書券のイラストを、和風のデザインに変更することになり、平安時代の女流作家をモチーフにした絵を職人さんに描いてもらったものです。特定の人物を指定したわけではないので、職人さんが『紫式部』や『清少納言』をモデルに描いていたのかは分かりません」

今回、SNSで図書券・図書カードが話題になったことについて、日本図書普及の担当者は「多くの方々が昔の図書券に懐かしさを覚えるのは、子どもの頃に図書券を贈り物として手にされ、贈ってくれた人との関わりや、本との出会いなどを思い出すからかもしれません。ぜひそんな気持ちを、新しい世代へつなげていただけたらと願っています」と話しています。

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