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嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ 特大シーサーに4万いいね
「嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ」。そんな文言とともに、迫力のある大きな「シーサー」の画像がXに投稿され、話題になりました。投稿者に聞きました。
目をカッと開き、迫力のある表情のシーサーの画像とともに、こんな文章を投稿しました。
《嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ…。この特大サイズでここまで綺麗にシーサーを作るのがいかに大変か、黒糖の性質をご存じの方にはわかるはず》
この投稿には「すばらシーサー!」「粘土で作るのも大変なのに」「できあがっていく過程が見たい」とコメントが付き、4万以上のいいねが付きました。
嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ…。この特大サイズでここまで綺麗にシーサーを作るのがいかに大変か、黒糖の性質をご存じの方にはわかるはず😂スゴいと思った方、遠慮なく『いいね』と『リポスト』をお願いします🙇この写真はきっと数字が伸びる…そうに違いない😍#黒糖 #シーサー pic.twitter.com/yOmJKRa3ev
— 波照間製糖株式会社 (@haterumaseitou) September 2, 2024
この「黒糖シーサー」は、沖縄県砂糖協同組合(那覇市)が、2018年、「黒糖の日(5月10日)」に向けて、沖縄で本物のシーサーを作っている陶工、新垣光雄さんに依頼して作ってもらったものだそうです。展示された「黒糖シーサー」に驚いた波照間製糖の「中の人」が撮影して、このたびXで投稿、話題になりました。
なぜ黒糖で、シーサーを作ったのでしょうか。
同組合の宇良勇業務課長は振り返ります。「黒糖は、沖縄の代表的な特産物で、400年もの間、沖縄の経済をうるおしてきたーーつまり、沖縄の人々の暮らしを守ってきたんです。シーサーは『家の守り神』ですから、黒糖でシーサーを作ろう、と」
「初代」のシーサーは、黒糖工場で、型枠に黒糖を流し込んで重ねた、小さなものでした。この評判が良かったため、「2代目」として製作を依頼したのが、今回話題になったシーサーだったそうです。
2代目の製作にあたって、読谷村にある新垣さんの工房まで、会長が尋ねて行き、頼み込みました。ブロック状の黒糖約30キロを提供して、そこから削りだしてもらい、約30センチのシーサーが完成したそうです。
投稿した波照間製糖株式会社の「中の人」は、その製作の大変さをおもんぱかります。「黒糖は、作る過程で煮詰めるのですが、半練り状から一度固まってしまうと、ものすごくかたくなるんです」
サトウキビを煮詰めて作る黒糖。固まった後は、ハンマーなどの道具を使って割るか、削るか、お湯で溶かして形を変えるかしかないそうです。
その黒糖の性質を知ってからみると、繊細なシーサーの表情に驚かされます。
投稿には、「温度管理が大変そう」などのコメントがつきましたが、「黒糖は常温の環境下では頑丈です。チョコレートのように、高温で溶けることはありません」と言います。
「アリが寄ってきそう」と心配するコメントもありましたが、「多すぎる砂糖には、アリは近寄らないんです」と中の人。砂糖は水分を吸う「親水性」が高く、大量の砂糖の中に入ってしまうとアリは体内の水分が奪われてしまい、脱水状態で弱ってしまうそうです。「だから黒糖工場にもアリは近寄りません。虫が来ない対策はもちろんしていますが」
そんな「黒糖シーサー」は、完成した2018年から約3年ほど、組合前のショーケースに鎮座して、さまざまな黒糖のイベントなどにもかり出され、沖縄の黒糖のアピールに活躍したそうです。
しかし、時が経って変質してしまったため、惜しまれながら役目を終えました。月日が流れ、2024年になって再びSNSで「大バズり」。組合の宇良さんは「寝耳に水のような話」と驚きます。
「守り神として、しっかり仕事をしてもらった」と感謝し、〝3代目〟黒糖シーサーの製作も考えているそうです。
沖縄黒糖は8つの離島で生産されています。日本最南端の有人島、波照間島でも、気温が下がり糖度が上がった12月ごろから4月にかけて、収穫と生産が始まるそうです。
その時期になると、工場は夜通しフル稼働。島は、黒糖の甘い香りに包まれると言います。
「中の人」は、そんなサトウキビ100%で作った沖縄黒糖をアピールすべく、黒糖に関する投稿に力を入れています。トーストにバターを塗って黒糖をふりかけて食べる「簡単朝食レシピ」も。
「黒糖にはミネラル分が含まれているので、見た目ほど甘くないんです。島によって風味に個性が出るので、ぜひ各島を旅した気分になって、試してほしいです」
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