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「泣きそうになった」 古本の〝幼児食〟レシピに残された付箋に涙
この前は食べたのに、今日はまったく食べてくれない…。離乳食を卒業したばかりの子どもの食事。古本で買った「幼児食」のレシピ本を開くと、前の持ち主がはがし忘れた付せんに〝メモ〟が残っていました。その内容に「泣きそうになった」とSNSで共感が広がっています。投稿者に話を聞きました。
離乳食を卒業した頃から食べられる「幼児食」は、歯が生えそろっていない、消化器官が未発達の子どもでも食べやすいことを考えて作られたもの。
古本で購入したレシピ本に付箋が残っていた、というもの。《こんな付箋貼ってあって胸がほっこり、そして泣きそうになった。愛を感じる…》。投稿でそう紹介された付箋には、手書きでこう書かれていました。
「たべてくれた」。「好きそう」と二重丸を付けていたのは「鶏ひき肉の親子丼風」のレシピ。一方、豆腐とキノコを使った別のレシピには「あまり食べず…」と一言。
レシピ本の前の持ち主の試行錯誤のあとに、Xでは「元の持ち主さんの安心や不安が伝わってきますね」「一生懸命な姿が目に浮かぶ」「中古の本って、こういう書き込みが付加価値になるパターンもあると思う」とコメントが寄せられ、16万のいいねがつきました。
ブックオフで幼児食の本取り寄せたんだけど、こんな付箋貼ってあって胸がほっこり、そして泣きそうになった😭
— ぷー☺︎⛵ (@pooh_baby82) September 9, 2024
愛を感じる…
そしてめちゃくちゃキレイに使ってはる… pic.twitter.com/2jfMB2yfym
ぷーさんは、いま、1歳半になる第1子の子育てに奮闘中です。間もなく離乳食を卒業するという息子さんに、家で3食を食べさせているそうです。
そんな息子さんにある日、突然、異変がありました。これまでは「出したものは出した分だけたいらげ、好き嫌いはほぼなかった」のですが、急に食べることをいやがるようになってしまったというのです。
「特に苦手なのが、お米でした」
エネルギー源として何とか食べてほしいと、あの手この手を尽くします。
ブロッコリーとにんじんの温野菜が好きそう、よく食べてくれた、そう喜んだ翌日、「今日は食べない」。
疲れきって、手つかずのご飯を泣きながら捨てた夜もあると言います。
そんなとき、近くに住む母が買ってくれたのが、このレシピ本だったそうです。
開いてみて付箋を見つけた時、「あまり食べず…」の文字に、「今の私と共通する部分があり、胸がギュッとなりました」。
残っていた付箋は投稿した2枚だけでしたが、「みんな一緒なんだなぁ、となんだか感動しました」。
そんな気持ちで投稿した約8時間後、なんと「この本の持ち主だったものです」という返信がつきました。
持ち主だったという方は、こうつづりました。
子どもが離乳食をあまり食べなかったため、何冊もレシピ本を買って試していたこと。それでもなかなかうまくいかなかったとき、ついに食べてくれたのが、この「親子丼」だったこと。「うれしくてつい付箋を貼りメモに残しました」と明かしています。
今回の投稿で、付箋を貼っていたことを思い出したそうで、「メモをはがし忘れていたのは、とても申し訳ないです」とわびつつ、当時、悩んでいたことや思い出がよみがえってきたことがうれしかったと、投稿に感謝を伝えていました。
当時、なかなか食べなかったお子さんは、今でも食べムラはあるそうですが、無事に2歳になったそうです。
ぷーさんは〝元持ち主〟のお子さんが育っていることを喜びます。
今回の投稿に寄せられた「うちも食べてくれなかった」「懐かしい」という〝先輩たち〟の声。
こんなにたくさんの人たちが、日本のどこかで、今日も「食べてくれた」「食べてくれない」で一喜一憂しているーー。同じ悩みを抱え、試行錯誤している人たちの存在が、少し自分の気持ちを軽くしてくれました。
「作ったものを食べてくれると本当にうれしいし、食べないと泣きそうになるほどしんどい」。ぷーさんも心配や不安は尽きない日々を送っていますが、「目の前の息子はいつも元気で可愛くて、子育てって難しいけど楽しいと日々思わせてくれます」と話します。
以前の持ち主さんが「食べてくれた」と付箋を貼っていた「鶏ひき肉の親子丼風」は、近いうちに作ろうと考えています。
「本の以前の持ち主さんも、今も一生懸命がんばっておられるようで、私もがんばろうと思えました」
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