ネットの話題
ぐんまちゃんが滝行「かわいいだけじゃ生き残れない」宣伝部長の意地
ゆるキャラの「ゆ」の字もない――。群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」が滝行をするハードな動画がネット上で話題になりました。今年で生誕から30年を迎えたぐんまちゃん。「ぐんまちゃん史上初めて」だという、今回のウェブCMを製作した狙いを聞いてみました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
激しい水流に打たれながら、じっと正面を向いて立ち続けるぐんまちゃん。
インパクトのある映像に、ナレーションによる解説が加わります。
「ぐんまちゃん。人間でいうと7歳くらい。群馬県宣伝部長。その重責に耐えるには、強い精神力が必要だ」
この動画はウェブCMとして、今年7月にYouTubeの群馬県公式チャンネルで公開され、ぐんまちゃんのXアカウントなどでも告知されました。
県によると、「滝行」は群馬県渋川市にある「棚下不動の滝」で行われたそうです。
滝の落差は約37メートル。近くには仏堂もあり、実際に仏道修行の場としても使われているとのこと。
ネット上では「ゆるキャラの『ゆ』の字も感じられなくておもろい」「シュールすぎる」といった反応が寄せられていました。
県によると、ぐんまちゃんは今年で生誕30年を迎えたそうです。
「ぐんまちゃんは、1994年に群馬県で開催された『第3回全国知的障害者スポーツ大会』のマスコットとして誕生しました」
キャラクターのデザインは公募で決められ、当時、県職員だったデザイナーの中嶋史子さんの、ポニーをモチーフにしたデザインが採用されました。
実は誕生当初、「ぐんまちゃん」という名前ではなかったそうです。
「大会の愛称『ゆうあいピック』と『ぐんま』からとって『ゆうまちゃん』という名前でした」
2008年に東京都内に県のアンテナショップができたことをきっかけに「ぐんまちゃん」に改名したそうです。
2012年には県の宣伝部長に任命され、メディアへの露出も増え、ぐんまちゃんは全国区の知名度になっていきました。
公式サイトにはぐんまちゃんの毎月の活動スケジュールが掲載されており、県内の幼稚園を訪問したり、PR活動のために県外に「出張」したりと忙しく活動していることが分かります。
県の担当者は「おかげさまで、ぐんまちゃんが県内外で広く認知されていると感じています」と話します。
30周年の節目に「ファンへの感謝と次の40周年に向けて、ぐんまちゃんの更なる活躍を後押しする」ために製作したという今回のウェブCM。
滝行を題材にした理由について、担当者は「この30年間で全国各地で多くのご当地キャラクターが誕生しており、『かわいい』だけでは生き残れません。強い覚悟と精神力を養うために滝行をしました」と説明します。
担当者によると、ぐんまちゃん本人は滝行の動画が話題になったことについて「滝行は大変だったけど、よろこんでもらえたみたいでうれしいな。これからも応援してもらえるようにがんばるよ」と話していたそうです。
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