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「雷に打たれるとこうなるのか」10mの亀裂、クロマツが伝えたこと

落雷の被害を受けたクロマツ=環境省新宿御苑管理事務所提供
落雷の被害を受けたクロマツ=環境省新宿御苑管理事務所提供

目次

今夏、平年の3倍以上の雷雨に見舞われたという東京。Xに投稿された、ある木の画像が「落雷の衝撃の大きさを物語る」として注目されました。投稿したのは、都民にとって身近な〝憩いの場〟でもある新宿御苑。思いを聞きました。

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「威力がよく分かる」

7月24日、新宿御苑の公式(自然情報)アカウント(@SG_info_kyokai)がXに投稿したのは、1枚のクロマツの画像でした。

《庭園内で雷に打たれたクロマツを発見しました》

添付されたのは、歩道のすぐ脇に生えたクロマツです。幹に大きな縦の亀裂が入り、樹皮が根元まで裂けているように見えます。

投稿では、「雷の音が聞こえたら、木から離れてすぐに建物に避難」するように呼びかけ、こう締めくくっています。

《木の姿を通して、自然の力や、私たちの身近にある #自然災害 について考えてみませんか》

この投稿には「雷に打たれるとこうなるのか」「威力がよく分かる」「木の下に避難しちゃダメ」「自然の力は怖い」と衝撃を受けるコメントが付いて拡散され、14万回以上表示されています。

10メートルの傷

新宿御苑は、旧皇室園地という歴史のある庭園で、都心部で自然に触れることができる貴重な場所です。

環境省新宿御苑管理事務所によると、クロマツがあるのは、風景式庭園・中の池の北側で、すぐ近くにはスターバックスコーヒーが入っている「レストハウス」があります。

落雷を受けたクロマツがあるのは中の池の近く(地図上の●の場所)=環境省新宿御苑管理事務所提供
落雷を受けたクロマツがあるのは中の池の近く(地図上の●の場所)=環境省新宿御苑管理事務所提供

落雷があったのは、7月22日夜から23日未明の間でした。

23日朝に、カフェなどの園内施設やトイレで、停電などの落雷の影響による設備不良が確認され、その後、被害を受けたクロマツが発見されたそうです。

落雷を受けたクロマツは、高さ17メートル、幹回り2.1メートルの木。傷は10メートルにわたって、地面に向かって切り裂いたように2本走っており、繊維が2~3センチの深さでめくれ上がっていました。

樹木医が確認したところ、隣に生えているモミジも落雷の被害を受けていることが分かりました。この被害でクロマツが枯れたり、倒れたりすることはないそうです。「傷口は、月日が経つにつれて新しい樹皮ができていくためふさがるかもしれませんが、地面近くの大きな傷は跡が残ると思います」とのことでした。

落雷を受けたクロマツ
落雷を受けたクロマツ 出典: 環境省新宿御苑管理事務所提供

樹木の下に避難する人たち

なぜ、SNSで投稿しようと考えたのでしょうか。

新宿御苑では、日頃から、雷や熱中症などのリスクがあるときは、園内放送やスタッフの声かけで、注意を呼びかけてきました。特に雷雨の時には、スタッフが車で巡回して、来園者を安全な建物に誘導しています。

そんななかで、身に迫る危険に気づいていない人がいることを懸念していました。「雷鳴が響いていても、芝生の上を歩いていたり、樹木の下で雨宿りをしている方が見受けられます」

自然の脅威を知ってもらい「自ら命を守る行動をとるきっかけになれば」と考えて、落雷を受けたクロマツを投稿したそうです。

新宿御苑
新宿御苑 出典: 朝日新聞社

「自然の脅威」正しく知る

新宿御苑は、都心部にいながら四季折々の自然を楽しめる「憩いの庭園」であり、ともすれば「自然の脅威」を学べる場でもあるのかもしれません。

普段は開花の様子など美しい園内の情報を発信しているアカウントが投稿した、新たな自然の〝一面〟は、予想を超える反響を呼びました。

「クロマツへの落雷は自然災害が身近に潜んでいることを再認識させる出来事でした。新宿御苑はこうした自然災害のリスクも正しく発信し、皆様にお伝えする役割を果たして参ります」

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