ネットの話題
15年ぶりに開いたDSに〝未読通知〟 9歳の自分から届いた言葉
小学生時代に夢中になったゲーム。大人になって、久しぶりに立ち上げたら、1通の未読〝メッセージ〟が来ていました。差出人は子どもの頃の「自分」。宛先は「みらいの自分」へ。
2020年6月ごろ、実家に帰省した晴夏さんは、幼少期に遊んでいた「ニンテンドーDS」を見つけ、ふと思い立って、開いてみました。
開いたのは「おいでよどうぶつの森」。
動物の森で気ままに暮らす「どうぶつの森シリーズ」の4作目で、晴夏さんが小学生のころ、遊んでいたゲームでした。
約15年ぶりに見つめた懐かしい画面。ゲームの世界の「自分の家」のポストには、未読通知のようなものが届いていました。
開けてみると、チェック模様のカードに、メッセージがつづられていました。
《みらいの はるかさんへ》
文末にあった差出人は《はるか》。
それは9歳のころ、どうぶつの森で遊んでいた「自分」からのメッセージでした。
あつまれどうぶつの森には、島の住民や、未来の自分に宛てて手紙を出す「メッセージカード」を送る機能があります。
いつか「自分」に宛てて送信していたカードが未開封のまま、残っていたようです。
でも、晴夏さんはメッセージの存在は覚えていませんでした。
思いがけないことに驚きつつ、読み進めたメッセージには、こうつづられていました。
《みらいの はるかさんへ
えの、しごとに、ついていますか?
そうだといいな。そうだといいな。
まあ。ほかのでもいいけどね。。。
いまのじぶんでがんばって★
はるか》
物心つく前から、どこへでも画用紙とペンを持ち歩くような「お絵描き少女」。とにかく絵を描くことが大好きだった、あの頃の自分。
どんな気持ちで、このメッセージを書いたのかは思い出せなかったけれど、当時の好きだった気持ちは鮮明に覚えています。
9歳のころ思い描いていた〝未来〟。
実際に晴夏さんは、美術教室に通いながら絵を描き、高校は地元で美術学科で有名な学校の「油絵コース」に進学しました。その学校は2年で退学しましたが、専門学校で映像制作を学びます。
そして、再び「絵の道」へ。22歳でフリーランスの画家として開業しました。
「いろいろあったけど、無事画家になったよ」
メッセージを通して、子どもの頃の自分が背中を押してくれているように思えて、うれしくなりました。
まるで罫線にぶら下がっているように遊ぶ、1匹のカエル。
「『罫線で遊ぶ小動物』が1RTにつき1匹増える手帳です」
そうつぶやいたら、約2万2千件のリツイートがありました。
この頃から、画家として、絵で生計を立てられるようになりました。
今は北海道千歳市で小さな画廊を営みながら、個人や企業から絵のオーダーを受けています。
そして、「2万2千匹描く」ことになった、罫線で遊ぶ動物たちは、今も、じっくり、着々とペンを進めながら4000匹を超えました。
近く、罫線で遊ぶ動物たちの作品集を出版する予定だそうです。
メッセージカードを見つけてから4年経ち、Xで #これでフォロワーさん増えました というハッシュタグを見つけ、このメッセージカードのことを再びつぶやきました。
9歳の自分が押してくれた、背中。
〝返信〟機能はないけれど、もしできるなら、こうやって背中を押し返してあげたいと思っています。
「ありがとう。今も変わらずお絵描きが大好きだから、安心してお絵描きを楽しんでね」
もし今の晴夏さんから、15年後の自分に届くとしたら? やっぱり贈りたい言葉は同じでした。
「絵の仕事を続けていてほしい気持ちもあるけど、気にせず今やりたいことをがんばって」
1/6枚