エンタメ
芸人がレンタカーの受付バイト こっそり人間観察…内心「面白い!」
夫婦漫才コンビ「ウェンズデイズ」のひかりさん
行楽シーズンを迎えると、忙しくなるのがレンタカー業界です。レンタカーで受付バイトをしている夫婦漫才コンビ「ウェンズデイズ」のひかりさんは、「個性的なお客さんが来ることもある」と話し、こっそり人間観察をしているそうです。どんなバイトなのか、話を聞きました。(ライター・安倍季実子)
「ゴールデンウイークやお盆などの連休は、人気の観光地やその付近で車のトラブルが起こりやすくなるので気を付けてほしいですね。私のバイト先では、月平均4~5台が事故に遭っているので『今年のゴールデンウイークはどうなるだろう』と少しヒヤヒヤしています(苦笑)」
そんなレンタカースタッフの本音を教えてくれたのは、夫婦漫才コンビ「ウェンズデイズ」のひかりさんです。
都内にあるガソリンスタンド併設のレンタカーで受付バイトをしています。相方で夫のミツハシさんの紹介でバイトを始め、今年で7年目になるそうです。
週5日働くひかりさんの勤務時間は、朝7時~14時。お客さんが来店したら、予約内容と免許証の確認、利用説明、誓約書のサイン、お客さん同伴の元で貸し出す車の傷のチェックなどを行います。
「利用説明の時に、車両の使い方や補償オプションなどの説明もします。コロナ前のように旅行や遠出がしやすくなりましたし、訪日観光客も増えているので、レンタカーを借りる時は補償オプションに入ることをオススメします」と話します。
レンタカー受付の仕事は接客以外にも色々とあります。
翌日の予約状況の確認や電話予約の対応、貸し出した車両がその日に走った走行距離の記録付け。たまに、併設するガソリンスタンドが忙しい時には、お手伝いすることもあるそうです。
「さらに月に一度、車両管理があります。貸し出しできる走行距離の上限が決まっているので、毎月何キロ走ったのかを確認して、翌月も引き続き貸し出しできそうか、貸し出し終了になりそうかをチェックします」
話を聞くだけでも大変そうですが、「ピークは朝7時~10時の間。それ以降は落ち着いている」のだそう。
「うちの営業所には70台くらいの車両があって、平日は大体30~40台を貸し出ししていて、週末や祝日は70台全部出ます。予約時間が重なっている場合は受付待ちができてバタバタしますが、車両が全て出てしまったら、反対に手持ち無沙汰になることもあります(苦笑)」
また、バイト中にはさまざまなお客さんが訪れるため、こっそりと人間観察をしているというひかりさん。
「学生から年配の方まで幅広い方が利用されるので、中には、これまで出会ったことのないような個性的なお客さんが来ることもあります。例えば、免許証を忘れたけど、『ここで前にも借りたことがあるし、ちゃんと免許は持っている。今日はたまたま忘れただけだから貸してくれ』という人もいましたね(苦笑)」と話します。
「他にも、一筋縄ではいかないタイプのお客さんが来ることもあります。後でトラブルにならないよう説明したり、説得したりするのは大変なんですが、内心では『面白い!』と感心してしまうこともあります。そうやって、いろんなお客さんと出会えるのが、このバイトの面白さのひとつですね」
お客さんから受けた刺激をネタの中にスパイスとして入れ込める日も、近いかもしれません。
長年接客をする中で、お客さんのタイプに合わせた接客方法があることも分かったそうです。
「大学生など、普段は運転していなさそうな人には、1から説明した方がいいけど、リピーターの方には要点のみ伝えたらいいなど、人によって説明の仕方や接客の仕方を変えた方がいいと気づきました」
それ以降、利用後のアンケートで「受付の女性の対応が良かった」と書かれることも度々あるのだそう。
「『トラブルにならないように』と思って接客のやり方を変え始めたんですが、結果的にお客さんにも喜んでもらえました。お客さんと接客がうまくハマった時は、心の中でこっそり喜んでいます。これがやりがいになっているのかもしれないですね」
人間観察と接客で身につけたこの力は、芸人として活動する中でも生きているといいます。
「お笑いライブでは、ネタのほかに出演者同士でトークもします。この時に『この芸人には、どんな話を振ったらいいだろか? こうツッコんだらウケるだろうか?』といったことを考えるようになりました。芸人なんで、ネタが一番大事ですが、やっぱりトークも面白くないといけないので」
今後は、「ちょっと珍しい夫婦漫才コンビ」として知名度を上げていき、ゆくゆくは「M-1グランプリ」で準々決勝に上がるのが目標です。
「うちのコンビは、ちょっと抜けている夫に妻がツッコむスタイルなので、自然とツッコミも厳しくなってしまいます。カップル漫才の時は、まわりから『キツく見える』という声もあって手加減していましたが、夫婦漫才の場合は『夫婦だから』と受け入れられるようになりました。遠慮せずツッコめるので、とても気が楽になりましたね(笑)」と振り返ります。
賞レースのほかに狙っているのが、「笑点」の演芸コーナーへの出演です。
「もともと『笑点』が好きというのもあります。また、ゴールデンタイムに放送されているテレビのお笑い番組はネタの時間が限られていて、正直、うちのコンビはあまり向いてなさそうというのもあります(苦笑)。夫婦という特徴を活かしながら活動の場を増やしつつ、いつかは大好きな『笑点』の演芸コーナーで、少し長めの漫才を披露したいですね」
1/5枚