2020年にメンバーの脱退があり、3人から2人体制になったw-inds.。これまで作詞作曲やプロデュースを手がけてきたメンバーの橘慶太さんは、もうひとりのメンバーでありリーダーでもある千葉涼平さんについて「腹を括ってくれた」と話します。「2人で歌う」新たな体制への思いを聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
《略歴》たちばな・けいた 1985年、福岡県生まれ。w-inds.のメインボーカリストとして、2001年にシングル「Forever Memories」でデビュー、初のアルバム「w-inds.~1st message~」がオリコンチャート1位を記録し、「第43回日本レコード大賞」最優秀新人賞を獲得。23年に15枚目のオリジナルアルバム「Beyond」をリリース、同アルバムを携えた「w-inds. LIVE TOUR 2023 “Beyond"」を開催。24年には「w-inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia"」を予定する。作詞作曲、プロデュースを手掛け、ソロ活動やサウンドエンジニアとして他のアーティストとのコラボレーションにも取り組む。
――慶太さんはメディアでのポジティブすぎる受け答えから“ポジティブモンスター”のように言われることもありますが……。
いや、そうなんですよ(笑)。ポジティブモンスターではあるんですけど、それでもまあ、ライブの初日とかは基本的に不安ですよ。
やっぱり、自分の考えが、こう、否定されたら悲しいっていう気持ちはあるじゃないですか。一生懸命に考えたことでも、否定される瞬間は絶対、世の中あるんで、そうなったらイヤだなっていうのは、どっかに。常にちょっと不安に思ってますね。
――新曲「Run」と「FAKE IT」、「Imagination」はツアー“Beyond”のツアーでの初披露になりました。ツアー中に複数の新曲を発表するのはやや珍しいかなと思いますが、どうしてだったのでしょうか。
狙いとかはあんまりなくて、「曲できちゃったからやろうかな」っていうのが一番、大きい理由です。だから、ちょっと途中で後悔しはじめて(笑)。
今回のBeyondのツアーは、自分たちの体力の限界のパッケージを用意したんですよ。それなのに、最終的に3曲も増えてしまった。ダンサーのみんなも、もう本当にヘトヘトになってて、申し訳ないなと思ったくらいで。
曲が増えるのって、観客の方は基本、喜んでくれると思うんですけど、やる方は大変で。でも、これだけステージ作りについてもスピード感が出せるのが、セルフ(プロデュース)のいいところだと僕は思ってるので。できた楽曲をできたてホヤホヤの状態で届けられるのは、僕はうれしいというか。
自分たちとしても、できたときが一番テンション高いんですよ。でも、昔ってリリースまでにそれこそ半年とか一年とかかかったりもざらにあったので、そのフレッシュな部分がどうしても、披露するときに欠けちゃうのをずっと感じていて。
もちろん、どんな曲も全部いい曲でお気に入りではあるんです。ただ、フレッシュな状態で届けるっていうのは、今のw-inds.のスタイルのキーの一つだという気がしていますね。
――観客の反応を見ていかがでしたか?
僕たちは反応以前に緊張しましたね(笑)。逆に言えば、準備期間が少ないってことでもあるので。ただ、それがまたいい緊張感で。すごく引き締まったステージになるというか。
楽曲にこう、自分のメッセージを込めることが多いんです。そして、そのメッセージを長年、応援してくれてる方は感じ取ってくれる。それがすごくうれしかったですね。
――2020年に(メンバーの千葉)涼平さんと二人体制になりましたが、今回のライブを通してあらためて、手応えはいかがですか。
前回(2022年の“We are”)のライブから、もっと言えば2020年のオンラインライブぐらいから、手応えはずっとあって、実はそこはあんまり、現在も未来も心配していないんです。ただ、あらためて言えば、かなり形はできた、できてきてるなって思ってます。
僕は元々メインボーカルだったので、そんなに変わらないっていうとアレですけど、逆に踊るパートが増えたのは、ちょっと変化かもしれないです。
やっぱり(新たにボーカルを担当することになった)涼平君がね、こう、腹を括ってくれたというか。二人になったときに直接、話したんですけど、僕がメインで歌って涼平君が一人で踊ってるっていう画が、もうまったく想像できなかったんです。
それで「一緒に歌ってほしい」って伝えて、そこから多分、本人もすごく努力を重ねてきたと思うので。
今はもう、涼平君はウチの事務所の社長にもすごくホメられてますよ。だから安心しているというか、信頼して、二人体制のステージを作れるなって感じてますね。
――涼平さんは元々は「サポートに徹します」くらいのことをおっしゃってたんですよね。
いや、そうなんですよ。涼平君にも、前メンバーの(緒方)龍一君にも、デビューするときに僕が「一緒に歌ってほしい」って言ったら「イヤだ」って言われて(笑)。そんなこと普通ないじゃないですか。「いや、俺たちはサポートすることに生きがいを感じてるんだ」って言われて。
そこまで言われたら、まあ、しょうがないなと思いつつも、ずっとその二人のポテンシャルを感じていたんで、それをこう、今回までにどんどん引き上げていけたっていうのはとてもよかったと思っています。それは、涼平君にとってもよかったし、w-inds.にとっても本当によかった。
――ライブのMCで、涼平さんが引き続きリーダー、慶太さんが副リーダーになる、という決定もありましたが、体制変更でお二人の関係性に変化はありましたか。
いや、そんなに変わらないですよ。でもまあ、レコーディングのときとかは、僕がプロデューサーで涼平君がシンガーみたいな感じで。
なんか涼平君がめちゃくちゃ敬語でしゃべってきます(笑)。「ここはこうですか」「じゃあがんばります」みたいな。レコーディングのときだけやたら下から来るから。
僕もなんか「もっとこうやって」みたいなことを言うこともありますけど、プライベートは仲もいいんで、うん、変わりないかもしれないですね。