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公開前チェック…映画好きにはたまらないバイト コントに生かすと?
お笑いコンビ「いかすぜジョナサン」の川村優太さん
多くのファンが楽しみにしている新作の映画公開。その前に、実は映画館スタッフがチェックしている――と知っていましたか? 神奈川県内の映画館でバイトするお笑いコンビ「いかすぜジョナサン」の川村優太さんに、その舞台裏を聞きました。(ライター・安倍季実子)
好きが高じて映画館でバイトをはじめ、今年で10年目を迎えるという川村さん。
昨年の秋に公開された「ゴジラ-1.0」が国内外で高い評価を得て、邦画で初めて米アカデミー賞の視覚効果賞にノミネートされたことは、バイト史上で一番うれしい出来事だったといいます。
「僕も映画のチェックをしている時に面白いと思った作品でした。米アカデミー賞にノミネートされたことで、日本の映像技術は世界に肩を並ぶほど高いんだと証明された気がして誇らしかったです」
川村さんの言う「映画のチェック」とは、配給会社から送られてきた映画を公開前に観る作業のこと。
「僕のバイト先は、担当する仕事がチケット売り、飲食店、映写など複数のセクションに分かれています。その映写の仕事のひとつにチェックという作業があります」
「具体的には、配給会社から送られてきたデータをスクリーンに映して試写しながら、音量の大きさなどをチェックして、最後にレポートにまとめます。映画公開後、レポートに基づいた調整を加えて映写することで、 お客さんが快適かつ集中して映画を楽しめるようになります」
作品の内容から映像自体に関することまで、チェック項目は多岐にわたります。
「映画館では、事前に映像をチェックして、お客さんが快適に楽しめるように調整しているんです。例えば、制作会社によって音量の設定が違うので、音量が大きい場合はシアターのスピーカー音量を下げないといけませんし、お子様向けの映画の場合は、場内が暗いと怖がる子もいるかもしれないので、少し照明を明るくしないといけません。こういうものも含めて、色々とチェックしています」
新作映画のチェック作業は、大体公開日の2日前に行います。
「チェックのバイトは週に2日、深夜23~翌朝の3時まで。1日に1本の映画をチェックします。作品の長さは2時間程度のものが多いのですが、たまに3時間を超えるものもあります。そういった場合は残業になりますし、反対に作品時間が短ければ2本観る時もあります」
この他に、週に1~2日はフロントスタッフとしても働いているそう。
「もともとフロントで採用されたんですが、他のセクションに移る機会があって、映写と両方するようになりました」
チェック業務のシフトは週2日の固定ですが、フロント業務の方はシフトも勤務時間もバラバラ。夕方から働く日もあれば、昼から半日働く日もあるそう。月のアルバイト代は15万円ほどです。
どちらの業務が好きかと聞かれると、やはりチェック作業だと川村さん。
「チェックは誰よりも先に新作映画を観られるので、ネタバレなどの前情報もなく、先入観なしで観られます。隣や前後の席にお客さんもいないので、まわりを気にすることなく映画に没頭できます。あと、1割くらいは『お笑いの勉強のため』というのもあります」
いかすぜジョナサンは、2019年のキングオブコントで準決勝に、2020年は準々決勝まで残った実力派。
昨年は、『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日)に、ランジャタイが紹介する「今見てほしい地下芸人」として出演しました。
「僕らのネタはお客さんよりも芸人ウケの方がいいんです。あまりネタが被ってないからだと思います。自分たちのネタは、これまで観てきた映画がヒントになっています。芸人に限らず、誰もが漫画や歌などの何かしらの作品に影響を受けていると思うんですが、僕の場合はそれが映画なんです」
実際に、映画がネタ作りに生かされたことは数えきれないほどあります。チェック作業中に、「このシーンはネタに使えそうだ」と思うことも多々あるそうです。
「ただ、たくさん観すぎていて、最近はストーリー展開に既視感を持つことも多いんで、あえてセオリーからズラしたネタを作るようにしています。でも、ズラしすぎるとお客さんを置いていってしまうことも……。反対に、超ベタだなと思いながら作ったネタが、『めっちゃ新しいね!』と言われることもあります。映画を観すぎてて、新鮮さを感じるハードルが高くなっているんでしょうね(苦笑)」
いかすぜジョナサンが出演するお笑いライブは、月に10回前後。自分たちの個性は残しながら、お客さんとのほどよい距離感を意識したネタを作り、トライアンドエラーを繰り返しています。
「コンビとしての目標は、やっぱりキングオブコント優勝です。コントが好きですし、たくさんの人に見てもらって、楽しんでもらいたいです。あと、個人的な夢としては、お金に余裕ができたらエントリー費不要のライブを開くことです。参加者が、純粋にお笑いだけに集中できるライブをやりたいですね」
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