連載
#87 夜廻り猫
1秒を争う朝でも…「相手を楽にする冗談」が言える マンガ夜廻り猫
出張にいくパートナーのために朝ごはんをつくろうと思っていたら、寝坊してしまって――。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、パートナーとともに暮らす女性のエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。料理中の女性の、心の涙の匂いに気づきます。
女性が同居するパートナーは、出張に出かける予定がありました。
仕事に余裕のあった女性は、パートナーのために朝ごはんをつくろうと考えていましたが、寝坊してしまいます。
一秒をも争うなか、慌ててキッチンで調理しながら「ご飯、炊けたかな!?」と尋ねると、パートナーが「悲しいお知らせがあります……」とひとこと。
振り返ると、パートナーはコンセントに挿されていない炊飯器のプラグを手にしています。
思わず「あっはっは」と笑うふたり。女性は「いつも私が気にしないか心配しておどけてくれるんだ」と言います。
「いい人だなぁ 結婚して?」「ぜひ!」と言い合って、出張に向かうパートナーを送り出した女性。
「結婚10年なんだけどね たまにありがたくて泣きそうになる」とほほ笑みます。話を聞きながら、遠藤もつられて笑顔になるのでした。
作品を描いた深谷さんは、「ふつうなら怒るような状況で、冗談を言える人っていいなと思うのです。相手を楽にするための冗談を」と語ります。
「そして相手も、増長せずに感謝する。そんな感じ、理想です」
「つらい時でも、この人がいればつらさが少し減る……。そんな人になりたいですね」と話しています。
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