連載
#16 眠れぬ夜のレシピ
手紙に相応しい保管方法 ”人の熱量”感じる 眠れぬ夜のDIY
個性ある封筒もとじた「世界一美しい本」に
ペーパーレスの時代。でも誰かが心を込めて届けてくれた封筒は、宝物です。眠れない夜のDIY。手紙を添えて、お届けします。(漫画・コラム、午後)
午後さんのプレイリスト
憂鬱な気持ちになる夜。午後さんの身近にあった音楽を教えてもらいました。
あなたの夜の隙間も、少しでも埋められたら、幸いです。
こんばんは、午後です。
今夜もまた、DIY編をお届けいたします。
漫画を執筆し始めてから、格段にお手紙をいただく機会が増えました。読者の方からいただくものが大半ですが(本当にありがとうございます!)、他にも、本を送った知人から感想の手紙をもらうこともありました。
そうなると問題になってくるのは保管方法です。当初は大きめの封筒の中にまとめて保管しており、しっかりとした缶などの箱に移行することを考えていました。
しかし、読み込めば読み込むほど、時間をかけて机に向かい手書きで思いをしたためられた“人の熱量”がこもっているものなので、相応のとびきりの居場所を作りたいと思うようになりました。本棚にピタリと収まる本のように、手紙を保管したいと考えたのです。
しかし、本と違って手紙は不定形でした。個々に封筒の大きさも、色も、形もバラバラです(中には封筒から手作りしてくださる方もいて、手紙の形の個性に、そのまま差出人の方の個性が反映してあるようで、とても嬉しく思いました)。
漫画に記した通りの試行錯誤の末、はたと「そもそも封筒がファイルの役目を果たしているのだから、封筒同士を綴じてしまうのはどうだろう?」と思いつき、現在の形に落ち着きました。
横から見ると、個々の封筒の色がちらちら見えて、虹のようで綺麗です。世界で一つの、私だけの美しい本になりました。
手紙は今や時代錯誤な文化になっていると思いますが、やはり紙の質感、筆跡、インクのかすれ、形、微かな重み等、ただの文字情報以上の価値を示してくれるものだと思っています。メールの方が遥かに便利ではありますが、私は、なくなって欲しくない文化の一つだと、お手紙をいただいてからより思うようになりました。
すごく近所に住んでいる友人と、敢えて文通してみるのも面白いかも?と、最近は考えたりもしています。
それでは、今夜も素敵な夢を見られますように。おやすみなさい。
午後
SNS作家。2020年5月からTwitterに漫画を投稿をしている。今年1月に初の書籍「眠れぬ夜はケーキを焼いて」(KADOKAWA)を出版。Twitterアカウントは@_zengo。
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