連載
#14 眠れぬ夜のレシピ
夏の終わりに 旬野菜チンするだけの絶品料理 眠れぬ夜のレシピ
憂鬱な気分、美味しさで打ち消してしまう
なぜかちょっと憂鬱な気持ちになる夏の終わり。そんな時、体をいたわり、手軽においしく「旬」を味わえる、真夜中のレシピです。手紙を添えて、お届けします。(漫画・コラム、午後)
午後さんのプレイリスト
憂鬱な気持ちになる夜。午後さんの身近にあった音楽を教えてもらいました。
あなたの夜の隙間も、少しでも埋められたら、幸いです。
こんばんは、午後です。
すっかり暑さがやわらいで、過ごしやすくなりました。猛暑の渦中にいる時は早く過ぎて欲しいと思うのに、いざ過ぎてしまうと、必ず少し虚しくなるのが不思議ですね。
私は夏が苦手なのですが、それにも関わらず、毎年八月下旬に寂しくなるのは何故だろうとずっと考えていました。その結果、恐らく(作中にもちょこっと書きましたが)、学生時代に刷り込まれた『夏休みが終わることへの憂鬱さ』が関係しているのではないかと近年は考えています。
手付かずの宿題の山、毎日早起きをしないといけないことへのプレッシャー、バカンスの終焉……。大人になって、それらからは解放されたはずなのに、今でも尾を引いているのかと思うとうんざりします。数年前の同じ日とよく似た季節の匂いが、眠っていた記憶を呼び覚ますのかもしれません。
とはいえ、夏の終わりにただ一方的に気持ちが揺さぶられるのは嫌なので、対抗措置を施すことにしました。それが今回ご紹介した、夏野菜を食べることなのです。
“美味しい旬の野菜を、美味しい季節に食べること”
夏バテで失せていた食欲が、ちょうど戻ってくる時期です。たくさん美味しく食べて、夏の終わりでも、私なりに夏を楽しんでやるのです。
食と情動は密接に関係しています。季節に気持ちが振り回されるのなら、同じく季節の、美味しく栄養満点の食べ物で、マイナスの気持ちを打ち消すことができると私は思っています。
それでは、今夜も素敵な夢を見られますように。おやすみなさい。
午後
SNS作家。2020年5月からTwitterに漫画を投稿をしている。今年1月に初の書籍「眠れぬ夜はケーキを焼いて」(KADOKAWA)を出版。Twitterアカウントは@_zengo。
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