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MAXのNANA、「突然、スケジュールが真っ白に…」価値観変えた挑戦

富士山にマラソン…小さくてもいい、モヤモヤ消す大事な習慣

MAXのNANAさん=本人提供
MAXのNANAさん=本人提供

沖縄出身のダンスボーカルグループMAX。1995年にデビューしてから2021年5月で26周年を迎えました。10代だった「スーパー・モンキーズ」時代から音楽業界が様変わりした今、第一線で走ってきた4人は何を思うのでしょうか? 仕事や子育て、自分自身の活動など、それぞれが切り開いた道について語る「MAXコラム」。メンバーの産休などで「スケジュールが真っ白」になった時、NANAさんが起こした行動は?小さなチャレンジの大切さについてつづってもらいました。

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スケジュールが真っ白になった時期も

5月に入り過ごしやすい季節になりましたね。
とは言っても、新生活の緊張感や疲れがピークに達し、無気力になってしまう時期でもあると思います。自身の心と体の健康にも、気をつけておきたいところです。
皆さんそれぞれに、元気になる方法がきっとあると思います。私の場合、悩んでしまった時や大きな壁にぶつかった時は、あえて何かに挑戦することで自分を奮い立たせてきました。

2002年にメンバーのMINAが産休、育休に入りました。その結果、それまで忙しかった毎日がウソのようにスケジュールが真っ白に……。
突然の大きな変化に心が追いついていけず、色々と考えれば考えるほど、悪い方向へ物事を考えこんでしまっていました。「今のままじゃ良くない!」とわかっていても、どうもふさぎこんでしまう。新しい一歩を踏み出す勇気もわいてこない。それでも、「前向きに!前向きに!」と自分に言い聞かせて、空いた時間はダンスや歌などのレッスンに行ったり、映画を見たり、本を読んだり、何でもいいから一気に詰めこんでいく作業をしてみたんです。それでもなぜか心の虚しさは埋められない……。時間だけがどんどんと流れていく中で、ハッと思ったんです。

「富士山に登ってみよう!!」

突拍子もなく、ちょっとおかしいですよね(笑)。自分でもその時、なぜそれが浮かんだのかわからないのですが、突然そんな気持ちになったのです。それから富士登山の正しい登り方から必需品、経験者のコメントなど、ネットで調べ始めると、モヤモヤしていた感情が少しだけワクワクに変わりました。

山小屋で出会った年上カップル

いざ!富士登山の日!!快晴で天気も背中を押してくれているような気分でした。
それでも山の天候は変わりやすく、頂上にたどり着けるかは本当に運任せ。このままいい天気が続くことを祈りながらスタートしました。

最初の方はまだ余裕で、ハイキング気分で周りの植物や山から見える街の景色、同じ目線になってくる雲などを楽しめていました。それが、だんだんと岩をつかみながら慎重に歩かないと危険な道も出てきて。とにかく焦らず、休憩をくり返し取りながら、少しずつ頂上を目指し、歩きました。ご来光のタイミングで頂上へたどり着きたかったので、仮眠を取りに予約をしていた山小屋へ。そこで私よりちょっと年上と見られるカップルと出会ったのですが、こんな話しをしてくれました。

前に一度2人で登ったんだけど、その時は天気が急変。もう少しで頂上へたどり着く手前で下山することになり、悔しくて再チャレンジしているとのことでした。その時の思い出を聞きながら、今回こそは頂上へたどり着けそうだと生き生きとうれしそうに話す姿が素敵で、私まで幸せな気分になりました。そんな一瞬の出会いにも感激したり新鮮味を感じたり。心を温かくしてくれました。

そしてラストスパート!!天候も崩れることなく運も味方してくれて再出発。ご来光目的の登山は人気があるので、登山道は“渋滞”。頂上へ続く、長い行列に続きます。暗闇の中ヘッドライトをつけ、高山病にならないように呼吸をしっかりすることを心がけました。ここで焦らず、足取りもゆっくり一歩一歩進めていきます。すると小さな鳥居が見えてきて、そこを通り抜け、しばらく歩くと……やっとやっと念願の山頂へ到着!!

富士登山に挑戦をしたNANAさん=本人提供
富士登山に挑戦をしたNANAさん=本人提供

味わったことのない達成感が体中を駆け巡り、何時間も歩いてきたはずの体はアドレナリンが出ているせいか、疲れを感じず、むしろみるみると元気が湧いてきました。感激でした。そして私が想像していた富士山の頂上とは違って、何とそこには出店があって、人でにぎわうちょっとした神社のお祭りのような雰囲気!

そこで日の出を待つ人たち。その談笑している清々しい顔は、笑顔を誘いました。ここまで登ってきた者同士、仲間意識も感じてしまう不思議な感覚を味わいまいた。

フルマラソンに挑戦した結果…

そしてそして!富士山の頂上で見るご来光の時間。静かに、ゆっくりと、優しい光で登ってくる太陽。肌で感じる大自然の神秘な光景と、ここまで来た達成感で胸が熱くなり、涙が溢(あふ)れました。

日の出のわずか数分間で、考え過ぎていたことがすっーと消えていくのを感じました。小さな自分がまだ知らない世界、まだ見たことのない景色がきっとたくさんある。もっと見たい、もっと知りたい、そしてもっと楽しみたい!!心が軽やかに弾み出しました。

まだちっぽけな自分。そんな自分に負けてなんかいられない。直接的な悩みの解決にはならなかったけど、富士山に登ったことで、忘れていた達成感と自信を取り戻せて、新しく強い一歩を踏み出すことができました。それからは何か壁にぶつかると、ハッ!と思いたって、突然、海外へ短期留学してみたり、フルマラソンに挑戦しようと思い「NAHAマラソン」にエントリーしたりしました。地元の慣れ親しんだ道を走れば力が湧きそうな気がしたんです。制限時間もあり、何よりも42.195kmを走り切るのがハード過ぎて、道中何度か走るのをやめようかと思ったほどなんですが、沿道の皆さんの応援に励まされながら、何とかギリギリでゴールできました!!

沖縄で開催のフルマラソン「「NAHAマラソン」で走るNANAさん=本人提供
沖縄で開催のフルマラソン「「NAHAマラソン」で走るNANAさん=本人提供

振り返ると、何かに挑戦し、その中で自分と葛藤してきました。そして、最終的には人や大自然に助けられ、心が強くなった気がしています。だからこそ、人や自然に優しくありたいと思っています。今は子育て中なので、大きなチャレンジはなかなかできていないんですが、心のモヤモヤを消す時の小さなチャレンジは続けています。

苦手な食べものを食べて克服するとか、帰宅時にいつもと違う道を選んで時間をかけて帰ってみるとか(笑)。そんな小さな冒険が、意外と刺激的でリフレッシュすることにつながっています。できればもう壁にぶつかりたくはないですが、やってきた時には、その壁を乗り越えるために新たな挑戦をしてみたいと思います!!


                  ◇

〈MAX〉NANA/LINA/MINA/REINAの沖縄県出身4人組ダンスボーカルグループ。1995年にデビュー。翌年発売のサードシングル『TORA TORA TORA』でブレーク。1997年に『Give me a Shake』でオリコン初登場1位を獲得。その後も『Ride on time』など数々のヒット曲を発表し、紅白歌合戦に5年連続5回出場。近年は音楽活動の他に、個人でのバラエティー、ドラマ、舞台出演など活動の幅を広げている。2021年7月4日にオンラインでのライブ開催が決定している。

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