連載
#1 MAXコラム
MAXのNANA、出産して驚いた「アンパンマンマーチ」の力 涙の理由は
デビューから25年 今、伝えたいこと
沖縄出身のダンスボーカルグループMAX。1995年にデビューしてから今年で25周年を迎えました。10代だった「スーパー・モンキーズ」時代から音楽業界が様変わりした今、第一線で走ってきた4人は何を思うのでしょうか? 仕事や子育て、自分自身の活動など、それぞれが切り開いた道について語る「MAXコラム」。今回はNANAさんが「コロナ禍の子育て」についてつづります。
“何が君の幸せ、何をして喜ぶ?分からないまま終わる、そんなのは嫌だ!”
ふと飛びこんできた歌に、グッと胸がつまり自然と涙がこぼれました。
そう、気付いた人も多いと思いますが、これは「アンパンマンマーチ」の歌の一節です。
昨年末に息子を出産してから、子供向けのテレビや雑誌に目を向ける様になった2020年。
まさかの新型コロナウイルスの感染拡大で、想い描いていた生活とは違う日々を送っています。もちろん赤ちゃんの誕生で幸せいっぱいではあるんですが、MAXとして記念すべき25周年のすべてのスケジュールが白紙になり、予定も組めず、先が見えない現状。
さらに、初めての子育てで手探りの中、実家の両親や、仲の良いお友達ともなかなか会えずで、「新しい人生ちゃんとやっていけるの?」「こんな厳しくなっていく状況の中でちゃんと幸せに育てていけるの?」という不安な気持ちを抱えながら、何気なく観ていたアンパンマン。
子供向けの明るい曲調と楽しいアニメーションにも関わらず、スッーとその歌と歌詞に心をつかまれて涙してしまったんです。ふと我に帰ると、息子の横でアンパンマンを観ながら泣く自分の姿が、なんだか滑稽で笑えてきたんです。
子供の頃から知っているアンパンマンの歌、何気なく口ずさんだ事もあるはずの歌が、今の私には響きわたって、今までとは違って聴こえてくる。
何故なんだろう、と気になって「アンパンマンマーチ」について色々と調べてみました。すると、「それいけ!アンパンマン」の原作者のやなせたかし先生が自ら作詞をしていて、その背景にはやなせ先生が経験した戦争と関わりがあるなど深い諸説があることを知りました。また、この歌についての解説や、色んな意見や感想がたくさんあり、驚きました。
歌詞を読めば読むほど、知れば知るほど胸に響いてくる歌からのメッセージ。
一見シンプルで子供向けに感じる歌だけど、読み解いていくと、問いかけられ、悟らされ、今を生きるパワーをくれる!
自分のためだけじゃなく、大切な人達のためにも、どんな時もどんな場所へもほほえんで突き進んでいく!強く優しく――。
そんなメッセージを貰えて、なんだか自分の中にあったモヤモヤが一気に吹き飛びました。たとえ良くない状況に陥っても、「今を生きている喜びを身失わずに、小さな幸せを感じる事を忘れず過ごしていれば大丈夫!」と思えてきました。
ぜひ読者の皆さんにも一度、歌詞をじっくり読んでもらいたいなと思いました。
それと同時に、ふとした瞬間、歌にパワーをもらえた事。また、環境や心境、もしくは経験値で、何度も聞いている同じ歌でも受け方が変わることを発見。歌の力にも改めて気付かされました。
そう言えば幼少期から、小さな悩みをはじめ恋愛、そして色んな壁にぶつかった時、歌との出会いがあったから乗り越えてこられたな。前向きな気持ち、自分すら気づいていない毒もピュアなココロも引き出してくれた。10代、20代、30代、40代、その時々で寄り添ってくれた歌がありました。
励ましてくれて、力をくれて、人生に彩りをくれた。ありがたい事に、そんな歌のお仕事をさせてもらっています。それならば、今度は私が誰かの力になっていける様にもっともっと頑張らないと!!なんですよね。
不思議とそうやって気持ちを切り替えた時から、少しずつ物事がいい方向へ向かっている気がします。
明るい未来を信じて、今出来る事を精一杯したい。まずは息子に「アンパンマーチ」をオリジナルの踊りつきで(笑)歌ってみてあげようと思います。喜んでくれると嬉しいな♡
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〈MAX〉NANA/LINA/MINA/REINAの沖縄県出身4人組ダンスボーカルグループ。1995年にデビュー。翌年発売のサードシングル『TORA TORA TORA』でブレイク。1997年に『Give me a Shake』でオリコン初登場1位を獲得。その後も『Ride on time』など数々のヒット曲を発表し、紅白歌合戦に5年連続5回出場。近年は音楽活動の他に、個人でのバラエティ、ドラマ、舞台出演など活動の幅を広げている。12/9にセルフカバー配信シングル「一緒に・・・(Happiness2020)」をリリース。
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